表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
義弟が『俺、異世界賢者の転生者だ』と言い出した  作者: 有


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

30/42

偽装彼女

 合格おめでとうみたいなこと言われたってことかな?ありがとうってことは。

 ……会ったりしてないけど、メッセージアプリでやり取りはしてたのかな?だって、合格したこととか話をしてないよね?でもご無沙汰って言ってるし。分からない。

 それにしても、大学に通いだしてからは、結梨呼びだったのが、武田先輩との電話では「姉」だって。うん。やっぱり家族って感じがしていいよね。ほっとする。

 ……そんな風に考えるのは、血がつながっていないからなのかな……。

 血がつながっていれば、どんな呼ばれ方しても、家族っぽいとか家族っぽくないとか思わなくて済むのかな……。

 今更家族じゃないなんて言われたら……どんな気持ちになるんだろう。

 私は、ずっと和樹と家族でいたい。たとえ別々に暮らすことになっても、父さんと母さんが離婚してしまっても……。和樹とのつながりを失いたくないよ……。

 ふぅ。たかが呼び方一つで考えすぎかな。むしろ和樹は、なんて読んだって家族だって思っているから、姉さんって言わないんだろうし。

 フルフルと小さく頭を振る。

 今のうちに、コーヒーでも入れてくるか。

 立ち上がって部屋を出る。

 コーヒー2杯。両方ともミルクと砂糖入り。和樹はある時期、ブラックコーヒーを無理して飲もうとしてたけどね。勉強するには頭を使うのに当分はいるからと言い聞かせ、胃が荒れるからミルクも入れろと言い聞かせて、ブラックコーヒーを飲むのを阻止した。

 だって、美味しいと感じないものを無理して飲んでるのを見るの辛いんだよ?

 和樹には美味しいって顔で飲んで欲しいもん。

 自分の部屋だけど、ノックしてから入る。

 積もる話もあって、まだ電話しているかと思ったら和樹はすでにスマホを机に置いていた。

「コーヒー飲むよね」

 声をかけると、すぐに私の手からカップを2つともとって机の上に置いた。

「結梨、頼む!彼女になってくれ!」

 ぶぶーっ。って。コーヒー飲んでたらめちゃくちゃ噴き出すこと言い出した!

 いや、それを見越して、和樹は私の分のカップも取り上げて机の上に置いたのか!

「ちょっと、まだその話?っていうか、いったい武田先輩となんの相談してたのよっ!」

 和樹は、自分のカップを持ち上げると、コーヒーをごくりと飲む。

「武田先輩、今の会社で女性トラブル回避するために『彼女がいる』って言ってるんだってさ」

「武田先輩彼女できたんだ。きっと素敵な人だろうなぁ……」

「いや。彼女はいないって」

 ん?

「だから、彼女はいないけど『彼女がいる』って言ってるらしい」

 あ、そういうことか。

 ぽんっと手を打つ。

「和樹は私に偽装彼女になってほしいってことね?女よけのために」

 なぁんだ。そういうことか。

 カップに手をのばしてフーフー息を吹きかける。私は猫舌なんだよなぁ。和樹は平気みたいだけど。

 血がつながってないから似てないのかなと思うと少し寂しい気持ちになる。まだ、なんだか引きずってる。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ