第二話 現状を自覚しました。
よーしよしよし、落ち着け、冷静さを欠かしてはならない。
もう一度だ。
「おぎゃぁぁぁぁ」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・うん、耳はよく聞こえないようだ。
大丈夫だ、まだ大丈夫だ。まだ、冷静になれる。
と、俺が頭の中でそんな風に考えていると、
「おぉ!噂をすればなんとやらですね。しっかり泣きましたよ。」
「噂をすればというより思いっきり目の前で言っていたんだが・・・・・・そうだな。
子供は元気が一番だ。」
さっきの二人が話し始めた。何を言っているのかはわからないが。
俺の中では全然話が解決していないんだが。
すると、細高くて若そうな声が近づいてくるのがわかった。
まあ、俺にはどうすることもできないから、静かにしておくしかできないんだがな。そして、なんと若い方は俺を持ち上げたのだ。しかも、感触から察するに手だけでだ。これらのことを鑑みて、こいつは巨人なのではと思う。明らかに俺よりも何倍かはあるであろう。
人型でそこまで大きい種族なんていただろうか、と考えていると
「あ、せっかく起きたと思ったのにまた寝てしまいました。ところで院長、この子、何歳ぐらいなんですか?」
「ああ、本人の前で言うのもなんだが、まだ生まれて一月と経っていないだろう。」
「そうなんですか、こういう子って多いのですかね。何で、捨ててしまうのに産もうとするのでしょうか?」
若い方は院長とよばれた方に尋ねた。
すると、院長は少し困ったように答えた。
「う〜ん、確かにここまで若い子は久しぶりに見たが、産む理由はいろいろある。
子供を堕ろすのにも、お金はかかるし、それならば産んでしまってから捨ててしまう方が楽だろうしな。堕ろすのも産むのも結局は体力を使ってしまうものだしな。」
「なるほど、まあ生きているんですから、その行動には良くも悪くもそれぞれ理由や原因がある。ということですね。」
若い方は、いかにも納得したというように「うんうん」と言っている。
「まあ、この子はまだマシな方だと思うがな。」
「と、言うと?」
「この子はこの孤児院の前にある程度のお金と「すまないが、面倒を頼む」という手紙と共に置かれていたんだよ。律儀にもチャイムを鳴らしてして行ったみたいでな」
「へー、そうだったんですね」
「お前、話聞いてないだろ」
「そうですね」
院長は「ったく、これだから若いのは」などと言いながら離れていった。
若い方も「ふふふ、元気に育ってくださいね。」と言い残し、院長に続いた。
それらの会話を呆然と聞いていた俺は、ぽかーんとするほかなかった。
理解できたのは最後の一言だけだった。
幾分か時間の経過を感じたのち、俺の思考は再起動した。
少し冷静になって考えてみよう。そうだ、何事も冷静に状況を分析することが重要だ。
まずはじめに、俺はあいつらの使っている言語を知らない。
細高い声のやつが言った最後の言葉だけは理解できた。あれは確か、魔族の奴らが使っていた言語だったはずだ。ってことはここは、魔族の集落がある場所なのか?いや、あれ自体も俺の頭が勝手に似たような言葉を再現していただけかもしれないし。
少し冷静になって、改めて考えて見ると、おかしな点が幾つかある。なぜ、今俺は、目が見えないのか、そして、あれは本当に巨人だったのか。「おぎゃああ」しか発せない理由や知らない言語を話す二人組。それらのことを鑑みて、一番妥当な線で考えて見ると、俺はあの戦いで死んでしまったのではないだろうか。
そして、今の俺は赤ん坊なのではないだろうか?
・・・・・・いやいやいやいや、それはないでしょう、それは。そんな簡単に生まれ変わりなんて信じられない。俺は、そこまで適応能力は高くないんだ。
でも、考えれば考えるほど、それが一番的を得ているし、辻褄が合わないこともない。
ってことは、俺、転生しちゃったってこと?




