ホタル石
ドラクンクルトでのギルドにて受付を終えて、三人は本日のところは休むということにした。
そして次の日、やるべきことは早めに終わらせることを決めて、三人は身支度を整えると出立。目指すは依頼の場所だ。
三人が請けた依頼の内容はこうだった。
『ホタル石の規定を満たしているものの採取十五個。※規定に関しては別紙にて詳細説明』
ホタル石というのは、光が僅かに差し込む洞窟から採掘できる鉱石の事だ。
特徴と言えば石の中は複雑怪奇な模様のようなものになっており、そこに光を当てるとホタル石は鉱石内で光を乱反射する。それによって持続的に光を発することが出来、一般的に普及している。
無論三人も、この石はピメンタにある家にも存在しており、日頃世話になっている。
そして、この石の面白いところは、光を発さなくなると石の内部の模様は消え、奥さえ見通せなかった石の内部はそれこそ研磨された宝石のように透き通るのだ。そのため、一部の人はこの光の発さなくなったホタル石を置物や、加工して装飾品にするといったことをする人もいる。
ただ、欠点もある。火などのように燃えることや熱を発することは無いのだが、ホタル石は模様が消えるまで、光り続けることだった。それ故に、明かりを消す際などは入れ物にしまうか、光を通しにくい布などで覆う必要などがある。他にも、模様は消え続けるわけだから、乱反射の間隔が伸びていき、光量が徐々に落ちていくのだ。故に、火のようにパッとついてもパッとは消えず、最後の方はそれこそ、名前の由来であるホタルような光になって、消えるのだ。
あとは、光に当ててしまえば即座にホタル石は光り出し、光の発せる時間も減ってしまう。なので市場に売っているホタル石は木箱の中などに入れて売られているため、買う人は中身を確認できないというのも、ある意味では問題を起こすこともあった。
なぜなら、開ける前から光っていたなどと言う客や、質の悪いホタル石を売る商人もいるという事件も確かに、存在したからだ。
ちなみに、このホタル石は大きければ大きいほど発光量と持続する時間は比例して大きくなる。
噂では、約何百年前から存在する巨大ホタル石は、未だにその光を鈍らせることなく、光りつづけているということも。
「とりあえずは、光を下手に当てないように採掘していきましょう」
「は~い」
依頼書にあった採掘現場へとやってきた三人は、事前にギルドから渡されていた採掘用の道具を取り出して準備し、採掘を始めるのだった。
ホタル石は光っていなければ普通の石と大して変わらなく、見分けるのが難しいが、依頼書にはその大まかな見分け方も載っていたため、あとは基準値以上のホタル石が掘り出せるかというだけだった。
「はい、ホタル石の採取、依頼達成です! それではこれが報酬と、このドラクンクルト内での行動を許可するカードです! 無くさないでくださいね」
それから約数時間。
基準値を満たしているホタル石を何事もなく集め終えた三人は、ギルドへ戻って報告すると、受付のお姉さんはどうやってか確認を終え、報酬を貰っていた。
「ありがとうございます」
「はい、これでこのドラクンクルト内での宿泊施設には無料で泊まれますので。
試験、頑張ってくださいね!」
受付のお姉さんの言葉に椛が返し、さっそく言われた通りに、まず三人は宿屋を探すことにした。
「すまない、ちょっと待って欲しい」
「はい?」
それは、低く重量感のある声。
椛が振り返れば、そこには白い甲冑を纏い、大剣を背負った男がいた。
「キミたち三人が、異邦人の……いや、ピメンタから来たギルドメンバーだね?」
「そうですけど」
男はどうやら、ビスタートの事を知っているらしい上に、三人の事情もある程度知っているようだ。
「私は、グラディン=ベーゲルフッハ。このドラクンクルトの、ギルドマスターだ」
正直に言えば無駄説明回な上に、新キャラ登場させるだけの回です。




