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本業と副業

久しぶりの更新です

八木が持って来たプラスチックの球を手に乗せてみる。

色は半透明のピンク、見た目は天然石に似せてあった。


「込められた力は精神安定と積極性の強化、有効期間は2週間ってとこか」


最も、与える効果はほんの少しだけ。


「山田流石だNE−。で本当に効果はあるのか?」


「たまたま見た朝の占いで運勢が最高だったぐらいだな。あると言えばあるが、厳密に言えば運勢を左右出来る力なんてのは全くない」


最も、人の運勢を変える力は神様か仏様、それか悪魔じゃなきゃ無理なんだけれども。


「マスター、それじゃ何で安くないお金を出して、みんな欲しがるんですか?」


「鰯の頭も信心からだよ。後、5千円って値段もあるな。人は払った金額分の価値があるって思いたがるからさ。高い金を出した方がありがたみがあるんだろ?」


最初は当たると噂の占い師の店に行く。

この時点で占い師の事を強く意識してしまう。

そうしたら占い師は、自分の事もズバズバ当ててしまった。

この時点で客は占い師の能力を信じてしまうだろう。

でもある程度の霊能力があれば人の過去は読めるし、質問をする事で答えを導くのは詐欺師が使う技なんてのもある。

そして、その信用した占い師から品物を勧められた、普段なら断る品物もつい買ってしまう。

これも軽い催眠状態で品物を買わせる詐欺商法と似てるだろう。

そして5千円も出したから、それなりの価値がある筈だと思い込む、実際に持つと気持ちが落ち着くし、積極的になれる気がする。

何回か持つうちに依存をしてしまうと。


「それでマスターはどうするんですか?その占い師をとっちめるんですよね」


「難しい所なんだよな。全く効果が無いって訳じゃないし、買ってる人も納得して買っている。これだと被害が出てるとは言い難いし」


「黒魔術か呪術が込められた道具を売っている証拠でもあれば、占い師に干渉が出来るんだけどNa−」


でも占い師は、一見の客には、そんな物は売らないと思う。

買った客も占い師を信じきっているから、俺達の言葉を信じてくれる可能性は低い。


「場合によっちゃ占い師も救わなきゃいけねえかもな」


「ほへっ?マスター、どう言う事ですか?」


「この球が惹き寄せるのは人間だけじゃないって事。下見に行きたいけど野郎1人で占い屋は目立つよな」


事前調査班の報告じゃ、占い師の店は中学生や高校生の女の子で賑わっているらしい。

俺1人で行くと悪目立ちしちまうが、八木と一緒なら更に目立つ。


「柘植さんに頼んで見ればどうDa?あの人見た目だけは中学生だZe?」


「パス。柘植さんは本業の医者だけでも忙しいから休みの日にはキチンと休んでもらいたいからな。そういや八木は卒業したら何になるんだ?」


俺達の組織に決まり事の1つに、きちんとした本業を持つ事ってのがある。

どうしても本職にしてしまうと条件の良い依頼や高額な依頼を優先して金や欲に溺れてしまうからだ。

ちなみに組織に属している人の仕事は、医者、弁護士、警察、雑誌記者、探偵、占い師、警備員、整体、など多岐に渡っている。


「今考えてるのはオカルト雑誌の記者だYo−。記者なら仕事をしながら調査も出来るし情報も集めやすいからNa−」


八木や柘植さんみたいな事前調査班の人が多く着いてるのは記者、医者、警察みたいに不特定多数と接しても怪しまれない職種。


「俺も、もう少ししたら教育実習が始まるんだよな」


(馨ちゃん、山田さんが先生って平気なの?麗奈ちゃんの気持ちに気付いてないよね)


(あー、あいつの恋愛関係の鈍さは凄いからな。確か山田は男子校を卒業しているから教育実習もそこに行くと思うから大丈夫だと思うYo−)



――――――――――


 コンビニのバイトを終えると、麗奈がイソイソと近づいて来た。


「山っち、これから付き合って欲しいお店があるんだけど良いかな?」


「うん?こないだの服屋か、それとも新しい食い物屋か?」


「違うよ。今、評判の占いのお店、シスター・アーミーに行きたいんだよね」


シスター・アーミー、多分占い師の名前が亜美か愛美なんだろうけれど訳し方によっては修道女の軍隊。

そして例の球を売っている店でもある。


「良いけど何を占ってもらうんだ?」


俺にしてみれば渡りに船だから、有り難いんだけど。


「それは着いてからのお楽しみ。さっ行こ」



―――――――――


 シスター・アーミーの店は人気のアミューズメントパークの一角にあった。


「山っち、凄い行列だねー。さっ、並ぼ」


「麗奈、これに俺も並ぶのか?」


並んでいるのは、殆どが女性で男はカップルで一緒に来ているぐらいだ。


「当たり前じゃん。山っち、先生になるんでしょ?照れてどうするんの?」


「いや、照れ臭いのもあるけど、俺は場違いじゃねえか?」


それに坊主がシスターに占いをしてもらうなんて皮肉にもなりゃしない。


「大丈夫!!こうして手を繋いでいたらカップルに見えるから安心でしょ?」


麗奈はそう言うと俺の手を握ってきた。


「カップルに見えて良いのか?」


「良いから手を繋いだんじゃん」


そんな何時もの話をしながら順番を待っていると、シスター・アーミーの店が見えてきた。


「麗奈、アーミーさんってシスターなんだよな」


「そうだよ。言ったじゃん」


「それなら何でテントがアラビアっぽいんだ?」


シスター・アーミーの店はアラビア風のテント。


「音楽もアラビアっぽいもんね。それは雰囲気でしょ?この方が占いって感じするじゃん」


「シスターって言ったらキリスト教だろ?アラビアはイスラム教だから日本でしか考えられない取り合わせだな」


国よっては袋叩きにされてもおかしくはない。

シスターを自称する女性がやっているアラビア風のテントに坊主が並ぶとはね。

山田さんで人気あるのだれでしょうか 3部作人気投票したら誰かベスト10に入るでしょうか

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