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届け! 愛の歌

ジャスラ作戦。


「しかし誰が…… 俺は嫌だぜ! 」


「俺も無理だな! 」


「私だって遠慮させていただきたい」


当然皆嫌がる。それもそのはずジャスラと戦うなど無謀すぎる。


「ここは唯一の生き残りの彼にやってもらうのが自然なんじゃないかな」


「俺…… 冗談だろ? 嫌だね。そんな危険なこと誰がやるか! 」


怒ってしまった。やはり無理があるか。


「まあまあ良いじゃねいか。これも運命って奴さ」


ドッドが説得するが……


「知るか! お前は見たことが無いからそんなことが言えるんだ! 俺は確かに遭遇したことはない。だがすぐ近くで見たことがある。恐ろしいなんてものじゃない。この世の終わりだとさえ思った。あの醜い化け物に触れるのなんてまっぴらごめんだね! 」


それは誰だってあの化け物に関わりたくない。まさかわざと捕まりに行くなんて命知らずの馬鹿がやること。だが誰かがやらなくてはステーテルを救えない。



「やっぱりダメか。ガムあとどれだけだ? 」


「さあもうあと一時間は切ってると思うわ」


「よし。こうなったら仕方がない。言い出しっぺの者に責任を取らせよう」


話がまとまった。


「言ったのは? 」


「ガムさんかと…… 」


「ちょっと待ってよ。確かにジャスラの話はしたけどドッドが聞いたから答えただけで何で私が? それにまた私が襲われないといけないの? 」


「まあそうだな…… 」


多数決を取ることに。


だが誰も行きたがらないせいでなかなか話が進まない。もう時間もわずかしか残されていないと言うのに。


「誰か? 誰がいい? 早く! 」


ダメだやはりまとまらない。これはもう仕方がない。



「分かったよ。俺がやる。それでいいだろ? 」


「ドッド…… 本当にそれでいいの? 」


「ああ。これもリーダーの役目さ。曲がりにもこの集団を率いた。その俺がやらないで誰がやるって言うんだ! 」


ドッドの決断は尊い。気が変わる前に話を終える。


さあもう時間もない。急いで準備に取り掛かる。



城内


ド・ラボーだから魔王も私を選んだ。なら魔王の理想からかけ離れたド・ラボーを演出すればいい。


そうすれば王子はおろか魔王に愛想を尽かされるはず。でも待って…… 


やり過ぎれば逆鱗に触れて危険だ。できるだけ嫌われ、それでも失望されない程度に。ああもう!



「ねえ私がもし王子と結婚すればどれほどの贅沢ができるの? 」


「それはもちろん。できる限りの贅沢はさせてやるつもりだ。服だって装飾だって何だってな! 」


「あらあら…… 私の浪費癖に着いてこれるかしら? 」


「何! 」


「ド・ラボー様にふさわしい最高級な物を全国から集める毎日。湯水のごとく無駄遣いしてしまいそう。ああ今から楽しみだわ」


いくら王子の為とは言えここまでやれば愛想も尽きるはず。さあどうする?


「ふふふ…… 誰だと思っている。魔王様だぞ! 」


「あらあら。どうかしら? 」


「ふん! 心配するな。お前が王子と結婚すれば贅沢三昧の未来が待っている。さあそれくらいで大人しく時間切れまで待っているんだな! 」


魔王は有無を言わせない。


これくらいでいいかしら…… 機嫌を損ねては元も子もないしね。



夕暮れ時。城外では……


「よし説明はこれくらいでいい。一気に取り掛かってくれ! 」


「おう! 」


ラララ……


歌姫ガムの登場だ。


「さあ来い! ジャスラ! 」


急に風が吹いてきた。何だか体も酷く冷たい。陽も暮れ始め急に暗くなっていく。


何かの前触れ? 不気味な空気が支配する。


間違いない! ジャスラのお出ましだ。



「ほらドッドも歌って! 」


「ええっ? 俺は遠慮したいんだが…… 」


「今更何を言ってるの? 恥ずかしがってる場合じゃないでしょう! 」


「まあ…… 確かに。ちくしょう! 」


ガムに合わせて歌い上げる。


「本当にこれでいいのか? ものすごく恥ずかしいんだが…… 」


ドッドは疑い深い。


これで何も起きなければただ恥ずかしいだけの人。何とかガムに合わせる。


「さあ皆もお願い! 」


ラララ…… 


大合唱。


さあ最後のチャンス。


もし上手く行かなくてもやれるだけのことはやったのだ。後悔はない。諦めがつくと言うもの。



「なあ聞こえないか? 」


遠くの空から獣の雄たけびが。


ギャア!

ギャア!


ジャスラの叫び声。


不気味で醜い化け物が翼を広げこちらに向かってくる。


                  続く

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