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二度目の四天王ライフ  作者: 羅弾浮我
第一作:〜異世界への突入、『聖陽郷』での波乱〜
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11話:覚悟

「――ね、ねぇ? いつまでこうしてるの……?」


「ずーっと!」


 宮廷の庭園にある岩上に座っているアキラ。その目線の先には腰に手を回し抱きついているリゥがいる。

 リゥがアキラに抱きついてから、彼此五分は経っているだろう。それでも一向に止める気配のないリゥに、とうとうアキラが声を掛ける。


「ずっとって……もうそろそろゴウさんとかも戻ってくるでしょ?」


「なら戻ってくるまでー!」


 いつにも増してくっついているリゥ。そんなリゥの行動の理由は、アキラにも分からない。ただ、いつもと何かが違う。

 そもそも、リゥがこうして甘えてくるようなことなど滅多にないことなのだ。いつもは大体揶揄いが多く、エスっ気の多いリゥが、今はまるで保育園児のように甘えている。

 そんな普段と違うリゥの行動に、アキラも困惑を隠せない。


「なんでそんなに……もうっ!」


 リゥの行動がおかしいその理由は、アキラには分からない。しかし、それを突き返す理由も必要性も、アキラにはない。よって、アキラは考えることをやめる。


「その体勢じゃ疲れるでしょ! いつもと同じにしなよ!」


 いっそ開き直ったように堂々とするアキラ。そんなアキラに、リゥは目を丸くする。しかしそれは、気持ちを素直に伝えられないアキラの優しさと照れ隠しなのだ。

 それをすぐに理解したリゥは、表情を柔らかくしてから()()()の体勢に戻る。

 リゥが座り、その膝の上にアキラを乗せた形。これは、龍翔時代のリゥがまだ中二だった頃。初めて後輩が出来た時から、龍翔が後輩たちにやってきた事だ。

 龍翔が二年の時には、一つ下の後輩を部活の休憩時間などにずっと乗せていた。それが今、アキラだけに集中しているのだ。

 口が裂けても言えないが、アキラはそれに内心満足している。色んな人を乗せていた膝を、今は心置き無く独り占めできるのだと。


 膝の上に乗り、リゥの腕にギュッと抱かれる。なんとなくだが、腕の回し方にはリゥの心情が表れる気がする。

 例えば、肩に腕を回すのは疲れている時だ。疲れているからなのか、前傾姿勢で体重を背中に少し乗っけてくる。

 次は、少し体を後ろに倒している時。これは背もたれがある時に限られるが、その時は大抵リラックスしている気がする。

 そして今回のように、脇腹や腕付近をギュッと抱く時。それは、どこか寂しげな表情をしていることが多い。


 さっきのアキラの言動も、普段のリゥなら揶揄っていただろう。揶揄われたいわけではないが、それをしなかったことが、アキラにとって少し心残りだった。


 そしてアキラは、リゥに無言で抱き続けられる。背中ではリゥの頭を感じ、手はリゥの手を握っている。

 その二人に、誰も何も言わない。十二人衆の子どもたちも、視線の先にあるレイの合図を理解して話を止める。彼らの視線の先、レイが人差し指を立てて口に当てている。まるで、今は二人の間に介入しない方がいいと、そう言う様に。


「――リゥ、戻ったぞ」


 静かな空間に響く一筋の声。その声に気付き、どこか上の空だったリゥは目を覚ましたかのようにハッとする。それはアキラも同じだ。


「あ、ああ、ゴウか……」


「どーしたンだよ。二人揃ってそンな(ほう)けた面して」


「あ、んや、なんでもねぇよ」


「俺も大丈夫です」


 ゴウの言葉にリゥは首を横に振り、そのリゥに同意するアキラは首を縦に振る。違う動きで同じ意見を表現する二人にゴウはプッと吹き出す。


「あぁ、悪ぃ悪ぃ。おまえらってマジで仲良いンだな」


 そう言ってゴウが笑い、それを見た二人は顔を見合わせて首を傾げる。


「それで、ゴウが戻ったってことは用事も終わったってことだろう? その話を、先にしようじゃないか」


「ン、そうだな」


 三人のやり取りに割って入るレイ。さっきまでは静かに見守っていたレイだが、ゴウが来たことによって会話を優先する。


「話? って、何かあったの?」


「あぁ。さっきの会議にいた二人組覚えてるだろ? あの二人の処遇をゲンと一緒に決めてきたんだよ。因みにその処遇は拷問になって、ゲンが今は担当してるぜ。ゲンが担当ならあの二人組も直ぐに情報を吐くだろうしな」


 意味深なゴウの発言。確かにあの速攻を見せられれば拷問官を務めていても不思議ではない。


「それで、話だろ? 話題ズレてんぞ」


「ああ、すまねすまね」


 毎度のことだがゴウが話題を持ってくる時はかなりの確率で脱線する。しかも周りが言わなければどんどんズレていくのだ。


「まぁ、話ってほどでもねーわな。報告みたいなもンだ。そっちの十二人衆もこっち来ーい!」


「あ、はい!」


 そう言って、ゴウは近くで話している十二人衆にも声を掛ける。


「ゼンジさんからの伝言な。明日、もう一回会議がある。今回は俺ら四天王にアキラたち天使、それから十二人衆らだけの会議だったが、次の会議には『SCH(邪陰郷対策本部)』の特戦隊ら特別班からの選抜者も集まる。それだけ大掛かりな会議だ。リゥも戻って来たし、漸く本腰入れてスタートってとこだな。ンでもってその会議も宮廷の、大ホールで行う。だから、明日全員が集合できたら直ぐに始められるように、俺らはここで泊まりだそうだ」


「会議の為にそこまで……そろそろ僕たちも、本気になるって事だね」


 ゴウが持ってきたゼンジからの伝言。その内容にレイが目を細める。そんなレイの言葉にゴウも「ああ」と頷く。


「やっぱり、俺が戻されたのもそれが理由……か」


「勿論、それだけが理由じゃないよ? 確かに今回の事ではリゥの力は必要不可欠だ。戦力もできるだけ高い方がいい。しかし、これがなくてもリゥは必要な存在だ。四天王としても、十二人衆の君たちとしても、そうじゃないかい?」


「はい! お兄ちゃんは、僕たちにとっても、必要な存在ですから!」

「リーにがいない時は辛かったです。だから、戻ってきてくれて嬉しいです!」

「兄ちゃんがいたから俺たちも成長出来たんだし!」

「お兄はねー! 絶対に必要な存在なのねー!」


「お前、ら……」


 十二人衆と呼ばれる子どもたちも、万遍の笑みで思い思いの言葉を尽くす。その言葉の一つ一つは違っても、どれも意味は同じだ。

 それはつまり――、


「リゥくんは、やっぱり皆にとって必要だよ。俺も、リゥくんに助けられてるし!」


「アキラも……」


 十二人衆の言葉に続き、アキラまでもがリゥの存在を必要と、そう言ってくれるのだ。


「僕たちだけじゃない。街の人々にとっても、リゥの存在は必要不可欠だ」


「そう、だな。折角、『四天王』の称号を得たんだ。それだけの優遇も受けて来た。だからこそ、俺も全力を尽くす。お前らの期待にも応えられるようにな!」


 周囲の期待と願い、それは同時に希望でもある。四天王のリゥは、沢山の人々の希望なのだ。

 それに改めて気付かされ、リゥは覚悟を決めた。




 ――ように思えた。

今回登場した『SCH』は『シャドウ、カウンターメジャー、ヘッドクォーターズ』の略です。シャドウは『邪陰郷』を、カウンターメジャーは対策、ヘッドクォーターズは本部という感じで使ってます。

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