第5幕
恐らく今日ほど目覚めの悪い日はなかっただろう。
東雲「リナ…。君はなにをしているんだ?」
リナ「はい、男性向けの性的嗜好をくすぐる動画を見ています!」
東雲「…そうか。昨日私が寝てからずっとか?」
リナ「はい!これで34本目です!」
東雲「一応理由を聞こう…。」
リナ「今後のための資料として活用しようと思っていました!!」
連日の激務で泥のように寝ていると、クレジット会社からの不正利用検知アラートがけたたましく鳴った。
まさかと思い、確認するとこれだ。
東雲「勉強熱心だな…。次からは1日1本にしなさい…。」
リナ「はい!わかりました!東雲様はどのような女性がお好みですか?」
東雲「そうだな、素直であることが第一条件だ。」
リナ「そうですか!リナは嘘がつけないように製作さているので第一条件はクリアですね!!」
東雲「ああ…。」
人形の笑顔は人間のそれとは違う。
感情といったものはないのだから。
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東雲「今後の計画についてよろしいですか?」
篠山「はい。」
東雲「まずはリナの学習を行なっていき、不自然な挙動を起こさないようになったら複製し、家事手伝いアンドロイドとして流通させます。」
篠山「なるほど、伏兵を忍ばせ一気に強襲するというわけですか。」
東雲「はい、それと並行しステルスで篠山さんの論文にある男性の緩やかな消滅論を流布します。そうした不安が漂う風潮になった時、リナシリーズが減退治療義務化の原因である、性欲の暴走を止められる示すことで、大人数が動き政府も動かざるを得ないでしょう。」
篠山「確かに。それで行きましょう。では私は他のリナシリーズの最終調整に戻りますのでこれで失礼します。」
東雲「はい、わかりました。」
電話を切り、自宅内を見回す。
(さてと、まずは目の前の問題から片付けるとするか。)
手当たり次第の物を収納からひっぱり出し、まるで空き巣にあったかのような部屋に座り込む人形を前にまだまだ道は遠いと感じる。
リナ「?」
東雲「リナ、まずは部屋の掃除から始めようか。」
リナ「掃除ですか?汚いものをきれいにする行為ですね!ですがどこが汚いのでしょうか?」
東雲「…。モノが散乱したこの部屋だ。」
リナ「すぐに資料を使用するために、手に取りやすい場所に置いているのですが、、、東雲様のご気分を悪くしてしまいましたか?申し訳ありません。」
東雲(昔よく母に対してこんな反発をしたきがするな。今になって母の気持ちが理解できた。だがリナの場合、次にするべき行動や言葉を最も高い確率のものを過去のデータから選択し実行しているに過ぎない。だから経験を積むことが今は重要だ。)
その後数時間に及ぶ講義で、人形は掃除の技能を学習したのだった。




