↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
1/26

序 王子さまと赤いずきんの女の子 ~こんな穏やかな日々が~

 始まりは、よくある童話の一場面的な感じにしてみました。

 穏やかな日々、主人公は可愛い動物たちに囲まれていて、そこに登場するのはやっぱり王子さまなのです。

 さてさて、こんどの物語はどんな展開になるのでしょうか。

 王子さまにかけられた呪いとは・・・

 むかし、むかし、宮殿《きゅうでん》の中《なか》にある庭園《ていえん》の小《ちい》さな池《いけ》の畔《ほとり》に広《ひろ》がる芝生《しばふ》で、小鳥《ことり》たちやリス、ウサギやアヒルなどに囲《かこ》まれ、それら動物《どうぶつ》たちと楽《たの》しそうにお話《はなし》をしている赤《あか》いずきんを被《かぶ》った少女《しょうじょ》がおりました。時折《ときおり》、池《いけ》のふちに並《なら》んだ多《おお》くのカエルが、赤《あか》いずきんの少女《しょうじょ》に向《む》かってゲコゲコゲ~コとゆかいなコーラスも披露《ひろう》し、それに合《あ》わせて集《あつ》まっている動物《どうぶつ》たちも体《からだ》を揺《ゆ》らせていました。


 

 多《おお》くの動物《どうぶつ》たちの真《ま》ん中《なか》に座《すわ》っている赤《あか》いずきんを被《かぶ》った少女《しょうじょ》は、その細《ほそ》くかわいい指《ゆび》に綺麗《きれい》な黄色《きいろ》の小鳥《ことり》を乗《の》せて話《はな》しをしています。

「へぇ~~、そんなに綺麗《きれい》な景色《けしき》が見《み》られるの?」

 小鳥《ことり》はぴぃぴぃとさえずっているだけのようですが、その少女《しょうじょ》には人《ひと》の言葉《ことば》として聞《き》こえていました。

「そうなんだよ、ここから南《みなみ》の森《もり》を越《こ》えたところに小《ちい》さな湖《みずうみ》があってさ、そこに映《うつ》る夕日《ゆうひ》がとても綺麗《きれい》なんだぜ。」

「いいな~~、私《わたし》も見《み》てみたいな~~。」

「でも残念《ざんねん》。僕《ぼく》たちのように空《そら》を飛《と》べないと見《み》えないんだよ。」

「そうなの? でも~、湖《みずうみ》の畔《ほとり》からでも奇麗《きれい》な景色《けしき》が見《み》えるんじゃない?」

 すると芝生《しばふ》に降《お》りている青《あお》い小鳥《ことり》が言《い》いました。

「そうだよ、きっと綺麗《きれい》だよ。だって湖《みずうみ》全体《ぜんたい》がオレンジ色《いろ》に染《そ》まるのだから。」


 青《あお》い小鳥《ことり》の言葉《ことば》に少女《しょうじょ》は目《め》をきらきらさせています。


 そこへ身《み》なりの整《ととの》った少年《しょうねん》がお供《とも》の従者《じゅうしゃ》を連《つ》れてゆっくりと近《ちか》づいて来《き》ました。


 その少年《しょうねん》はこの国《くに》の王子《おうじ》さまです。


 王子《おうじ》さまは少女《しょうじょ》のそばまでやってくると、そっと手《て》を差《さ》し出《だ》し、

「やあシャルマント、こんなところに居《い》たんだね。小鳥《ことり》たちと何《なに》を話《はな》していたの?」

「まあアルドリック様《さま》、小鳥《ことり》さんたちから綺麗《きれい》な夕日《ゆうひ》が見《み》られる湖《みずうみ》の話《はなし》を聞《き》いていたの。」

「綺麗《きれい》な夕日《ゆうひ》が見《み》られる湖《みずうみ》か・・。」

「そうなの、南《みなみ》の森《もり》を越《こ》えたところにある小《ちい》さな湖《みずうみ》なのですってよ。」

「それは興味深《きょうみぶか》いね、私《わたし》も知《し》らない湖《みずうみ》だなんて、こんど私《わたし》たちも行《い》ってみようか。」

「本当《ほんとう》?」

「ああ、行《い》ってみよう。」

「まあ嬉《うれ》しい。」

「ところで、一緒《いっしょ》にお茶《ちゃ》はどうかなって、誘《さそ》いに来《き》たのだけれど・・。」

 するとシャルマントはぴょんっと立《た》ち上《あ》がり言《い》いました。

「では、私《わたし》はお茶菓子《ちゃがし》を持《も》っていきますね。」

「君《きみ》が?」

「そうよ、『メゾン・フォシエ』のビスキュイなの。」

「えっ? あれは高級《こうきゅう》で人気《にんき》があるからなかなか買《か》えないんじゃなかったかと思《おも》うのだけれど・・。」

「ふふ~~ん、私《わたくし》、『メゾン・フォシエ』のランスおじいさんとお友達《ともだち》なの。」

「へぇ~~、私《わたし》も知《し》っているよ『メゾン・フォシエ』のランス氏《し》と言《い》えば有名《ゆうめい》な方《かた》だからね。そんな有名《ゆうめい》な方《かた》といつお友達《ともだち》になったんだい?」

「昨日《きのう》。」

「昨日《きのう》?」

「そ、昨日《きのう》。ランスおじいさまの大切《たいせつ》なモノを見《み》つけて上《あ》げたの。」

「ふ~ん、その話《はなし》、もっと詳《くわ》しく聞《き》きたいな。ではお茶《ちゃ》の席《せき》でゆっくりと聞《き》くとしよう。」

「ええ、喜《よろこ》んで。」

 赤《あか》いずきんを被《かぶ》った少女《しょうじょ》はお屋敷《やしき》に向《む》かって駆《か》けだしました。すると周《まわ》りに集《あつ》まっていた多《おお》くの鳥《とり》たちはパタパタパタっと一斉《いっせい》に舞《ま》い上《あ》がり他《ほか》の動物《どうぶつ》たちはあちらこちらへと走《はし》って隠《かく》れてしまいました。池《いけ》のふちに並《なら》んでいた多《おお》くのカエル達《たち》は一斉《いっせい》に池《いけ》の中《なか》へと飛《と》び込《こ》み、ポチャポチャポチャンと音《おと》がします。少女《しょうじょ》は走《はし》りながら振《ふ》り向《む》いて言《い》いました。

「ザバン、あなたも一緒《いっしょ》に食《た》べるでしょ、『メゾン・フォシエ』のビスキュイ。」


 すると、少女《しょうじょ》の振《ふ》り向《む》いた先《さき》の少《すこ》し離《はな》れたところに寝《ね》そべっている大《おお》きなオオカミが、それまで我関《われかん》せずといった感《かん》じで伏《ふ》せていた顔《かお》を、きりっと持《も》ち上《あ》げ、赤《あか》いずきんを被《かぶ》った少女《しょうじょ》に鋭《するど》い視線《しせん》を向《む》けると同時《どうじ》に跳《は》ね上《あ》がって、

「うぉぅ うぉぅ。」

と声《こえ》を発《はっ》しながら少女《しょうじょ》に向《む》かって駆《か》けだしました。


「あっ、ザバンっ!」


 駆《か》けだしたオオカミがあっという間《ま》に少女《しょうじょ》を追《お》い抜《ぬ》くと、赤《あか》いずきんを被《かぶ》った少女《しょうじょ》はその後《あと》を追《お》いながら叫《さけ》びます。


「もぅ、ザバンたら、待《ま》って~~!」


 風《かぜ》のように早《はや》く走《はし》るオオカミは美《うつく》しい毛並《けな》みをなびかせ、その大《おお》きな口《くち》から垂《た》れる長《なが》い舌《した》からは、美味《おい》しいものが待《ま》ちきれないかというように涎《よだれ》が芝《しば》の上《うえ》にキラキラと光《ひかり》を放《はな》って飛《と》び散《ち》っていました。


「ザバン、 ねぇザバン、待《ま》ってよ~~!」


 赤《あか》いずきんを被《かぶ》った少女《しょうじょ》は何度《なんど》も叫《さけ》びながら、笑顔《えがお》で追《お》っていきます。



 そんな明《あか》るい少女《しょうじょ》の楽《たの》しそうな後姿《うしろすがた》を王子《おうじ》さまは笑顔《えがお》で見《み》ていました。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。