71 婚約契約破棄
どうぞよろしくお願いします。
ミクラ団長の良く通る声が話を続けていく。
「学校に普段の寮での様子などの調査の共有を依頼し、私達はその家と家との契約前の約束について調査しました。
ナーベイ家の、フレッサの両親に、最初にこの約束を持ちかけたのは、村長、あなたの方だということがわかりました」
「そ、それは、ナーベイ家への厚意で声を掛けただけだ!」
「……ダン村は大きな村で経済的に余裕がある。
フレッサの交通費を支給しても、各家から徴収するまでもなかったことがわかっている」
「いや、それは!」
「では、あなたの娘のキルシェの時は、村から交通費を支給しているが、徴収せずに問題なかったそうじゃないですか。
ダン村の会計や会計監査の方へも確認している。
フレッサの時はなぜか村から支給せず、ナーベイ家が負担することになったと、村長から話があったと」
フレイが手をぐっと握りしめたのが見えた。
村長がフレイの両親に嘘を言って、村人達からどう思われるかと恐れをかき立てるようなことを言ったのだろう。
うちみたいにどうやっても無理な家ならね。
しょうがないってなるけど、お金持ちだったことがある家だと、村の中で何を言われるのかってのも怖かったんだろう。
「そしてその金は、村長、あなたがフレッサの将来を買うとして、娘との婚約という形で提供したわけだ。
これは、人身売買にあたるとは思わないかね?」
「ひっ! 人身売買!? そんなわけないだろう!
私は頼まれて金を貸したんだ。しかし、返せるあての無さそうな借金だ。
貸主として担保ぐらい普通取るだろう!」
「なら、その金を返せば、何も問題ないわけですね?」
「……婚約は金とは関係ない。家と家との約束で!」
「ナーベイ家にも確認したが、息子を王都に行かせるためにした、せざるをえなかった約束だと言っている」
「くっ!
なら、娘との婚約破棄を望むなら、それなりの賠償金を頂きたい!」
「お父さん?
婚約破棄って?」
キルシェが驚いたように父親に叫ぶ。
「そうだ! 婚約破棄を一方的にこんな形で!
娘は傷ついた! 傷つけられたのだ!!」
フレイが立ち上がろうとしているのがわかり、私は慌ててフレイの手を上から両手で握ったというか、押さえたというか……。
ここは大人の人達に任せた方がいい!
「ナーベイ家が、村に交通費として納めた形なので金額は役場の帳簿に残っている。
この金額が借金ということでいいか?」
「いえ、他にも入用なものがあるとかで……、援助してきました」
団長が文官を見ると、文官は書類を手に進み出て、品物や金額を読み上げる。
「……以上。フレッサへの援助としてナーベイ家が村長個人から受取った物や金額だ。
物は購入金額を店で調べて計算しました。
この総額をフレッサ・ナーベイには責任をもって返済させる。
それ以上というならこちらもさらに国に訴えていくつもりがあるが……。
どうする? さらに続けば希少スキルを持つ者の将来を売買しようとしたことが表沙汰になり問題になるだろうが……」
「脅しか!! うーん……」
「お父さん!?」
キルシェの困惑した声が響く。
村長が絞り出したような声で言った。
「キルシェ……、フレイとの婚約は破棄しよう」
村長が言った!
ん、破棄するってキルシェ側からってこと?
「こちらからフレイの素行に問題がありということで婚約破棄しよう!」
読んで下さり、ありがとうございます。
リアクションをつけて下さるみなさま、本当にありがとうございます。
もうとてもとても励まされています。
わっ! ついてる! 読んでくれた! と大喜びしています。
今日からちょっと実家へ帰省してきます。
明日の投稿は、お休みします。明後日は午後投稿出来ると思います。
スマホで投稿する自信ちょっとなくて……。実家、Wi-Fiないですし。
1日だけお休み頂きます。
どうぞよろしくお願いします。
『逃げる元王女~』の方でちょっと書いてますが、東京のめちゃ下町です。江戸の外れ。
大河ドラマのべらぼうを観ているとなんか懐かしい気分になります。
出発は午後なので、もう1話ぐらい投稿できるかなと思います。




