36 とりあえず離れる
どうぞよろしくお願いします。
夕食を食べ終えて、それぞれの演習の話をしていると、おじいさんが学校長を連れて戻ってきた。
竜舎の番のおじいさん、すごい人なのか!? 何者?
「後で竜騎士団団長も寄ってくれるそうだ」
おじいさんの言葉にフレイが緊張した顔をして、男の子達はなんだがびっと背筋が伸びたみたいな感じになった。
竜騎士団。
もともと竜騎士が少ないからね。
確か私達が入学する7年前にこの学校を卒業した竜騎士がいたと聞いている。
フレイは期待の新人ってとこだろう。在学中に竜騎士団に入れるってとこからして。
学校長がキルシェの父から、婚約の書類を提出され、学校としては受理したこと。
内容はともかく、書類の不備などは認められなかったからということ。
そして同時に、キルシェの父から苦情を申請されたそう。
娘の婚約者であるフレッサ・ナーベイに付きまとっているペスカという女生徒がいる。娘が心を痛めている。学校として配慮をお願いしたいと。
「配慮って……、ペスカはフレイのヒーラーなんだけど」
マリアが呆れたように言う。
学校長は申し訳なさそうに話を続ける。
「学校としては、これまでの……、キルシェという新1年生が同じ寮の同郷のフレッサに付きまとい騒ぎを起こしているということは把握していたが………」
「……わかっていたのに、何故、何もしてくれなかった?」
エースが呟いて学校長を見た。
「寮でのことは基本、自分達でとなっている。
寮長並びに上級生はこの問題に介入しようと努力したと報告が来ているが?」
フレイが頷いた。
「はい、寮長や上級生、同級生達は協力してくれていましたが、キルシェが引かない、騒ぐ、泣くということが多くて……。
かなり手を焼いていて、俺が、自分が我慢できるところは我慢して……というような感じで。
やっと、この竜舎に移動できることになって、落ち着けていたんですが……」
学校長は頷き私を見た。
「ペスカ・リオ、君はフレッサのヒーラーで、竜も懐いている。
そんな君を遠ざけるのは忍び難いのだが、一時期だけ、フレッサと距離を取ってもらいたい」
「距離?」
私は聞き返した。
「申告に対して調査を行う。約1ヶ月間。
その間、フレッサと極力、行動を共にしないこと……」
ハーブが慌てて学校長の言葉に被せて叫んだ。
「ちょっと待ってください! 1ヶ月間!? 3回目の演習は!?」
そうだ、今から1ヶ月となると、神寮のお茶会があって、3回目の演習があって、夏休みに入る頃までってことだ。
学校長が申し訳なさそうに言う。
「ペスカだけ、別メニューに参加してもらう」
「チームからも抜けるってこと!?」
ユミエラが叫んで、ケビンも慌てている。
「うそだろ!? 演習にヒーラーなし?」
「……そこは学校として調整する。
そして調査を終え、9月にある昇級テスト、これを万全の体制で行えるように準備を進めている」
そうか、キルシェの……不正の疑い。
ユミエラはそこまではっきりとは言っていなかったけれど、何かおかしいようなことを言ってたし、先生達も疑っている!?
その時、竜舎に「ああ、ここは懐かしいな……」と言いながら入ってきた方がいて、見るからに竜騎士団長だとわかった。
おじいさんはその方に手を挙げて合図すると学校長に何か言ってから、フレイを手招きし、3人で竜舎の外に出てしまった。
部屋の方で話すのかな?
竜騎士団の方で、自分の預かり知らぬところで結ばれていた婚約の約束&契約に対する見直しの訴えを起こしてもらえるといいのだけれど……。
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