35 話し合い
どうぞよろしくお願いします。
「そうか……、君自身はそんな約束や借金のことは全く知らなかったと」
おじいさんは頷きながら話を聞いてくれた。
あの後、マリア達が心配して竜舎を覗いてくれて、オーバもフレイも落ち着いたから入ってもらったのだ。
竜舎の中は藁がたくさん敷かれていて、オーバから離れるのは不安だったので、そこにみんなで座りこんで話を聞いたのだ。
ケビンやハーブは「個人的なこと聞いていいのか?」と少しオロオロしていたけど、フレイが「聞いて欲しい」と言って、10歳の時の守護神&スキル判定後の親とのやり取りで、親が自分達で交通費や仕度の準備ができるので村には頼まないと言われたこと。なので、親が払ってくれていたのだと思っていたことを教えてくれた。
その後、帰省もしなかったし。
キルシェが入学してきて、昨日13歳の誕生日を迎え、今日、この話を聞かされるまで、思ってもみなかったことだった……と説明した。
「とりあえず、親が勝手にしたことなら、それを訴えることはできるね。
10歳の時だよな、親が約束したのは。
その時、フレイは知らなかったし、親には借金とかじゃなくて自分達が出すしか言われてないんだろう?
で、その借りた金額ってのは、将来的にフレイが返せる額なら、フレイが親の借金として返して、契約破棄にするのが司法判断じゃないかと思うけど」
ハーブが言うが、ユミエラが首を振る。
「でも、子どもの時に約束したんだよね」
「俺がじゃない、親がだ」
怒ったように言うフレイ。
ユミエラが呟くように言う。
「10歳なら親が子どもの未来にある程度関わるのは、よくあることだし。
仕事の約束で売られちゃうように働きに出させられる子もいるよね。
難しいんじゃ……」
「でも、俺はたぶん俺が使った金額なら、今すぐ返せる。
交通費の片道と準備に服などを用意した金額。
書類にいくら借りたのか書いてあるならそれを返せば……」
フレイの言葉を聞いて頷きながら、ケビンが腕を組んで言う。
「上乗せを求められるかもな。賠償っていうの?
キルシェの父は、竜騎士になって活躍するフレイの未来を担保に金を貸したってことだろ?」
「ああ……」
フレイががっくり項垂れる。
「それでも、やらなきゃ。受け入れるわけにはいかない」
みんな顔を見合わせ頷いた。
「協力するよ、フレイ」とハーブ。
「何か必要なことがあったら言って」とユミエラ。
「うん、自分が知らないうちになんて……、本当に恐ろしいよな」とケビン。
「俺達も協力するよ」「ええ」とエースとマリア。
みんなが私を見る。
「私もできることをする。
フレイとオーバが落ち着くまでは、できるだけそばにいることにする……」
ユミエラがため息をついた。
「ヒーラーのことだけど、キルシェ、本当に審査の時だけ異様に成績がいいの。
普段はそこまでなんだけど……。
A級になったらヒーラー変わるって言っちゃったんだよね」
私は頷く。
そう、まさか、こんなひどいことをキルシェがしてくるとは思わなかったから……。
おじいさんが考え込みながら言った。
「そのキルシェという子の審査を丁寧に見るようには学校には伝えよう」
「そんなことできるの!?」
ユミエラが驚いたように言った。
「ああ、先生方とは親しくてな。
フレイのことは先に伝えておくよ。
今夜はオーバのそばにフレイとペスカはいてやってくれ。
私は学校長のところに行ってくる」
おじいさんは出かけてしまい、私達は困った。
「ペスカとフレイだけを残していくわけにも……、いかないよな……」
ハーブの言葉にマリアが笑った。
「あら、じゃあ、みんなでここで野営する!?
私、ペスカと一緒にやってみたかったのよね!」
「あ、それ楽しそう」
ユミエラも言って、ケビンとエースとマリアがそれぞれの寮に報告に行き、野営の道具や食材を貰ってくることになった。
マリアが戻ってくる時にはヨシュアも一緒で!
他にも来たいって騒いでた子達がいたそう。
ふふふ、なんだか楽しくなってきちゃったな。
私とフレイは顔を見合わせて笑った。
読んで下さり、ありがとうございます。




