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22 私の前世(後)

転生のきっかけの話になるので、どうしても事故や死という言葉が出てきます。

苦手な方はご注意下さい。

どうぞよろしくお願いします。

 あれは15歳のクリスマス。

 午後の見舞いの時間に来ると約束していた一護がなかなか来ない。

 天気も悪く、雪が降っていて……。


 救急車のサイレンが聞こえるたびにドキッとした。


 だって一護のことだから、来ると約束したなら、破ることはなくて、来られないなら、それ相応の理由が、何か悪いことがあったんじゃないか……って、不安になった。


 救急車のサイレンがすごく大きく聞こえ、うちの病院の救急に入ったなとわかった。


 気にはなるけど、動き回るのは……。


 足音が聞こえてきて……、プレイルームのドアを開けて、そこに立っていたのは濡れたままのコートを着ている智恵理だった。


 智恵理は私の顔を見てすごく怖い顔をした。


 つかつかと近づいてくると私の顔めがけて何かぶつけてきた。


「あんたに会うために!! 一護は死んだんだ!

 この人殺し!! 私はあんたを許さないから!!」


 そう叫んで走り去ってしまった。



 私は不安でいっぱいになりながら、ぶつけられたものを見た。


 かわいくラッピングされた赤い紙袋が歪んでいる。私にぶつける前から歪んでたような潰され方。


 開けてみると一護からの手紙と小さな赤いドラゴンのぬいぐるみが入っていた。


 手紙には『メリークリスマス! これからもよろしくな! これ百果が大好きなキャラのカードだからやる!』と書いてあって、同封されてた飾れるカードケースには女神のキラカードが入っていた。



 一護との会話を思い出す。


 カードのデッキケースにお守りのように女神のカードを入れていたのを一護に見られた。


『デッキに関係ないじゃん?』


『好きなカードなの!

 お守りっていうかな……。

 この女神様、きれいでやさしそうだし!』


『へー、お守りカードか! 百果らしいよ!』



「何で……、袋が潰れて………? 一護は?」


 私はカーディガンを引っかけてプレイルームを出る。

 病棟の方に向かって歩いていくと、ナースステーションの方から話し声が聞こえた。


「事故で運ばれたの、前に入院していて、時々遊びに来てる一護君みたいね」


「あー。病院前の下の坂の事故……。

 また、高齢者だって? 運転してたの。

 今日は雪で、危ないのわかっていても、こう寒くて天気が悪いと、高齢者はどうしても車に乗っちゃうよね……」


「中学生だよね。かわいそうに……。

 百果ちゃん、まだ気がついてないよね?」


 私は慌てて廊下に隠れてから、気持ちを落ち着けて、救急外来の方へ歩いていく。


 悲痛な泣き声が聞こえて立ち止まる。


「いちごー!! なんで、なんであなたがこんな目に!! いちごー!!」


 たぶん、一護のお母さんの叫び声だろう。


 

 私は回れ右してその場から遠ざかる。

 

 気がついたらエレベーターに乗ってて、屋上を押していた。



 病院前の下の坂……。


 屋上のドアは開いた。


 雪がみぞれ状に積もっていて、うっすらと白くなっているところが所々あって。


 足を踏み出したら、サンダルから靴下から冷たさが沁み込むようにじわじわと這い上がり広がってくる。

 

 屋上の柵まで必死にたどり着くと、遠くに、まだパトカーがいるのか赤い光がいくつか点滅しているのが見えた。


 柵にしがみつこうとして手にぬいぐるみやカードや手紙を持ったままだったことに気がつく。


 涙が溢れ出す。


「一護……、私に会うためにここに来て……。

 病院に来る時に事故に……。そんなの……、そんなの……、やだ! やだ!!

 いちご……」


 雪の上に座りこんでしまう。


 私がいたから、私がここにいたから、一護が死んだ……。


 消えたい……、一護のところに行きたい……。


 冷たい空気がのどにひゅっとした。激しく咳き込む。そのまま倒れ込む。

 

 身体に冷たさが広がり、重い、痛い……。



「いちご……。いちごにあいたい……」


 口が回らなくなってきた……。


 最後に見ていたのは、白い雪が次から次へと舞い降りてくる灰色の空……。

読んで下さり、ありがとうございます。

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