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あたしの恋人  作者: 紫月 飛闇
Season1 始まりと出会い
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84/86

23、お祝いをしよう <Side 愛良>








念願の第一志望の中学校に合格して、あたしはすぐさまパパとママに、国際電話で報告した。


パパもママもたくさん喜んで褒めてくれた。そして、その一週間後には、和馬お兄ちゃんの家に、たっっっくさんのパパとママからのお祝いのプレゼントが届いた!!




「・・・・・・相変わらずやること派手だなぁ、愛良の両親は」


プレゼントの山に呆れたように呟いたのは和馬お兄ちゃん。そしてそれを見ていたロゼが、あたしにガッツポーズをつくった。


「それじゃぁ、このプレゼントに負けないパーティーをやらなくちゃね!!」


「オレだって特別マジックショーをやっちゃうぜ?」


「ほんとに?!やったぁ!!」


ロゼとジョンの提案に喜んでいると、和馬お兄ちゃんがさらに呆れたようにあたしたちに言った。




「おまえらな~愛良が合格してから毎日パーティーしてるじゃないか。よく飽きないよなぁ」


「いいじゃない、お祝いは何度でもするべきよ?せっかくプリンシアががんばったんですもの」


「それにぃ、せっかくテレビ見放題になったのに、怪盗夜叉が最近現れないからつまんないんだもん」


ぷぅっと頬を膨らませてあたしがいじけると、なぜか和馬お兄ちゃんが焦ったように相槌を打った。


「・・・・・・へ、へぇ・・・」


「ま、そんなわけだからパーティーだ、パーティー!!酒を買って来ようぜ、ジュニア!!」


「・・・へいへい」


結局最後はジョンに押し切られるようにして、和馬お兄ちゃんは買い物に行った。



和馬お兄ちゃんが元気ないのは、きっと実お兄さんの受験がまだ終わってないから。


絶対、実お兄さんも合格すると思うけどね!!









23、お祝いをしよう↑↑         <Side 愛良>











やっぱりあたしの予想通り、実お兄さんも和馬お兄ちゃんたちと同じ大学に合格!!


和馬お兄ちゃんもやっとほっとしたような顔になった。




「おめでと~実お兄さん」


「ありがとう、愛良ちゃん。愛良ちゃんもおめでとう」


合格を知らせに来てくれた実お兄さんと「おめでとう」の言い合いっこ。


うれしい言葉は何度言ってもいいよね。




「それじゃぁ、今夜は盛大なパーティーをしないとね」


「お、い~ね~、パーティー!!」


「トリックはノリがよくて助かるわ」


「ほんとになぁ、ジュニアなんて文句ばっかだぜ?」


「・・・毎晩パーティーしては片付けを俺に押し付けてこなけりゃ、文句言わずに参加してやるよ」



パーティーを提案したロゼに同調した宗次お兄さん。その宗次お兄さんの反応にロゼとジョンが満足そうにしていると、すかさず和馬お兄ちゃんからのツッコミが入った。


・・・毎晩あたしが寝る時間になっても終わることがなかった「パーティー」は、やっぱり和馬お兄ちゃんが片付けをしてたんだ。


簡単にその光景を想像できて、あたしはくすくす笑ってしまう。




「なんだよ、毎晩酒盛りしてたのかよ?!羨ましいじゃねぇか」


「じゃぁ、今夜はトリックも飲み明かしましょ」


「お~、望むところだぜ!!」


「ソージのお手並み拝見だな」


すっかり意気投合している宗次お兄さんとロゼとジョン。仲が悪かったロゼとジョンも、一緒に暮らすようになって、喧嘩が少なくなった気がする。


仲がいいのはいいことだよね、とかあたしは勝手に喜んでたりするんだけど。



そんなノリノリの3人を眺めながら、実お兄さんがぽつり。


「・・・そのパーティーって合格の祝賀会じゃないの?」


・・・・・・たぶん、パーティーができれば、理由はなんでもいいんだと思うな。







実お兄さんの受験が終わるまでは、あんまりイベント事とかで騒いじゃだめかな、と思って、毎晩のパーティーとどさくさにまぎれて過ぎちゃったバレンタイン。


もうすっかりそれも過ぎちゃったから、イベントはもうないかなぁ、と思っていたけど、あたしにとってのビックイベントが残ってた。




小学校の卒業式!!






「愛良、おまえの両親、卒業式には帰国してくるのか?」


「んーん。卒業式には帰国が間に合わないって手紙が来たよ。入学式には間に合うからって言ってた」


「へぇ、仕事が忙しいんだな」


あと少しで卒業式ってときに、ふと思い付いたように和馬お兄ちゃんがあたしに尋ねてきた。だから、この前エアメールでパパとママが言っていたことをそのまま伝えた。


海外でのお仕事、忙しいのかな。



「仕事といえば、最近ロゼやジョンも忙しそうだよね。和馬お兄ちゃんがバイトで忙しいのは相変わらずだし」


「そ、そうだな」


「でも、怪盗夜叉も最近また活動始めたから、テレビ見るのに忙しいからいいけどね~」


「・・・愛良、受験が終わったからって、夜叉の追っかけで夜を出歩くのは禁止ってのは覚えてるな?」


「・・・・・・・・・・・・・・・うん」


「なんだよ、今の間は」



・・・だって、和馬お兄ちゃんとその約束したとき、小学生の間は、ってことにしたんだもん。


あたしの心の中で勝手にだけど。



「・・・そんなことより、もっと大事なことがあるわよ、ナイト」


いつの間にかリビングにいたロゼが、びしっとお兄ちゃんを指差して言う。言われたお兄ちゃんは、なにがなんやらわからない様子でロゼを見返してる。


「・・・へ?」


「プリンシアの両親が帰国できないということは、プリンシアの大事な卒業式に参列者がいないということなのよ?!これは一大事だわ、そうでしょ?」


「ま、まぁ、たしかに、参列者がいないと、寂しい・・・よな」


「じゃぁ、決まりね」


にーっこりとロゼは笑う。その満面の笑みに、和馬お兄ちゃんが何かを察知して後退りした。



「決まりって・・・なにが?」


「プリンシアの卒業式に私たちが参列するのよ」


「はぁ?!」


「え~ほんと?!楽しそう~!!」


嫌がる和馬お兄ちゃんと喜ぶあたし。もちろん、ロゼはあたしの反応を優先してくれた。



「本当よ。ナイトと一緒に卒業式には行くわ」


恋人が卒業式に来てくれるなんて、まるでドラマみたいで素敵!!


喜ぶあたしの横で和馬お兄ちゃんが焦ってロゼに抗議する。


「おいおい、行くなんて言ってないだろ?」


「あら、今決めたのよ。もちろん、行くわよね?」


「んな、横暴なこと・・・」


「プリンシアのために、行くわよね、ナイト?」


再びにーっこりと満面の笑みのロゼ。でも、有無を言わせない威圧感がなんとな~くある。


もちろん、対面している和馬お兄ちゃんもそれを感じているようで、しぶしぶといった様子でとうとう首を縦に振った。


「・・・・・・わかっ・・・たよ・・・」



やったー!!


渋々でもなんでも、和馬お兄ちゃんが卒業式に来てくれる!!


パパとママが来れないのはすごく残念だけど、でも、その代わりに和馬お兄ちゃんとロゼが来てくれるなんて、素敵すぎる!!



「オレも行く!!」


唐突にリビングの扉が開いて、必死の形相でそう主張してきたのはジョン。


「・・・どっから湧いてきたんだよ、ジョン・・・」


「人を虫みたいに、失礼だな、ジュニア。オレはさっきからそこで話を聞いてたぞ?んでもって、そんな楽しそうなイベントなら、オレも参加する!!」


「だめよ」


ジョンまで来てくれるなんて楽しそう!!って思った矢先にロゼがきっぱりと拒絶。




「プリンシアの大事なイベントに、なぜピエロがついてくるのかしら?」


「アイラと暮らしてる者として、節目を見届けるのは義務だろ!!それに、そんな楽しそうなこと、逃したくないしな!!」


「あなたみたいな騒がしい人間が来たら、プリンシアだって迷惑よ」


「・・・同感」


ロゼの言葉にぼそりと呟いて頷いたのは和馬お兄ちゃん。


・・・・・・でも・・・。



「せっかくなら、あたしはジョンにも来てほしいなぁ」


だって、ジョンも一緒に暮らしてるし・・・。


でも、ロゼはいやなのかなぁ。ちらっとご機嫌を窺うようにロゼを見上げると・・・ものすごく苦悶しているロゼの顔があった。


・・・・・・そ、そんなにジョンと一緒にでかけるの、嫌なんだ・・・。


昔、ふたりの間になにがあったのかなぁ。




苦悶するロゼだったけど、小さな声でひどく葛藤した声で言ってくれた。


「・・・プリンシアがそう言うなら、仕方ないわね」


「・・・すっげーアイラ至上主義だな」


「もう今更だよ、ジョン」


「やった~!!」


呆れてるジョンと諦めてる和馬お兄ちゃん。そして、あたしは大喜びでリビングを跳び跳ねていた。


みんなが来てくれるなんて、卒業式、楽しみ~!!









そして、待ちに待った、小学校の卒業式当日。


パパとママにもらったプレゼントの中にあった礼服に身を包んで、あたしは小学校に向かう。その傍らには、スーツ姿の和馬お兄ちゃんとマジシャン衣装のジョン、それからオレンジのワンピースを着たロゼ。



家を出るときに、和馬お兄ちゃんが


「・・・おまえら、それは目立ちすぎだろ・・・」


って思わず言ってたけど、


「何を言っているの?目立たなくちゃだめじゃない」


「そーだ、そーだ。アイラのためにも、ここはぱぁっと派手にしとかないとな」


ってロゼもジョンも聞く耳を持たなかった。


・・・・・・う~んと、卒業式でぱぁっと派手にするって・・・ジョンは何を企んでるのかな?



あたしはふたりの突き抜けて目立つ服装に、相変わらずのふたりの個性が感じられてなんだか楽しかった。


なんか、これでこそロゼとジョン、って感じだし!!


この3人があたしの今の保護者なんですよってみんなに伝えたくなる。






卒業式は小学校の体育館で行われた。


あたしが和馬お兄ちゃんの家で<同棲>していることを知らないクラスメートや先生たちは、ロゼやジョンを見てぎょっとしてた。それもなんだかおかしくて、あたしは式の間もにやにやと笑いを堪えることができないでいた。



「・・・なにニヤニヤ笑ってるんだよ、気持ち悪いな」


「うるさいなぁ、いいでしょ、なんでも」


あたしにちょっかい出してきたのは吉崎。名前順で座ってるから、どうしても吉崎とはいっっつも出席番号が近くなっちゃうんだよねぇ。



「あの目立つ外人たち、柳井の知り合いか?」


「そうだよ。ロゼとジョン。ふたりともモデルみたいに綺麗でかっこいいでしょ?」


「モデルなのか?!」


「ううん、ジョンはマジシャン。ミスター・ベラルディって知ってるでしょ?」


「・・・って、最近まで近所でマジックショーやってた?」


「そう。今もちょこちょこあちこちでマジックショーやってるみたいだけど」


「すっげー!!マジかよ、本物のマジシャン・ベラルディ?!」


急に吉崎が目をキラキラさせながら振り向いて、保護者席に座るジョンに羨望の視線を向ける。いつもあたしをからかう吉崎が純粋に羨ましがるから、あたしはちょっと得意げになる。



「すごいでしょ~。一緒に住んでるんだから」


「一緒に?!柳井の家で?すっげぇ、どんなコネだよ~」


別にコネとかじゃないし、そもそも住んでるのもあたしの家じゃなくて、和馬お兄ちゃんの家なんだけど。


一応訂正しておこうかな、と吉崎に視線を戻したら ちょうど吉崎もあたしを見てた。


しかも、なんだか珍しく真剣な顔で。



「な、なに?」


「柳井、中学・・・・・・地元の中学校には行かないんだよな?」


「うん。しずちゃんと星華学園女子中学校に行くよ」


「そ・・・か。俺、地元の中学校に行くんだ」


「・・・ふうん?」


なんで吉崎が急にそんなこと言い出したのかわからなくて、あたしは曖昧な返事をする。


・・・ちなみに、あたしと吉崎がずっとおしゃべりしている間も、つまんない卒業式は着々と進行している。




「・・・なぁ」


「ん?」


「・・・卒業式・・・終わったら・・・少し、時間あるか・・・?」


いつもの吉崎らしくない、躊躇いがちな小さな声であたしにそんなことを聞いてくる。


どうしたんだろ、変なの。


吉崎がどんな意図でそんなこと聞いてきたのかわからなかったあたしは、あっさりばっさり、「ない」と答えた。



「な、ないって・・・ちょっとくらい、あるだろ?!」


なんか少し焦った様子で聞き直してくる吉崎。うるさいなぁ、ないって言ってるのに。


「ないものはないの。卒業式終わったら、和馬お兄ちゃんたちとお昼ご飯食べに行くんだもん」


「ロリコン大学生も来てるのか?!」


「来てるよ。ほら、ジョンのとなりのかっこいい人」


もう一度振り向いて、ふたりで保護者席を見る。ジョンのとなりで少し恥ずかしそうに座ってる和馬お兄ちゃん。


あたしと目が合うと、ちゃんと前を向けってジェスチャーしてきた。



「ね?かっこいいでしょ?」


「あれが・・・」


「あの人があたしの恋人」


にっこり笑って吉崎に自慢してやる。なのに、吉崎はジト目であたしを見返してきた。


「・・・ほ、ほんとに恋人なのかよ?柳井の妄想じゃねぇの?じつはあの男、彼女とかいるんじゃねぇの?」


「いないもん。わかるもん」


「なんでわかるんだよ、1日一緒にいるわけじゃねぇのに」


「ずっと一緒にいるもん。だってあたし、和馬お兄ちゃんの家で同棲してるんだもん」


「なっ・・・にぃ?!」


「んで、ロゼとジョンとも同居してるの」


「・・・んなバカな・・・」


なぜか呆然としている吉崎。


それから卒業式が終わるまで、吉崎はずっと黙り込んでおとなしかった。








卒業式が終わって、中学校がばらばらになっちゃう友達とお別れを言ったり、写真を撮ったりして過ごす。


やがてそれも落ち着いてきた頃、和馬お兄ちゃんたちが迎えに来てくれた。



「どうする、愛良?帰れるか?」


別れが惜しいなら別々で帰るか?って和馬お兄ちゃんの目が言ってる。


さすがお兄ちゃん、優しいんだから!!


「うん、帰る!!」


みんな地元には暮らしてるから、また会えるし。


最後にしずちゃんには、「また入学式で会おうね」って言い合って、あたしは小学校を出た。







六年間、通った校舎。それも今日でおしまい。


なんだか、さみしいというよりも、くすぐったいようなうれしさが込み上げてきた。


ちょっぴり、おとなに近づいたような、そんな気分。




「寂しいのかしら、プリンシア?」


優しく微笑みながら、ロゼが尋ねてくる。あたしは首を横に振った。


「ううん。寂しいだけじゃないよ」


にっこり笑い返してあたしは答える。


だって、これからあたしは中学生になるんだもん!!




「じゃぁ、駅前のファミレスでもいいか?宗次たちが席をとっておいてるみたいだし」


携帯のメールを見ながら、和馬お兄ちゃんがあたしたちに確認してくる。


「え、宗次お兄さんたちもいるの?!」


「ファミレスで愛良の卒業を祝うってよ」


「わ~い!!」


「じゃぁ、そのまま今夜は卒業パーティーね」


「よしきた、ネタを用意しなくちゃな!!」


「・・・そう言うと思ってたよ」


卒業パーティーを提案してくれたロゼとそれに乗ったジョン。そして、和馬お兄ちゃんがもはや諦めの体で賛同する。


やったー!!みんなでパーティーだ!!



そうして、ランチは楽しくファミレスでみんなで食べて、夜は和馬お兄ちゃんの家で盛大に騒いでパーティーをした。





そんな感じで、あたしの小学校六年間は締め括られた。


4月から、どんな生活が待っているのか、期待に胸を踊らせながら。







・・・憐れ、吉崎君・・・(泣)(泣)

鈍感娘の愛良に振り回され、挙句に和馬との同棲を知らされる、衝撃な卒業式になったようです(笑)

卒業式に、例の3人を参加させるのはやりたかったことなので、うれしいです~。

書けませんでしたけど、卒業式後、困り果てる先生方を無視して、ジョンが即席のマジックショーを再び披露していたに違いないのです(笑)

ジョンは目立ちたがりですからね。怪盗夜叉と一緒です(笑)

でも、怪盗カヴァリエーレは隠密にコトを進めるんです。不思議ですね~。さて、それはなぜかは今後に続く(笑)

2年目は、1年目ほど長くはしない・・・・・・予定です。

そして、形式も少し変わります。

本編は愛良と和馬の視点で進めてくスタンスは変わりませんが、目次の表示がちょっと変わりますので、お楽しみに。

では、次回、1年目最後のお話です。お付き合いください☆

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