133 鬼人の嫁
燻り煙を上げながら、その怪物は未だに平然としていた。
いや、平然とではない。
天が落ちたと錯覚するほどの一撃を食っていた。
「化けm……。」
アリファーが何か言い切る前に、化け物は最も容易くアリファーを捕食する。
「ッ!? 『人徳』!! 縁者の全てを……、え?」
甘ったるい声を緊張感で震わせ、一瞬にして膨れ上がった魔力を放出せんと行動した御子は背後から襲い掛かる蜘蛛に心の臓を貫かれる。
「ご主人様サマ♡ これでよろしいでしょうか?」
「ーー」
血で塗れた顔面を艶かしく見せ、うっとりとした表情で化け物を見つめるコマチに背後で蠢く樹形図で迎撃する。
本気も全力も彼女相手に出す必要はない。
もうとっくの昔にそんなもの見切っている。
化け物は自分を操作しようとしている糸を炎で焼き切る。
瞬間、額には二つのツノが生えた。
魔力は増大し、その力は周囲へ牙を剥く。
「えへ♡ 暖かい、さすがご主人様♡」
化け物は、いや化け物と称するのは間違いか。
セフィロトから転落したクリフォトの住人にしてセフィロトを纏うセフィロト。
すなわち、福幸那人と邂逅したあの悪魔が顕現した。
「ーーーーー」
在来人類では認識できない言語を上げ、在来人類では振るえない筈の権能を振るう。
すなわち、EXスキル。
その名も『実ガチャ』。
神の権能にして人には過ぎた権能。
生命の源流、万象の渦、神々ですら躊躇う暴威を悪魔は最も容易くこの世界と紐付ける。
背そのまま、コマチを食らおうとし……。
「食らいなさい、【愛おしき彼の暴食】」
それは阻止された。
暴食は突如現れた黒い霧に己の一部を消失させられ大いに困惑する。
その権能も人の身では扱えない筈。
EXと数多の大罪を背負った自分以外では展開できぬ筈だと睨む様に視線を横に向ける。
「しぶといわね、荒野の悪魔は。」
だが、その視線を気にも止めず女は再度魔本を開く。
「『魔道図書館』、百万を超える魔法を遍く展開なさい。」
そう告げると、天空に数多の魔法が展開され打ち出される。
「ーーーーー」
その全てを忌々しげに眺め、直後暴食は身体中に幾万もの魔法を浴び続ける。
数多の魔術の雨を浴び、その体躯を一時的に大きく欠損させた。
「ーーーーー」
「獣風情がほざくんじゃないわよ、恥を知りなさい。」
「ーー」
そう言って、魔本を閉じる。
「さて、手伝ってくださるかしら? 委員長サマ?」
「勿論。」
そう言うと、煌めく空気の中から北欧風の衣装を身に纏った1人の女性が現れる。
何を隠そう、あのサイコヤンデレだ。
「さて、横取りは許さないよ。」
猫をかぶりながらも本性を隠しきれぬその口調で女は告げると直後にスキルを発動する。
もう既に終わりはすぐソコに迫っている。
えっとですね、ハイ。
悲報です。
あと10話もせずに本作は無理やり完結します。
答えとしては幾つもあるのですが、大きく分けると3つですね。
1、プロットの構成から離れ過ぎた。
2、予想外の小話やキャラが多くなり過ぎた
3、福幸が死亡フラグを踏んだ。
この三つです。
いくつか弁明、もとい言い訳をさせてもらいますと。
1は完全に昔の俺の見通しの甘さですね。
暴食無双を書いてて物語としてまとめ上げ切りたいとは思っていたのですが最初の段階で無理矢理な設定をねじ込んでたりとかパワーバランスおかしかったりとかが主要な原因ですね。
過去の俺、何やってんだよ…。
で、2ですがぶっちゃけこの作品の八割ぐらいが想定していない話と想定されていないキャラクターで作られてます。
と言うか、ぶっちゃけコマチも初期プロットには存在しないキャラです。
正直こんな状況でここまで続くとは思わなかった。
で三つ目ですが、福幸さん実は過去の作者が用意した地雷に引っかかってました。
簡単に言えば暴食の濫用かつ実ガチャの使用期間の開き過ぎですね。
暴食の濫用は悪魔が目覚めるキッカケですし、実ガチャのほうは……まぁ後ほどということで。
まぁ、諸々の事情から本作はあと10話もしない内にバットエンドで終了します。
ここから先は消化試合に近いですが是非とも最後までお付き合いください。
まぁ、消化試合とは言っても手を抜くわけではないのですが……。




