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モフ神様と森の中  作者: 南人
3/32

具現化しよう!

「合格にゃ」


 にぱっと笑って親指を立てた黒猫ちゃん――名はレベッカ――に中に案内され、ソファーに座らせてもらう。何だろうこの家すごく落ち着く。


「――ウン、やっぱり良い匂いがするにゃ~モーモー様が気に入るのわかるにゃ」

「そうじゃろ。優しい匂いじゃ」


 モフ神様とレベッカが話をしているのをぼんやり眺める。

 室内に入るために小さくなったモフ神様の全体像がよくわかる。真っ白だと思った毛並みは先が淡い紫色でキラキラと輝いておりとても綺麗。円らな瞳も紫で宝石のアメジストみたい。左右に2対計4つの耳と長い尻尾が話に合わせてピコピコ動く。

――癒しだ。究極の癒しがここにいる。


「稀人かにゃ~大変だったにゃ~部屋にゃら直ぐ用意するにゃ」

「ありがとうございます。お世話になります」

「もっと気楽にするにゃ~堅苦しいのはキライにゃ。んにゃ用意してくるにゃ~」

「――ありがとう」


 レベッカを見送りソファーに深くもたれ掛かると、モフ神様が隣に座ってきた。


「ここなら安心じゃ。ゆっくり慣れていけば良い」

「ありがとうございます」

「我も堅苦しいのは好かん。レベッカの言う通り気楽にの」

「は――ウン」

「良い子じゃ」


 モフ神様に抱きしめられてモフモフの手で頭を優しく撫でられる。頭を撫でてもらうなんて何年ぶりだろう。安心感が半端ない。安心したら疲れがどっと押し寄せてきた。

 気付けばモフ神様のモフモフに埋もれて何時しか眠っていた。


◇◇◇


 一眠りしてスッキリした頭でスキル確認の続きをする。


 天野幸恵(28)

 性別 女

 種族 人族 異世界人

 HP 50/50

 MP 550/550

 スキル クリエイト

 加護 精霊王の加護


 何か1つ増えてるんですけど?! しかもHPMPも増えてるし!


「精霊王の加護?」

「あにゃ、モーモー様加護あげたんだにゃ~久しぶりにゃ」

「えっ!モーm…じゃない。モフ神様って精霊王なの?!」

「そうにゃ~『深遠の森』を統べる精霊王だにゃ」

「えぇぇ~~!」


 ひぇ~~!私ったら王様を抱き枕にしちゃったよ!え、よだれとか付けてない?大丈夫?


「気にせんでええよ。サチは良い子じゃからの」

「モーモー様、随分サチサチの事気に入ったのにゃ~」

「そう言うお主も気に入っとるじゃろが。もうその呼び方かい」

「にゃはは~」


 2人?2匹?のやり取りを聞きながら『クリエイト』の文字を触ってみる。こういうのって説明文が出たりするよね?――ホントに出たよ。


『クリエイト』創造魔法。

  具現化 Lv1(1/1)


 えらく簡単な説明文だな。しかも新しい文字が増えたし。


『具現化』絵に描いた物を実体化できる。レベルにより1日の使用回数が変わる。


 え、これって絵を描くことが得意な私にとってある意味チートなんじゃない?!


 慌ててソファーの横に置いていたデイバッグから画材道具を引っ張り出す。会社が休みの時に近くの商業施設で似顔絵を描いていたから、カラーペンはもちろん色鉛筆やら一式入っている。

 画用紙を前に何を描くか考える。1日1回しか使えないから慎重によ~~く考えないと…


 ぐ~~~きゅるる


「あにゃ、少し早いけど夕食にするにゃ~モーモー様も食べるかにゃ?」

「久々に馳走になろうかの。サチも今は食事じゃな」

「……ハイ///」


 食事は魚料理と野菜スープ、パンでした。ラノベでありがちなメシマズ問題もなく、普通に美味しかったよ。ごちそうさまでした。


◇◇◇


 食事を終えて改めて何を描くか考える。

 住む所の心配は無くなったから衣服か…でも待って。さっきの夕食の時から頭から離れない物があるのよね。――それはズバリ白いご飯!

 絶妙な塩加減の焼き魚にはパンもいいけどやっぱりご飯でしょう?!ご飯大好きな私にはお米は外せない!――なのでお米を描くことにした。


 いざ描こうとして――困った。お米ってどう描こう?スーパーの米袋…うまくいかないな…お米…米…米俵!!

 瞬間、頭の中に明確な画像が浮かび上がる。気付けば手が動いていた。


 異世界に来て初めて使った魔法で出したのは――米俵でした。

気にいって頂けたなら感想の程、よろしくお願いします。

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