第25話「入学試験へいざゆかん」
「お待たせしました!朝食セット二つです!」
そう言いながら、昨日の女の子が朝御飯を運んできた。
前世とは違い小さな子供でも貴重な労働力の一つだ。
俺も、小さい時から食事の支度や、洗濯など家の細かい仕事は
こなしてきた。
元々一人暮らしをしてたせいもあって特にに不便は無かったが
この世界は、調理方法も煮るか焼く、もしくはそのままってのが基本で
あまり手の込んだ料理は見た事が無い。
特に辛かったのが味付けだ。
調味料は基本的に貴重な為ほとんどが薄味でほぼ塩のみ
典型的な日本人の俺としては味噌や醤油が欲しい所だが
売っているのは見た事が無い。
味噌や醤油があるだけで食卓が豊かになるのだが無いものねだりだろうなぁ。
「もぐもぐ、んでサイラス、んぐ。
今日は、もぐもぐ。どうするの?」
「マルコ飯の時位、喋るか食べるかのどちらかにしろよ。
テーブルの上が食べかすだらけじゃないか。」
食べながら喋るマルコのせいでテーブルがぐちゃぐちゃになっている。
コイツはほんとに同い年か?
「あ、ゴメン・・・・。」
「何をってお前、来ただけじゃ試験は受けれないだろ。
朝飯食ったら学園で入試の手続きしなきゃダメだろ。」
「あっそうか!?サイラスって頭良いなぁ~。」
うぅ。頭が痛くなってきた。
「あれ~?お兄ちゃん達学校に行くの?
もしかして、お金持ちの貴族様?」
「いや、そんな事は無いぞ?
俺は爺ちゃんと二人の貧乏暮らし。
コイツはマルコって言って、商家の末っ子だ。」
「そうなんだ~?あっ、私はねここの宿屋の一人娘のマイって言うの。」
「こら!マイお喋りばかりしてないで、他のお客さんが待ってるだろ。
他のテーブルの分も飯運んじまえ!!」
「あ、怒られた・・・・。
んじゃ、お兄ちゃん達またねー。」
トテトテとカウンターの方へ走って行くマイをみると
なんだかとても微笑ましく思える。
前世と併せれば60才近い俺だ。
普通なら孫が居てもおかしくない年頃だが、普通ならば・・・だ。
何故か目から朝食のスープが出てきやがった。
「マイちゃんおか「よし、飯も食い終わったし。人が並ぶ前に急ぐぞ。」わりー。」
「えっまだたべt・・・・。」
マルコが何か言っているが無視して学園えと向かう。
少し遅れてマルコがパンを咥えながら走ってきた。
コイツ、確か朝食セットに二つに果物まで食ってなかったか?
などと考えていると案の定何も無いところで転ぶ。
「ううぅ。サイラスー。待ってよ~。置いてかないで~。」
何故泣く・・・・。
しかも、パンはしっかり握り手放そうとしない。
前途多難の幕開けだな。
屋台を見つける度に足を止めるマルコのケツを蹴っ飛ばしながらやっとの思いで学園にたどり着いた。
案の定目も前には100人位が列を作っている。
がやがやがや・・・。
「おい、マルコ学園の入学者って毎年どの位だ?
それと、入学者の上限とかあるのか?」
「え~と?多い年だと1000人位受けにくるらしいよ?
特に上限は無いけど、何故か毎年入学者は300人位って聞いてるかな。」
「ふむ。やはり試験で篩いにかけられるのか。」
「あ、あとね上位10名は学費と寮費が免除になるらしいよ!」
「お前には無理だ。」
一言で切って捨てると泣きそうな顔をする・・・。
「ううぅぅ。まだ受けても無いのに解らないじゃないか。」
「よし、マルコが主席だったら学院生活での食費は俺がすべて面倒見てやる。」
「え!?ホント?サイラス破産しちゃうよ?」
ほんとに能天気な奴だ。すでに何を食べようか考えている顔をしている。
「何でも良いが、このメンツの中で主席を取れるのか?
今日だけでコレだけいるんだぞ?
最終的に何人居るか解らないの飯の事を考えるのは楽観的過ぎる。
まぁ、入学出来たら晩飯位はおごってやるよ。」
「ホント!俺頑張っちゃうよ!」
「おうおう、おめぇら景気の良い話をしてるなぁ。
主席がどうこう言ってたが、その為には俺様の上にいかなきゃ無理だがな。」
身長が2メートル近くはあるだろうか、本当に同い年か疑いたくなるような野郎が後ろから声をかけてきた。
「ん?あぁ、コイツはそのつもりらしいぞ?」
「うわぁ!サイラスヒドイ!!友達を売るなんてそんな・・・・。」
うん。友達になった記憶は無いがソレを言うのは野暮ってもんだな。
「こんなチビどもに俺様が負ける訳無いだろうが精精隅っこで大人しくしてるんだな。」
「あぁ、小さくて壁と間違えそうだが気にしないでくれ。」
ピキッ
「あぁ?なんか言ったか?」
「ん?お前の耳は飾りか?」
ピキピキ
「お前、さっきから黙って聞いてりゃ俺様にけんk・・・。」
俺に殴りかかろうとするも言葉の途中で突如現れた
教官らしき人物に腕を掴まれてドナドナされて行った。
「よし、邪魔者の排除は完了した。」
気分を良くしていると反対側から突然気配がする。
「ふむ。なかなか優秀な受験生みたいですが、
我々を利用するとは頂けませんねぇ。」
「あれ?バレてました?」
「そもそも、気づかれないように巡回している我々に気が付く時点で
相応の実力の持ち主だと言う事位は解りますよ。
それに、その魔力うまく隠しているつもりでしょうけどまだまだ荒いですね。
もし無事に入学出来たら直接指導してみたいものですね。」
見た目はひょろっとして弱そうなイメージだが、現時点で勝てるイメージが沸かない。そんな感じだ。
「そろそろ説明が始まるようですよ?前を向いて聞いていなさい。」
返事をしようと振り向くとすでにそこには気配の残りがあるのみで
すでに何処かへ行ったようだ。
視線を戻すと壇上の上に先程の教官が居た。
おいおい、あそこまで500メートルはあるぞ・・・。
しかも受験生の密集するなかだ。
こりゃぁ、学園生活が楽しみで仕方なくなってきた。
「ねぇねぇサイラス誰と喋ってたの?」
「あぁ、妖精さんとお話してたんだよ。」
「????」
目線を戻すと、壇上の上の教官が口に人差し指をあてて『内緒ですよ』と言っているようだ。
「さて、受験生の皆様今回の試験は無事終了しました。」
「「「「「「「「「はぁ????」」」」」」」」
全員が驚愕する。
俺達は、入試試験の申し込みをして壇上のあるホールまで来ただけだ。
そう、歩いてただ来ただけだ。
試験と名のつくものは何もしていない・・・・ハズだ。
「君達は無事にこの場まで辿り着いた。
合格の基準に満たない者に関しては、ここに辿り着くこと無く別の場所に到着しているだろう。
君達はまっすぐ歩いて来たと思っているだろうが、ソレこそが試験だ。
後で最初に渡した封筒を開けてみてくれたまえ。
その中にクラス別けのと部屋別けの紙が入っている。
通常クラスは青、上級クラスは赤。そして上位者に関しては黒い紙が入っている。」
おいおい、どんな魔法だ?
あれか、適正のある者と無いものを正に篩いにかけたと言う事か。
「ねぇ、サイラス紙は何色だった?
僕は残念ながら青だったよ。部屋番号は112番だね。」
「そうだな、確認するか。部屋は、111番だな。マルコの隣か。
どうやら部屋割りは間に人が居なければ受付順だな。
んで、クラス別けの紙だが・・・・白?」
確か青赤黒の三色だよな?白ってなんだ?紙でも故障があるのか?
「あれ?サイラスもしかしてクラス落ちなの?」
「うるせぇ。泣くぞ?」
「冗談だよ!後で学園の人に聞いてみたらいいじゃん。」
「あぁ、一点言い忘れてました。白い紙の入っていた方はこの後残ってくださいね。
それでは、みなさん入学式は2週間後です。
怪我などで出席出来ない事の無いように十分注意してください。
ちなみに、欠員が出たからと言って補欠合格とかはありませんので
邪な事を考える事はやめましょうね?」
にこやかに凄い事を言う奴だ。
「じゃぁ、サイラス先に宿に行って待ってるね。」
「あぁ、俺も一回飲み物でも買いに行こうかな。」
喋りながら出ようとすると、出口を出たはずが目の前にあるのは壇上だ。
あれ?ボケた?
「こらこら、残ってくださいね?と言った筈ですよ?」
「うげっ。」
あ、声にでちまった。
「正直な方ですね。まぁ、良いでしょう。
では、ここに残られた5名が今回の本来の成績上位者です。
力、魔力、商才、潜在能力、その他。
この5点で見させて頂きました結果、今回は5名と言う結果となりました。
10名や20名と聞いてた方も居たようですが、その年で人数は変動するんですよ?
それでは、貴方達に質問があります。
チキュウ、ガイア、アース、エデン。この言葉に聞き覚えがありますね?」
爆弾発言キター
更新遅れて申し訳ありません。
打ち込み途中で寝落ちしてました。
教官?からの爆弾発言が出た所で今回のお話は終わりとなります。
次回、どのような展開になるか期待しないでお待ちください。




