第24話「学園都市へ到着。それは濡れ衣だ!」
前回、学園都市まであと少しの所まで来たところで
盗賊の襲撃に合いなんとか撃退したサイラス一行
今回はどうなることか続きをご覧ください。
「おっさん、門が見えてきたぞー。」
「あぁ、やっぱりこの次期は立て込んでるみてぇだなぁ。」
門を見ると同じ様な順番待ちの馬車が列を成している。
「どうせ、目的は同じ学園への入学希望者とその学生達相手に商売してる連中だろうなぁ。
まぁ、横の短い列の方に馬車を着けてくれや。」
「なんか違いでもあんの?」
「右は一般用、左の短い列が受験者と学園関係者専用の通用口って訳だ。
坊主はギルドカードを持っていたな?
他の連中は許可証をすぐに見せれるように準備しとけよ。」
通常の受験に関して必要な物は、受験費用と受験に対する許可証。
例外として、すでに冒険者としての経験がある者は受験費用とギルドカード
で受験をする事が出来る。
過去に賞罰等ある場合に関しては罰則のみが考慮され
罰則の度合いによっては受験すら不可能になる場合もある。
ちなみに受験費用は金貨10枚。
ゴブリンの討伐5匹で銀貨10枚の為決して安い金額ではない。
実にゴブリン500匹分だ。
宿に泊まるのが素泊まりで銀貨1枚位だから三年近く部屋を借りることが出来る。
普通の4人家族なら金貨2~3枚で少し贅沢をしながら生活が出来る。
まぁ、実を言うと今までの報酬で一生働かなくても生活できる金は持っているのだが所詮は泡銭。
受験費用やら生活費は別口と言っても自分でコツコツ貯めたお金だ。
泡銭で払ってしまえば何かに負けてしまう気がしてしょうがなかったのが本音だった。
「おい、坊主ども準備は良いか?
俺達の順番は次だから馬車から降りる準備をしろよ。
忘れ物があった場合は次の受験の際に持ってきてやるが、基本的には処分されてると思ってくれ。
保管して欲しい場合は別途保管費+輸送費が出るからな。」
「俺とマルコはほぼ手荷物だけだから準備okだ。
でも、お嬢様方は一人じゃ運べない量だぜ?」
「おっと、それは困ったな。
半刻ほどなら待っててやっても良いが俺達は荷物運びは引き受けてはいないぞ?
自分達で荷物運びを雇うんだな。」
おっさんがそう言うとお嬢様方は愕然としている。
俺やマルコもしくはおっさんが運ぶのが当然と言う顔をしてたからな。
そんな面倒事は真っ平ゴメンな為先手を打たせてもらった。
「あぁ、忘れていたがこの都市の中では貴族とか王族とか一切権力が及ばないからな。
この都市ではギルドランクで言うSランク以上の実力者が権力を握っている。」
「へー。強い奴がうじゃうじゃ居るんだな~。」
「坊主、確かにSランク以上の実力とは言ったがそれは力だけじゃないぞ?
知力、魔力、商才とかのありとあらゆる分野の猛者共の街って事だ。」
「なるほど、そう言う考え方もアリだな。」
「なぁ、サイラス俺帰りたくなってきたよ・・・・。」
「今更何言ってんだよ。ここまで来て帰るのか?
俺は帰らないから、帰るなら一人で帰るんだな。」
「うぅぅ。サイラスのけちんぼ・・・。」
「うぉぃ。ケチってなんだよ。ほら、順番が来たぞ。
早くしねぇと門番さんに起こられるぞ。」
「まって、まってよー。」
何も無いところで転びながらマルコが走ってくる。
マルコは本当に名前の通りと言うか、歳が若いだけの小太りのおっさんって感じだ。
見ていると何故か憎めない奴だなとつくづく思う。
「おい、坊主忘れもんだ!」
「ん?手荷物なら全部持ったぞ?」
「馬鹿野郎。おめぇが縛って転がした芋虫三つ忘れてんだよ!」
「あぁ、完全に忘れてた。そっちで処分してくれれば良いよ。」
「てめぇ・・・。自分で責任持って処理しやがれ。」
「ちっ。まぁ良いか。おっさん報酬は俺宛で冒険者ギルドに送ってくれよ。
ちなみに、おっさん達の命の値段だ、値切るなよ?」
「そう言う嫌な事はしっかり覚えてやがるとは、喰えない坊主だな。
本当に12歳なのか未だに疑問に思えてくるわ。」
「褒め言葉として受け取っておくよ。
おら、お前ら行くぞ。とっとと歩け。
歩けないならそのまま引きずって行くが削れて半分になっても知らないぞ?」
冒険者三人は最初頑なに歩こうとしなかったが、半分になると聞くと
我先にと歩き始めた。
「おい、そこの者達そこで止まれ。許可証を確認する。」
門番が近づいてきて順番に許可証を確認していく。
「次、お前だ許可証を見せろ。」
「ギルドカードでも良いって聞いたんだけど、大丈夫?」
「本物であれば、冒険者、商人、魔法ギルドなどどのギルドのカードでも問題ない。」
「ん。そいじゃコレで確認して貰えるかな?」
「ん?はぁ?おい、他は行って良いがお前は詰め所に来て貰おう。」
「え?なんでだよ!偽造なんかしてないしちゃんと冒険者ギルドのカードだろ?」
「本物だから色々確認が必要だと言っているのだ。」
「うへぇ。なんか面倒事になりそうな気がする。
拒否権は・・・・。」
「あるわけ無いだろう。さっさと来い。」
俺だけ何故か詰め所へと連行されていく・・・・。
俺が何をしたというのだ。
どうしてこうなった・・・。
森の暮らしから、外の世界にでてからロクな目にあってない気がする。
くそう、どうせ『神爺』の策略か陰謀だろうな・・・。
なるようになるさ・・・。
「おい、名前と年、それと登録してからの経験年数を答えろ。」
「え~と、名前はサイラス、年は今年で12歳。冒険者ギルドには登録してから
三ヶ月と半月です。」
「ほう。お前は我々を馬鹿にしているのか?」
「なんで質問に答えたのにそうなるんだよ!」
「では、質問を変えよう。お前の居た王都からここまではどの位かかった?」
「馬車と徒歩で三ヶ月だけど?」
「では、次の質問だ。冒険者ギルドに登録してから学園都市に向けて旅立つまでの期間は?」
「ん?二週間だけど?」
「最後の質問だ。お前のランクはいくつだ?」
「おいおい、カードにも書いてあるだろ。
Aランクだよ。何が変なんだよ!」
「ほう、登録して二週間でAランクが異常では無いという認識でいるのだな?」
「え?あー、うん?」
あれ?俺ってやっぱおかしい?
「そうそう、道中で盗賊にからまれたんだけどコレあげる。
心臓の弱い人は見ないでね?
後は、そこに転がってる芋虫もその仲間だよ。
馬車の護衛を装って内通者やってた冒険者の屑です。」
「こら、話をスリ替えるな!
盗賊って言ってもどうせ大した事の無い連中だろ。
おい新人。中身を確認して懸賞金がかかって無いか調べろ。」
「はっ!了解であります。
ひひぇぇぇぇ!ぎゃーーー。」
「おい・・・・。
あの皮袋の中身はなんだ・・・?」
「何って、先に聞くけど盗賊って生死不問だよね?」
「あぁ、そうだ。」
「うん。その中身は盗賊の親玉の首だけど?」
「ば、馬鹿野郎!先にそれを言って渡せよ。」
「だから、心臓の弱い人は見るなって言ったのに・・・・。」
顔を見なきゃ解らないのに生死不問にして丸ごと死体を運んでくるわけ無いのに
大人ってこんな馬鹿ばっかりか?
「た、体調じゃなくて隊長!
この盗賊は手下が50人超の盗賊団のボスで報奨金が金貨で300枚かかってます!
で、後ろの三人の内男と女一人づつが金貨50枚の二人組みの盗賊のようです。
ギルドカードは一枚は本物で残りの二枚は偽物でした。」
「全部併せて金貨400枚か・・・。
おい、坊主おめぇ一体何もんだ?」
「何者も何もただの冒険者だけど?
この国は貴族や王族でも関係ないんでしょ?
文句があるなら実力で語れって聞いたけど?」
「ふむ。ガキにしちゃぁ一人前の口を利くじゃねぇか。
よし、おめぇの言葉に嘘は無いようだな。
報奨金は後日確認が取れ次第冒険者ギルドに届けさせる。
ちなみに手下共はどうした?」
「全部首をはねるのが面倒だったから全部焼いちゃったよ?」
「そうか、それじゃぁアジトの場所がわからねぇな・・・。」
そうか、アジトの場所の確認せずに全滅させちまったからなあー。
あ、コイツらも仲間だから知ってるはずだ。
「おい、お前らアジトの場所を知ってるんだろ?」
そう聞くとペアの盗賊はそっぽを向く。
「そうか、そうか、そんなに言いたくないのか。
言いたくなるように、二人まとめてオークのオスの沢山居る檻に入れてやろう。
喋りたくなったら出してやるからいつでも言ってくれ。」
その言葉を聴いた途端、それだけはやめてくれと懇願してきた。
うん、俺でも殺されたほうがマシだと思う。
アジトの件は門番さん達に任せて宿の場所を聞き宿場街へと向かう。
宿場街の入り口で客引きにマルコがもみくちゃに会いながら
泣きそうになっている。
「あっ!サイラスー。たすけてー!!」
「あ、わりぃ。お前の財布預かったままだったな。」
貴重品は盗まれるといけないと俺が預かっていたのをすっかり忘れていた。
「さっさと宿を見つけて寝ようぜ。」
「この人達どうするのさ?」
「あぁ、忘れてたな。お前ら撤収しねぇと衛兵に突き出すぞ?」
とにらみを利かせると蜘蛛の子を散らすように逃げていった。
改めて宿を探そうとすると、目の前に年の頃は7歳位だろうか
小さな女の子が立っていた。
「おにいちゃん宿決まってないの?」
「ん?あぁ、これから探すところだ。」
「そう。ウチあんまりキレイじゃ無いけど、御飯の味は保障するよ?」
「よし、お嬢様宿までの案内をお願いできますか?」
「はいっ!二名様ご案内いたしましゅ。」
あっ噛んだ。
顔を真っ赤にして泣きそうになっている。
気づかない振りをしながら質問をする。
「今夜の御飯のメニューは何かな?」
「え?えーとね。パンかパスタにスープは野菜とオーク肉のスープ。
季節物の野菜サラダです。
別料金ですが他にも色々作れます!」
「そうかそうか、今から楽しみだ。」
「サイラス、値段も聞かずに決めて良いの?」
「あぁ、俺の勘は外れない。
むしろ、当たりの宿だと思う。
俺はここにするが嫌なら財布を返すから他を探すか?」
「何でそうなるんだよ!
知らない町で一人で何ヶ月も無理に決まってるジャン!」
「じゃぁ、文句言うなよ・・・。」
「お兄ちゃんたちって本当に仲良しだねぇ。」
「「そんな事はない!」」
「ほら。息ぴったりだ。」
お嬢さんはご機嫌が治ったようだ。
今日は疲れたから早く寝る事にしよう。
活動するのは明日からだ・・・。
どうも、妹キャラに弱いサイラスですが決して幼女趣味ではありません。
前世で一人っ子だった為か年下に甘いだけのようです。
次回、学園都市での生活が始まるようです。




