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これだ! 黄色いアイテム!

※22話目です。


 私は名古屋駅で不思議な体験をするのだ。

 この後は、近くのホテルに場所を移して結婚披露宴が行なわれた。


 でも私、出席するのを辞退しちゃった。


 顔を出して祝ってあげる気分じゃないし、今から東京へ戻って色々やる事が有るからゆっくりとした時間が取れないからだ。


 タクシーで教会からJR名古屋駅に着いた私。


 東京駅と同様、大勢の人々で駅構内はごった返している。


 鉄子でもある私は、このまま列車に乗ってどこかへ行きたい衝動に駆られた。


 高山本線のワイドビューひだ号に乗ってみたい。


 キハ85系、まだ乗った事ないし。

 

 名鉄の路線を全線完乗するのも悪くない。


 でも今日は、そんな計画は立てられない。


 こづかい貯めて、改めて乗りテツを楽しむ事にしよう。


 新幹線上りホーム。列車が着く度に、大勢の乗降客で辺りはごった返す。


 1日中、大体こんな状態なのかもしれない。


 私が乗る東京行きのぞみ号は到着するまでにはまだまだ、時間が有る。


 セントラルタワーとかに行って時間を潰せばイイんだけど、何故か早く上がりたい思いになって、ホームへと出て来たのだ。


 ホームの待合室で時間を潰す事にしよう。するとだ。


 下りのホームがやけに賑やかになっているのが目に映った。


 ケータイやデジカメを手にした人たちが慌しく動き回っているのだ。


 その理由は後になって、分かった。


 下りの列車が入って来た。


 のぞみ号でもひかり号でも、こだま号でもない。


 回送列車なのだろうか?


 それとも…


 入って来たのは全身黄色でブルーのラインが入った珍しいタイプである。


 700系にそっくりなんだけど短い編成だし、あきらかに一般用じゃないみたい。


 これって、滅多にお目にかかれない新幹線電車なのでは?


 私はふと、脳裏にピンと来るものを感じ、すぐにボックル爺の所へ電話した。


「モシモシじゃー」


 すぐに電話に出た私。


「あ、モシモシ! 玲奈です!」


 私ったら、緊張しちゃって。


「あー、お前さんか。すまないのぅ、ワシの占いが当たらなくて」


「その占いの事なんだけどね!」あーもぅ! 落ち着け私!


「うーん?」


「私にピッタシな黄色いアイテムを見つけたの」


「ピッタシなアイテムじゃと?」


「爺さんに質問するけど。黄色に関する物って、大きい物でもイイの?」


「それじゃがのぅ。お前さんの場合は、小物類とかはダメなんじゃ。今言ったように、大きい物ほど運気上昇の効果が出る事が分かったんじゃ」


「大きい物って?」


「何でも良いが、出来れば動く物がイイ」


「例えば?」


「自動車とかのぅ」


「列車とかは?」


「列車?」


「今私、東海道新幹線の駅のホームにいるんだけど、目の前に黄色い新幹線が停まっているの」


「黄色い新幹線…、それって確か…」


「車両形式923.新幹線電気軌道総合試験電車だよ」


「オー! ドクターイエローじゃなー!?」


「そう! ドクターイエロー!」


 爺が弾んだ声で言った。


「お前さん、イイのを見つけたのぅ! ドクターイエローは、見ると幸運が訪れると言うんで縁起担ぎの対象になっておるんじゃ」


「それ、知ってる。テレビとかで話題になってるって言ってたし」


「グットタイミングじゃ! 今すぐにでも、その列車の傍へ行け!」


「行ってどうするの?」


「ジックリと眺めるか、写真に撮っておくんじゃ! 車体に手を触れるのも忘れるずにな! とにかく、1分でも長くドクターイエローに接する事じゃ! 急げ!」


 電話を切った私は、急いで隣のホームへと行った。


 下りホームは数多くの人だかりが出来ていた。


 例の人たちは、黄色い新幹線電車に向かってパチパチとシャッターを切りまくっているのだ。


 中には電車の先頭車をバックに、記念のカメラ写りをしている親子の姿もあった。


 とても賑やかで微笑ましく、楽しそうな光景だけど…


 ホームで列車を待つ乗客たちにとっては邪魔な存在にしか見えないだろう。


 実際、迷惑そうな顔をしたりクールで覚めた眼差しを向けたりしている乗客たちが大半を占めているんだから。


 黄色い新幹線を目の当たりにする私は、時計を確認しながら列車をジックリと見て回り始めた。


 列車に引き寄せられるような思いで車両に歩み寄り、車体に手を触れる私。


 すると、どうだろう?


 私は全身に強い衝撃が走るのを感じた。


 言葉では言い表せない摩訶不思議な感覚かな?


 心がスゥーッと癒されるような感じもするし、いったいコレは何?



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