しかも別カノ付き
※18話目です。
今度はステキなガイジンさんなんだけど、何と別カノがいたの。
「もーしもしぃ?」
れ?
何だか、声のトーンが変わったみたい。
「イザムさん?」
「もーしもしぃ、アンタが篠崎玲奈?」
聞き覚えの無い女性の声が流れて来た。
イザムさんは誰かと電話を代わったみたいだ。
「えー? どなたぁ?」
「あたしぃ、智恵美って言うんだけど」
「智恵美さん? どこの智恵美さん?」
「どこでもイイでしょー?」
「私はイザムさんと話していたんだけど…」
「イザムの方が迷惑そうだったから、私が代わってあげたの!」
「アナタ、イザムの…」
「恋人だよ恋人」
「エエー恋人!?」
「そうだよ恋人」
「イザムさんと付き合っているってワケ!?」
「そうだよ。彼と同棲しているしね」
「そんなぁ、まさか!」
「嘘じゃねーよ。アタシとイザムはずっと前からお互いラブラブだし、いずれ結婚するんだから」
「結婚…」
「アンタの事はイザムから聞いてるからね」
「私の事を?」
「ずっと彼を待たせたみたいじゃなーい。なかなか返事しないって言うし。彼はイライラしっぱなしだったんだよ。」
「私も色々と忙しかったの。だから」
「今更、言い訳なんて聞きたくない。アンタからの返事には待ち切れないからね。イザムは私を恋人として受け入れてくれたの」
「そうなんだ」
「ったくぅ、今頃になって電話して来るなんてね。呆れちゃうわ」
「別カノがいるなんて知らなかったから」
「言わなくても分かっているわよ。もう電話して来ないでね、迷惑だから」
「イザムさんと代わって! あの人の気持ちを知りたいの!」
ピ…
電話は切れちゃった。
私はケータイを手にしたまま茫然となった。
今頃になってイザムに電話をした。
既に別カノがいて、一緒に暮らしていると言うのにだ。
知らなかったとは言え、何だか迷惑を掛けちゃった気分である。
心の奥底から込み上げて来るのは、恥ずかしさと1人取り残されたような孤独な気持ちかな?
涙が出て来ちゃったし。




