攻略、開始
──プツン。
FTO内でサナ家の二階に家を貰うと、長らく誰も使ってないであろう部屋を掃除。そのベッドで休眠姿勢を取る形でログアウトを行った。
接続解除の音と共に、俺は目を覚ます。何ということでしょう起きたらなんとまあ日曜日の夜が終わっているではありませんか!
深いな朝チュンを聞きながら、階下に降り、無断課金について母上にお小言を言われ、朝食を取り、色々準備して、学校へ向かう。
「(しかし、セーフポイントは手に入れたはいいものの、果たしてあのゲームをどう攻略するか。竜騎士に姫プしてもらうか?)」
アリだな。
俺は全然プライドとかないのでそれもありだろと考えている。だってたかがゲームである。デスゲームではないのだ。いやでもVtuberがプロゲーマーに引率されてるの見るとなんか腹立つな。やっぱなしだ。
まあ、手段を選ばないという点はやっぱり変わらない。
そもそもこのフォルトゥナ・オンライン、通称FTOは、量子コンピューティングによるほぼ無限に近い有限通りの変化と分岐がある。それを思えば、デバッグがそう簡単には実行できないことは明らかだ。
つまり、バグは必ずこのゲームに存在する。
いや、言い換えよう。
このゲームには必勝法がある!!!!!
錬金術師という評価がクソの職業を引いた俺にも、何らかの道筋はあるはずだ。というか、いままでほとんどの人間がやったことないジョブと考えたら、未知の変数とかユニークスキルとかあるかもしれない。
いや、それはラノベの読み過ぎだな。
「まあでもあってもおかしくは……」
とキモオタぼっちたる俺がひとりで通学していると、背中に衝撃がある。
「ひゃ」
小さく可憐で、柔らかい雪の様な声。
振り向くと、金髪ロングのギャルが居た。同じ高校の制服だ。
「あの、ご、ごめんね」
金髪だけど、ギャルっぽい性格ではなさそう。でも黒マスクしてるし、韓流アイドルとか好きそう。こういう偏見ばっかり抱いてるから友達が居ないんだよお前。え、俺!?
「あ、いや。あ、はい」
それくらいしか返事のできない俺。生憎女子とはあんまり話したくない。トラウマがあるからな。ゲームの中の、中身が男の見た目美少女とかなら全然いい。
「へへ……。昨日夜中まで……。眠くって……」
不良なのだろうか。夜中まで何をしてたんだと問う気もなかったが、相手はとにかく眠そうで、俺はカバンを探して、あるものを渡した。
「はいこれ」
「え?」
金髪黒マスクの少女は驚いていた。
渡したのはタイヤの形した真っ黒なクソまずいリコリスグミだから。
「目が覚める。それ」
言って俺はその場をさっさと退散した。俺ははやくFTOの攻略法を考えたいのだ。
「ありがと」
背中にかけられた小さな声は、やっぱり雪の様だった。
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