樹海の結界とお出迎え
フローラの故郷で少し色々あったが、俺達は当初の予定通りユグドレフィアに行く為に移動を再開していた。
進む度に周りには木々が増えて視界がドンドン悪くなる。
.....が、バカデカい目印があるので迷う事はなさそうだ。
余裕余裕♪
って考えてる時期が俺にもありました。
「何か進んでも進んでも全然近づいてない気がするんだが.....気のせいか?」
俺達は目印となる世界樹に向かってズンズン進んでるはずなのに、世界樹は一向に近づいてるような気がしない。
デカすぎて気付いてないのかと最初は思ったのだが、少しも見た目の大きさが変わってないのだ。
「.....結界.....かな.....?」
「ふむ、妾達に気付かせぬとは余程高位の結界みたいじゃな?」
「ウチも全然気付かなかったっすね。リロロはどうっすか?」
「私も全然気が付きませんでした.....ごめんなさい.....」
「リロロのせいじゃないよっ!僕たち全員気付いてなかったんだしねっ!」
「そうですわね。しかしこれほどの結界を張れる者が居るという事ですわよね?」
「しかし、こうなると分かっていたはずの魔王様は何も仰ってなかったのは何故なのでしょうか?」
そうなんだよな.....ピコさんの言う通り、ポポイさんからは何も聞いていない。
普通にお勧めされたから来たってだけなんだが.....
「俺達に伝えなくても問題ないって事か?.....それともただの伝え忘れとか?」
「もしそうなら今度折檻してやるのじゃ!!」
俺の言葉にシャルミナが反応し、プンスコ怒っている。
「あっ、いたいた。君達、移動速度が速すぎない?やっと追いついたよ」
その時、どこからか声が聞こえてくる。
「まぁいいや。お待たせ。迎えにきたよ」
俺達は辺りを見渡してみるが、どこにも人の姿は無い。
「ここだよここっ!」
声のした方に目を凝らしてみるが、やはり誰も居ない。
「もっと下だよ下っ!」
俺達は視線を下に向けると、そこには小さくて白い蛇がいる。
「.....もしかしてこの蛇が喋ってたのか?」
「おいおい!蛇が喋ったら駄目なんて誰が決めたんだい?喋る蛇がいてもいいじゃないかっ!全く、失礼だね!プンプンッ!」
「あっ、失礼しました.....」
そうだよな。別に人型でなくとも人語を話す生き物はこの世界じゃ普通に居るしな.....マッシュとかポテチとかトメとか.....
「.....もしかして.....宝樹様.....でしょうか.....?」
その白い蛇を見て、フローラはそう尋ねる。
「えっ?宝樹様って.....あの世界樹じゃないの?」
俺はその言葉に驚き、思わずそう聞いてしまう。
「その通り!私は世界樹の精霊だよ!名前は特に無いから好きに呼んでくれたまえっ!まぁ.....分体だけどね。私の結界の中で迷ってたみたいだから迎えに来たんだよ?そもそも何で中に入ったのさ?ポポイから紹介状貰ったってユリエルから連絡あったんだけど?入口でそれを出してくれたら直迎えにいったのにさ」
おぉっ!?えっ!?入口って何!?
「入口で紹介状を出せって言われても、そもそもどこが入口なんだよっ!!森ばっかりで分かるかっ!!」
俺は思わずそうツッコむ。
「いや、普通に道を辿ってきたらあったでしょ?」
「.....一直線に突っ走って来ました」
「じゃあ君達の自業自得じゃないか」
「.....オッシャルトオリデス.....」
くそっ.....車で移動させしていればこんな事には.....
ぐうの音の出ない程の正論に、俺は思わず畏まる。
「そ、そういえば何で蛇の姿なんですか?精霊って人型しかいないのかと思ってました」
「それは間違いだよ。精霊は人型の子もいるし、私みたいな蛇や動物の姿の者も居る。それに異形の者もね」
「な、なるほど.....そういえば、分体って言ってましたけどそれは?」
「うん?私の本体だと大きすぎるからね。だから迎え用にいつも分体で来るのさ。ホラ、私の本体を見てごらん」
俺は世界樹の精霊の言葉に従い、世界樹の方へと視線を向ける。
かなり遠いはずの世界樹なのだが、ここからかなり大きく見えて相当なデカさが伝わる。
そしてその木々の上から、巨大な白い蛇の頭がニョキっと顔を覗かせると直に引っ込んでいった。
「ね?デカいでしょ?アレで迎えに来たらここら辺の木々は全部潰れてなぎ倒されるんじゃないかな?」
世界樹の精霊が何か言っているが、驚き過ぎて俺の耳には届いていない。
いやいやいや、デカすぎでしょ?大きさを測る気にもなれないレベルなんですけど?
「なるほどのぉ.....確かに世界樹の精霊の結界ともなれば、妾達でも気付かぬのも無理はないのかもしれんのじゃ」
「.....そうなの.....?」
「うむ、世界樹はこの世界が出来た時からあると聞く。つまり妾達よりもむしろミリア様に近い存在なのではないんじゃないかの?」
「なるほどっ!それなら僕たちが気付けないのも無理ないよねっ!」
「いやいや、私は神ではないよ?どちらかと言うと.....眷属の方が近いかな?」
「それでもウチ等より格上なのは間違いないっすね」
「そうですね。アリア様もそうですけど、眷属の方々でも私達より遥かに強いですもんね?.....シャルミナお姉ちゃんは負けてないと思いますけど」
「いやいや、私は単に長生きなだけだよ?」
「その長い年月の分だけその力が蓄積されてると言うことですわよね?」
「はい、それだけでも十分に凄い事かと」
「いや~、そんなに褒められると照れるなぁ」
.....アレェ?何か驚いて言葉を失ってるのは俺だけで、嫁さん達は普通に和気あいあいとしてるんですけどっ!?
「いやいやっ!何で皆そんなに落ち着いてるのさ?驚いてないのっ!?」
俺が皆にそう言うと
「普通に驚いたが、まぁ.....そんな事もあるじゃろ?」
「.....宝樹様の大きさなら.....十分あり得る.....」
「僕も少し驚いたけど、そんな事もあるんじゃないっ?」
「そうっすね。そんな事もあるっす」
「はい。色々な方が居ますからね」
「そうですわね。世界は広いですもの」
「奥様方の言う通りかと」
皆肝が据わってると言うか.....平然と受け入れすぎじゃね?
何か一々驚いてる俺が馬鹿みたいじゃないか.....
「まぁ積もる話は後にして、さっさと里まで行こうよ。その為に私が来たんだしさ。じゃあ私の後を付いて来てくれたまえ」
その言葉に従い、俺達は世界樹の精霊の後を追って移動を開始する。
こうして樹海の結界で少し足止めを食らった俺達だが、無事にユグドレフィアまでたどり着いたのであった。
宝樹祭か.....どんな祭りなんだろうか?
~キャラ設定メモ⑯~
本名:なし(自称シロ)
種族:世界樹の精霊
性別:なし
身長:体重:デカすぎて不明
年齢:不明
好きな食べ物:特になし
嫌いな食べ物:特になし
戦闘スタイル:不明
容姿:本体の世界樹は大きい木・精霊としての姿はデカい白蛇
性格・その他:長年、友達という存在に憧れを抱いており、カズキと友達になってはしゃぎまくっている。
ミリアーナは上司、ミリアーナの眷属達は会社の同僚といったような感じの存在なので、カズキが初めての友達となる。
ミリアーナの前任者によってこの世界と共に作り出されたのだが、精霊として自我を持ったのがいつなのかは不明。
世界樹本体はダンジョンが浄化した魔力をこの世界に再び放出する役割を持っており、ダンジョンと対となる存在。
世界樹のデカさと相まって精霊の姿も巨大なので本体は世界樹から動く事は滅多に無く、普段は分体として作った小型の白蛇姿でうろついている。
特に名前は無く、白い蛇だからシロと呼んでくれと昔から言っているのだが、ユグドレフィアの住民からは宝樹様としか呼ばれたことは無い。
初めてシロと呼んでくれたカズキに一発でなつき、既にシロの中でカズキは親友を超える存在と勝手に思い込んでいる。




