ローグンのダンジョン②
「ボス~、俺達はいつまでここに居ればいいんですかね?」
「俺が知るかよっ!領主様から命令が来るまでだろ?」
「でも最近は獲物も全然来ませんぜ?それに捉えてた女達も全員死んじゃいましたしね~」
「いや、なんでもクマロクがしくじって捕まったらしいぞ?だからまたその内ゾロゾロと魔族の奴等が来るんじゃねぇか?それに女共が死んだのはテメェ等が乱暴に扱うからだろうがよ」
「いや、ボスも結構乱暴な扱いしてましたよ?あの女なんて最後は泣き叫んで命乞いしてたじゃないですか」
「ハッ!ああいう気の強ぇ女に命乞いさせるのが楽しいんじゃねぇか!」
「うわぁ~、歪んでますねぇ~」
「うるせぇっ!!オメェだって人の事言えるかよっ!怪し気な薬を女共に打ってたじゃねぇか!」
「アレはただの快楽を上げるクスリですよ。まぁ、多少副作用で下手すると死んじゃいますけどね」
俺達の目の前では今、このような下種な会話が繰り広げられている。
『なぁ?もうこいつ等殺していいか?我慢の限界なんだが?』
『だねっ!僕もこいつ等は許さないよっ!』
『許せませんっ!私も容赦なんてしませんっ!』
『気持ちは妾にも分かるが落ち着くんじゃ!こやつ等を1匹足りとて逃がす気は妾にもないわっ!じゃが冷静にならねば足元をすくわれる事もあるんじゃぞ?もう1度言うが、落ち着くんじゃ!』
俺達は森の中に、賊のアジトであろう小屋を発見し、姿と匂いを魔法で消して近くの茂みに潜んでいる。
会話は魔法を使って念話で会話しているので、声で気付かれるという事もない。
賊共はネルの言った通り、3層への階段から少し離れた森の中をアジトとしていた。
森の中にあるその場所は、少し開けており広場のような場所になっていた。
会話からは領主の命令で盗賊行為を行っている事が分かった。
そして残念ながら、捕らえられた人は生き残っていないという事も.....
『カズキ様、こいつ等ぶっ殺した後はどうするの?領主も殺すの?』
ミラーカにそんな事を訊ねられたのだが、そこまでやるつもりはない。
『いや、ぶっ殺してやりたい気持ちはあるが、それは流石に俺達の範囲外だろ?ザザさん達に任せるよ』
『そうじゃの。出しゃばり過ぎても良くないしの。妾達はただの冒険者じゃからな』
『そういう事だ。って訳で早速賊の始末をするぞっ!1人も逃がすなよっ!』
『はいっ!』『うんっ!』『うむっ!』
俺達は素早く飛び出すと、そのまま賊に向かい襲い掛かった。
「ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!」
「な、何だテメェ等はっ!!て、敵襲っ!敵襲っ!!敵しゅ、グギャッ!!」
「く、来るな来るな来るな来るな来るなっ!グゲッ!!」
「ボ、ボスっ!助けッ.....ゲハッ!!」
突然襲われた賊共はパニックになっており、殆ど抵抗も出来ないまま次々と俺達に殺されていった。
コッソリと逃げ出そうとする者も数名いたのだが、逃がす訳がない。
俺は逃げる賊の背に、武器を振りかざし魔法を打ち込み確実に息の根を止めていく。
盗賊死すべし慈悲はない。
昔どこかの偉い人がそう言ったとか言わなかったとか.....
俺達は賊を殲滅し終わった後、小屋へと入り被害者達の冒険者プレートを回収した。
遺族が居るのであれば届けて上げたいし、せめてこれぐらいは地上に持って帰ってやりたい。
俺達は被害者達のプレートと遺品になりそうな物を回収すると、小屋を跡形も無く燃やし手を合わせた。
(無念だっただろう。怖くて悔しくて仕方なかっただろう。でも仇は取ったぞ.....せめて安らかに眠って欲しい.....)
俺は燃え行く小屋の炎を見つめながら、静かに祈りを捧げた。
「それで?これからどうするの?一旦報告に戻る?」
小屋が跡形もなく燃え尽きるのを確認すると、ミラーカが俺にそう聞いてきた。
「いや、このままダンジョンを攻略しようと思う。報告に戻れば多分ここの手下がやられた事がジーポーンの領主にも伝わるだろう?」
「成程、バレる前に攻略を済ませようって訳じゃな?」
「そうだ。別にバレても問題はないと思うが、今なら邪魔も入らず攻略に専念出来るしな」
気兼ねなく攻略に専念するのと、後ろを気にしながら攻略するのとでは疲労度も違うしな。
「と言ってもあまり時間も掛けられない。定期的にはどうかは知らんが、こいつ等は領主と連絡は取ってたはずだ。その連絡が途絶えるんだからいずれはバレるだろう」
「でも多少の時間は稼げますよね?」
そうなのだ。リロロの言う通り多少の時間は稼げる。
その多少の時間が大きい。
「って事で3層へ向かおうと思うんだが.....流石に今日はもう無理か?」
俺はダンジョンの天井と言うか、空を見上げる。
日は間もなく沈み、薄っすらと辺りは暗くなってきていた。
.....本当に外にいるのと変わらんな.....
「そうじゃな、無理する必要はない。今日は休む方が良いじゃろう」
「でも、ゆっくりしてたらジーポーン側にバレるんじゃないの?」
「それは大丈夫じゃろう?賊共の話では、しばらく放置されとる様子じゃったからの。こちらから連絡しようにも、もう賊共は居らぬ。しばし時は稼げるじゃろ」
「じゃあとりあえず車出すわ」
俺はそう言ってマジックボックスから車を取り出した。
いやぁ~、何とか風呂に入れそうで何よりだ!
俺はそう思いながらもう1台車を取り出す。
最初に出したのはおじさんに貰ったキャンピングカーで、次に出したのはお風呂専用の車だ。
このお風呂専用車、いつの間にかシャルミナが購入しておりこのダンジョンに入る前に渡されたのだ。
どうやら俺がお風呂の事を凄く気にしてたのを見て、買っていてくれたらしい。
俺は歓喜のあまり、シャルミナを抱きしめキスの雨を降らせたのは言うまでもない。
その時のシャルミナが顔を真っ赤にさせながら照れている姿はとても可愛かった。
.....リロロと逆にリロロとミラーカの視線はとても痛かったんだけどね。
そんな訳で4人で仲良く入浴なんだが.....
いや、流石にダンジョン内じゃ致しませんよ?
だからキミ達、にじり寄って来るのは止めたまえっ!
おいっ!今お尻を撫でたのは誰だっ!正直に白状しなさいっ!
.....3人共かよっ!!
待ってっ!ここダンジョン内っ!危険もいっぱいだからっ!
リロロさん?目が若干血走っていらっしゃるのは何故ですか?
ミラーカ?シャルミナ?腕を離してもらえませんかね?
えっ?もう遅い?
待ってっ!本当に駄目だからっ!お願いだから落ち着いてっ!
話せば分かるっ!
そう言いながら元気になってるって?
違うからっ!これはただの生理現象でやる気になってる訳じゃないからっ!!
あの.....ミラーカさん?血を吸うの止めてもらえます?
「カズキ様.....諦めは大事じゃぞ?」
俺の肩に手を置きながら、シャルミナは笑顔で言ってくる。
ヒエッ!
そのシャルミナの言葉が合図となったのか、俺は3人にそのまま襲われた。
(.....ねぇ?最中に魔物とかが襲ってきたらどうするの?明日動けなくなったらどうするの?)
そんな俺の思いも虚しく、俺は3人の嫁さん達に貪り喰われるのであった.....




