ローグンのダンジョン①
いや~、ポケモン楽しいです。
「うへぇ~.....こりゃ今日は風呂無し確定か?」
俺はそう愚痴る。
俺達は今、ローグンのダンジョンの中を歩いている。
辺りは見渡す限り岩や土で出来ており、ダンジョンと言うよりもただの洞窟と言った感じだ。
中は光が無く真っ暗で、俺は光魔法で辺りを照らしながら歩いていた。
「2層に行くまでの辛抱じゃな」
「そうだよっ!2層から草原エリアになるみたいだから車も出せるよきっと!」
「でも、まずはダン賊退治を済ませてからなんですよね?」
今回、俺と一緒にダンジョンを攻略する事になったメンバーは、シャルミナ、ミラーカ、リロロの3人である。
今の隊列は先頭にリロロ、続いて俺とシャルミナ、最後尾にミラーカの隊列である。
ダンジョンの入口でライクニフ側の兵士さん達からは『頑張ってください』と激励を受けた。
ジーポーン側の兵士達はこちらを憎々しい様子で睨んでいたが、絡んでくるような事はなかったのは意外だ。てっきり何か絡んでくるもんだと思ってたからな。
ちなみにこの同行している3人、暗闇でも普通に目が見えるので光源が必要なのは俺だけである。
俺も神眼のお陰で多少は見えるのだが、見えるのは片目だけだし普通に光源を作った方が楽なのである。
「そうだな、賊退治の仕事をさっさと済ませて早く次の層へ降りるしかないか.....しかし、ネルが居なくて大丈夫なのかね?」
俺達の中で冒険者の経験の深いネルが今回はいない。
なので俺達で何とかする必要があるのだが、やはり経験の浅さは不安なのだ。
「案ずるでない。ダンジョンの事ならネル程ではないが妾も多少は知っておる」
流石はシャルミナだ!伊達に歳は取ってないねっ!
「.....カズキ様?妾はカズキ様より少し年上なだけじゃぞ?」
「何も言ってませんけどっ!?」
シャルミナがニッコリと微笑みこちらを向いてくるので慌てて弁明する。
ナチュラルに人の思考を読むのは止めてください!
「フンッ、言葉にせずともそのぐらい顔を見れば分かるわいっ!」
「いやいやっ!ただ頼りになるなって思っただけだって!!」
危ない危ない.....今、シャルミナの機嫌を損ねる訳にはいかない。
「フフンッ、そうじゃろそうじゃろ?妾は頼りになるからのぉ」
シャルミナはふんぞり返って上機嫌になる。
シャルミナがチョロ.....ゲフンゲフン、素直で助かったぜ。
「しかし.....魔物も賊も出てこないな?」
ダンジョンに入って30分ぐらいは進んでいるのだが、まだ魔物や賊には遭遇していない。
「魔物が出るのは2層からじゃな。賊連中は2層の3層へ降りる階段近くを根城としておるようじゃぞ?」
「へぇ~、そうなんだ?って、何でそんな事知ってるんだ?」
「出発前にネルお姉ちゃんが言ってたんです」
「うんっ!『3層から戻ってくる冒険者を襲うのが1番効率がいいっす。相手は疲れてる上にドロップ品ってお宝も持ってるっすからね。だから根城にしてるならきっと3層へ向かう階段の近くっすね』だってさ!」
「ネルがそう言ってたのか.....じゃあその可能性が高いかな?でも油断せずに行こう」
しかしミラーカのネルの真似、無駄にクオリティ高すぎじゃね?
「2層から1層に魔物が上がってくる事って無いのかね?」
「基本ダンジョンの魔物はその層から移動はせんみたいじゃな」
「マジで?何でなんだろう?」
「さぁ?ダンジョンだからじゃないかの?」
う~ん、ダンジョンも不思議がいっぱいだな。
こうして俺達は1層を何事もなく進み、2層へと向かって階段を下りて行った。
「ハァッ!?なんだこりゃ!?」
2層へ下りた俺は、その光景に思わず驚く。
辺り一面草原で、奥には森が広がっている。
そして空があり、太陽らしき物までちゃんとあるのだ。
俺は後ろを振り返って階段の方を見ると、空間にポッカリと階段が付いているような不思議な光景が目に入ってきた。
「ダンジョンの中では昼と夜になる場所もあると聞くが、コレは凄いのぉ.....」
「草木の匂いはともかく、風の匂いも本物みたいですね」
シャルミナも驚き、リロロは鼻をヒクヒクさせている。
「ねぇねぇっ!コレ、見えないけど壁があるよっ!」
ミラーカはそう言いながら、階段の側の空間をペチペチと叩いていた。
奥には普通に景色が広がっているのだが、どうやらそれはダンジョンの作り出した幻らしい。
「しかし、思ってた以上に広いな.....次の層へ向かう階段をこの中から探すのか?苦労しそうだなぁ~.....」
「いや.....階段の場所は既に知っておるぞ?ギルドで普通に情報は買えるぞ?情報収集は怠ってはいかんと思うんじゃが.....」
アッ、ハイ!スイマセンでした!
母さんから逃げたい一心で、全くその事を気にかけていませんでした.....
「申し訳ございませんでした.....以後気を付けます.....それで、このダンジョンの情報って他には何かあるのか?」
「本当に次から気を付けるんじゃぞ?まぁ良い。それでこのダンジョンの情報じゃが.....2層は草原で奥に森が広がっておるらしく、その森の中に3層への階段があるみたいじゃな」
「じゃあその森にダン賊のアジトがあるって事だね?」
俺は素直に謝ると、シャルミナが情報を教えてくれ、ミラーカが賊のアジトはそこかと言う。
「多分そうじゃろな。それで3層は雪原エリアらしい。気温が低い上に魔物も手強くなっておるみたいじゃな。4層は3層とは真逆で火山と言うか、溶岩も吹き出ておるような灼熱のエリアみたいじゃな」
マジかよ.....環境が変わり過ぎだろ!?
「ちなみにこのダンジョンの探索の最前線がこの4層じゃな。そこから先はまだ誰も到達しておらんので情報はないのじゃ」
「俺達だけで本当に大丈夫なのか?」
「大丈夫じゃろ?環境の変化は魔法を使えばどうとでもあるし、魔物なぞ妾達の敵になるような強い魔物もおるまいて」
「いや、それってフラグなんじゃないか?」
「カズキ様、僕達の敵になるような強い魔物がいたら冒険者は全員死んじゃうんじゃないかな?」
「そうですね。情報があるって事は生きて戻ってるって事ですしね」
そう言われれば確かにそうなんだが.....
「いや、でもその先の情報は無いんだろ?もしかしたらそこに強い魔物がいるかもしれないだろ?」
「まぁ、妾達でも敵わん魔物がもし居るならば、それはこの世界ではジン様かミリア様しか対処しようがないって事じゃな。そんな魔物がダンジョンに居るとは思えんがの」
そうだった。
この3人の強さも十分に非常識なレベルなんだった。
「う~ん.....俺がビビり過ぎなのかな?」
「いや、慎重なのは良い事じゃな」
「そうだねっ!油断しても良い事ないしねっ!」
「はいっ!万が一って事もあり得ますし!」
少し気落ちする俺に対し、3人はそう言って俺を励ましてくれた。
「よしっ!とりあえず、先ずは賊退治をさっさと終わらそう!」
俺はパシンッと自分の頬を叩いて気合いを入れると、頭を切り替えて当初の目的でもある賊退治に集中する事を決めた。
「「はいっ!」」「うむっ!」
そんな俺の言葉に3人は返事を返し、俺達は賊を潜むと思われる森に向かって歩きだしたのであった。




