第十六話
甲板で海を眺めていると周囲が徐々に霧に包まれている事に気づく。
異常事態かと思い、船員の様子を見るが大して慌てた様子もなく、いつも通りであった。
ではこの霧は何なのだと思い、近くに通った船員に尋ねる。
「この霧はこれから向かうアーケノスって言う温泉都市の周りに常に漂ってるもんだ。気にするこたぁねぇよ。安心しな、ここらの海域は安全なんだ。ガハハハ」
そう言うと船員は、豪快に笑いながら、仕事に戻っていった。
成る程、この霧は少し硫黄臭いのは温泉都市だからか。
そういえばと思って俺は船内に戻る。
俺の部屋の前に立つと中から、笑い声が聞こえる。
俺が中に入ると、元気そうに立つシュヴァルツがいた。
「お前、船酔いはもう大丈夫なのか?」
「フフフ、安心してください。遂に私は、対船酔い用魔術【 絶対酔わない】を開発しましたから!ふふふ、私は船酔いに勝ったのです」
そんな話をしていると船が止まった感覚がする。
「シュヴァルツ、仕事だ」
「畏まりました」
そう言って俺たちは倉庫室へ向かった。
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「ふぅ、疲れたな」
俺はそう言って半分くらいに減った倉庫室の荷物を見た。
「マスターのお手をわずわらせる必要もありませんでした。」
そう言って申し訳なさそうにするシュヴァルツ。
本当に忠誠心が高いのは良いんだが、あまり高すぎるとそれはそれで…
「おーい、兄ちゃん達!」
すると、船長に呼ばれる声が聞こえた。
「はい、なんでしょう」
「大体の仕事は終わったから。兄ちゃん達は観光でもしてきな」
「どれくらいここには滞在しますか?」
「うーん、そうだなぁ、最低でも10日はいると思うぜ。」
なかなかに長い滞在期間だ
「宿はこっからまっすぐ行った【黄昏亭】ってとこだ。ここに滞在中は仕事はねぇから好きにしな」
「船長ー!こっち終わりました!」
「おー!今行くから待ってろ!じゃあそういうことだから俺は行くぜ」
そう言って船長は声のした方へ向かっていった。
「じゃあ、ぼちぼち街を回りますか」




