第十二話
宿に到着すると、シュヴァルツは用事があると言って、どこかへ行ってしまった。
少年は、起きたが、やはり魔術の影響で、記憶を失っていた。
アドラスと名前と、てきとうな事情を教えると、保護院へ預けた。俺に感謝していたようで、かなり精神的ダメージが大きかった。
そしてそれから1週間が経った。
俺は大分今の魔力の扱いに慣れてきた。
だが、未だに全体の魔力の量が分からずにいた。
最近は、シュヴァルツも別に依頼を受けて、こなしていた。
お陰で、お金はかなり貯まってきて、受験料と、入学金と、2年分の教育費は稼ぐ事が出来た。
学院には、最低5年通う事になっている。
なので、後3年分稼げばいいのだが、それもこのペースでいけば、後一週間ほどで貯まりそうだ。
そんな事を考えながらも、目の前の魔物の大群、【大鬼軍隊】を殲滅していっていた。
そんな時、遠くの方から一際大きな咆哮が聞こえてきた。
この感じは、かなり強力な魔物のようだ、ここからでも強い魔力を感じ取れる。
吸血鬼になった事で、五感が敏感になったようで、咆哮が聞こえた方へ、向かってるが、かなり遠かった。
お陰で、重大な読み間違えをしてしまった。
想像していた10倍魔力の量が違った。
それにこいつは魔物じゃない、モンスターだ。
モンスターとは、この世界が創られた時に同時に生まれた生物の事で、有名なのは、西の青龍、北の白虎、東の鳳凰だ。
目の前にいるこいつは、モンスターの中では、まだマシな方だが、第四級危険度のキマイラだ。
個体差が大きいので、分からないが、目の前の奴は頭は山羊、そして体は虎、尾はサソリを模した風貌をしていた。
いくら、個体差が大きいといっても、かなり強力なモンスターだ。
俺はシュヴァルツを呼び戻すとすぐに転移してくる。
そして、準備していた【多重魔術展開】を施した
【氷炎爆破】を発動させる。
すると、目の前に一瞬で大氷が現れ、今度はそれが爆散し、大きく燃え上がった。
一瞬の出来事で、一般人には、ただ途轍もない爆発が起きた様にしか見えなかっただろう。
発動の瞬間、転移の魔術を使い、遠くに避難して、巻き起こった砂埃が治まるのを待っていると、突然砂埃の向こう側から何かが飛んでくるのが、見えた。
急いで避けるが、唐突な事で少し掠ってしまう。
飛んできたのは、キマイラの尻尾だった。
ある程度予想していたが、あの一発で倒せなかったか。
傷を見ると、深く抉られているようだが、徐々に再生していた。
吸血鬼様様だな。
砂埃が治まると、そこには数箇所抉られているようだが、予想よりも傷が浅いキマイラが立っていた。
良く目を凝らすと、薄っすらと壁が見える。
クソ、魔力軽減持ちか。
こいつは、メンドくさい相手だ。
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