姉妹の再会、そして脅威。
「私は鹿屋朱音。高校3年生よ」
「やはり先輩でしたか、俺は糸島情報高専の千早涼亮といいます。妹の名前は知奈といいます」
「同じく、吉塚颯太です」
自己紹介が終わったと思えば、颯太と朱音が俺の頭をじっと不思議そうに見つめている。
「俺の頭がそんなにおかしいですか?」
「だってあんた、頭にハンディファンついてるわよ」
「ああこれか」
ハンディファンを持っていた地下鉄七隈線の女性は、俺の絡まった髪を解いている時間がないので謝罪しながら俺の髪にハンディファンをつけたまま天神で降りて行ったからだ。
家に帰ってから絡まった髪を解こうと思ったが、今になって恥ずかしくなってきた。
そろそろ話を本題へ移すとしよう。
正直、髪のことは放っておいてほしい。
「そうだ、朱音さん。答えたくなかったら良いんですけど……」
「ん、何よ改まって」
「綾音さんって本当に亡くなったんですかね?」
「…………詳しくは分からない」
「分からない」ということはどういうことだろう。
「綾音は病院に搬送されて、お医者さんからは死亡したと”思われます”って告げられたけど……何故か遺体を見せられていないの。死亡を確認する前に綾音の身体が病院から行方不明になったって警察の捜査で分かったの。」
「大体、遺体も見ていないのに亡くなった可能性を信じるなよ。本当に綾音を愛しているのなら、そして綾音の姉ならば生きている可能性を少しくらい信じてみたらどうなんだよ。」
朱音にタメ口を使ってしまった俺を颯太が見つめている。
「待って今どういう話してんの」
「颯太には後で説明するよ」
綾音が言っていた、「あたしの身体は福岡市のどこかにあるらしいんだけど……あまり記憶がないの。」ということは、もしかしたら生きているのかもしれない。
肝心なことを忘れていた。綾音を映し出して、朱音と対面させれば何かを思い出す可能性がある。
そこで俺はスマホを取り出し、綾音を映し出した。
綾音はすぐに朱音の存在に気づく。
「お姉……ちゃん?やっぱりお姉ちゃんだ!」
「やっぱり綾音だ……!綾音〜っ!」
朱音は涙を流しながら勢いよく、綾音の3Dホログラムに抱きつく。
「あれ、立体映像なのに綾音に触れる……」
そう言えば今日の朝、俺も綾音に触れることができた。
その触覚とやらは自分の綾音に対する強い気持ちからくるのか、または最新技術からなのか。
朱音という存在を思い出した綾音は、点と点を結ぶように記憶を少しずつ思い出していく。
「ここ『純粋屋』でしょ?鹿児島に住んでいたときは、お姉ちゃんと一緒に天文館で食べたよね!」
「こんな形でも綾音に会えて、本当に嬉しい……」
朱音は一時的な安堵の涙を流して、綾音に抱きついたままでいる。
「いい話だよ!」
知奈と颯太はつられて感動しているし。
しかし、再開の喜びも束の間。
コンコン、とドアを叩く音が個室に響く。
「……やっと来たわね。かき氷」
やっと店員がかき氷を持って来たと思って朱音がドアを開けると、そこに立っていたのはパーカーを着た20歳くらいの男性だった。
「きゃっ!」と朱音が小さく悲鳴を上げる。
「ビンゴだ」




