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地下鉄内、謎の赤髪の女の子

結局、綾音と知奈を連れていくことになった。


 電車内で半透明の女の子と会話しているのはさすがに冷たい目で見られそうなので、スマホをポケットに突っ込んだまま地下鉄薬院駅まで歩いて向かうことに。


「お兄ちゃん……脚疲れた」


「日頃運動していないからだろ」


 知奈は学校の雑音を苦手としており、それゆえに学校へ行っていない。登下校という面倒なことが無いから運動不足らしい。




 地下鉄薬院駅のプラットホームへ着くと、そこは夏とは思えない爽やかな涼しい空気で満たされていた。


「薬院」という駅名標と睨めっこをすること2分。


 少し小柄なブラックマスクの列車が曲がりくねったトンネルの暗闇を前照灯で引き裂きながら入線してきた。


 ホームに停車してから綺麗なホームドアが開く。


乗車してみると、いつも通り混雑していた。




 「ふぇぇ……人、人が多いよぉ……」




 外にあまり出たことのない中1の妹が、いきなり混雑した地下鉄車両に乗るということは彼女にとって少し難しかっただろうか。




 列車は渡辺通りを後にして天神駅に停車した。


「知奈、ここは降りる人が多いから気をつけろよ」


「もちろん」


 ドアが開いて車内からプラットホームへ大勢の人が流れていく。




 「痛い痛い痛い!」


 俺の髪型がウルフカットであるが故に、天神で降りる女性の持っていたハンディファンに髪が絡まった。


女性も謝りながら必死になって解こうとするも、なかなか取れない。


 痛みに耐えきれずもがいているとポケットからスマホが落下した。今履いているものが自分で切り裂いて加工したダメージジーンズだからだろう。




 スマホが車内で落下すると綾音が映し出された。


「ここ……地下鉄?」


 キョロキョロしている綾音に周囲の視線が集まり、次第にざわめき始める。


 ーーなんだ?立体映像か?ーー


 ーーなかなか可愛いなーー




  列車奥の方を見ると、赤色の髪をした女の子が、びっくりしたような表情を見せた後に俺を睨みつけていた。彼女の視線からは獲物を見つけた猫のような強い殺気を感じる。


 殺されそうな気がするので、綾音を宿したスマホを取ってポケットへ入れた。




「お兄ちゃん……あの人怖いよ……」


 やはり、こちらを睨んでいる赤髪少女は幻覚ではなかったようだ。


「大丈夫。俺がいるから」


 (あれは私立太宰府中央女子高の制服、胸には特待生のバッジか……一体何者なんだ?)

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