同時進行デート、修羅場フラグ爆走中
「こっちこっち! もう場所取りしてあるから!」
「ほんとに来てくれたんですね……うれしい」
「せんぱい、あーん♡ ……あ、もう口に入ってた……」
──三人、全員と同じ日に約束を入れた結果。
俺、まさかの同日タイムスケジュール制で全員とデート中です。
午前:真央とバドミントン&公園デート
昼過ぎ:紗耶と図書館→カフェ→桜の下で勉強(という名のイチャイチャ)
夕方〜夜:莉子とピクニック→スイーツフェア→夜桜観賞会
走って移動してる間、何回息切れしたか分からん。
でも──
三人とも笑ってる。
それだけで、足は止まらない。
──そして、事件は起きた。
「……あれ? あの人、さっきも見かけたような……」
紗耶がカフェの窓からぼそっと呟いた。
「おっかしーな……セイタと同じ服のヤツ、あっちにもいなかった?」
真央の記憶力が絶妙な精度で蘇る。
「……せんぱい……? あの、さっきまで誰といました?」
莉子の笑顔が、ちょっとだけ曇る。
ヤバい。
時空の壁が薄くなってる。バレる、バレるぞコレ!
「いや、えっと、その……」
苦し紛れに言葉を選ぼうとしたその時──
「セイタ!」
三方向から、同時に俺の名前が呼ばれた。
──修羅場、起動。
システム、恋愛カオスモード突入。
でも俺は──逃げなかった。
(そうだ……これが俺の選んだ道だろ?)
誰かを選ばず、全員を愛す。
それがどれだけ無茶なことかなんて、最初からわかってた。
でも。
「全部話すよ。嘘も誤魔化しもなく。
だから──最後まで聞いてくれ!」
三人の視線が交錯する。
その中心で、俺は覚悟を決めた。