告白
あの日の“秘密”を打ち明けてから、沙耶の雰囲気は少しずつ変わっていった。
大学でふいに目が合えば、恥ずかしそうに笑ってくれるようになった。
その笑顔を見て、俺も少しずつ、前に進む覚悟を固めていった。
夕方、人気のないゼミ室に沙耶を呼び出した。
「……話って、なんですか?」
沙耶はどこか緊張した面持ちで入ってきた。
俺は立ち上がり、彼女の正面に向かう。
「沙耶。……俺、お前のことが好きだ」
その言葉に、沙耶は静かに目を見開いた。
でも、すぐに――小さく笑った。
「……知ってましたよ。ずっと、見てたから」
「ずっと待たせたよな。ごめん。
でも今は、もう誰かと比べてるわけじゃない。
“沙耶”という人間を好きだって、ちゃんとわかってる」
沙耶は、ほんの一瞬だけまばたきをして、口を開いた。
「先輩……じゃなくて、セイタさん」
「ん?」
「私も、セイタさんが好きです。……ずっと前から」
それは、静かな、でも真っすぐな告白だった。
「でも、私のことだけ選んでとは言いません。
私は……セイタさんが“全員を大事にしたい”って思ってること、理解してるから」
「でも、俺は――」
「だからこそ、セイタさんが“私を一番に思ってくれる日”が来るように、私自身を磨き続けます。
逃げません。あきらめません。だって、私はあなたを選んだから」
その言葉に、俺はもう何も言えなかった。
沙耶の覚悟が、俺の胸にまっすぐ刺さってくる。
静かに、ふたりの距離が近づいた。
「セイタさん」
「……ん?」
「今だけは、私のことだけ、見てください」
そう言って、沙耶は俺の胸に顔をうずめた。
心臓の鼓動が聞こえるほどの近さで、彼女の温もりが伝わってくる。
俺も静かに、その肩を抱いた。




