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悪役戦姫ノア、男装皇帝に嫁入りする  作者: ゆいレギナ


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最終話 誓いのキス



 そんなドレスを着た結婚式だ。失敗するわけにはいかない。


「ノア~、本当に大丈夫か? 暴れてなかったか? 諸侯貴族にケンカ売ったりしてないな?」

「大丈夫! 困ったときはいつも心の中のお兄ちゃんに相談していたよ!」

「うわぁ……めちゃくちゃ不安しかない……」


 何だよ……そうしろって言ったのはお兄ちゃんじゃないか……。

 私の親族代表として、チャペルのバージンロードを一緒に歩くのは、私の実兄であるシャルル王国の若き現国王である。


 当然、この結婚式はただ愛を誓い合うだけのものではない。

 れっきとした国際行事。しかも本当の意味での戦争の終わりを告げる、和平イベントだ。


 私はこの結婚式で、誰よりも世界平和の象徴とならなければならない。

 笑える、一年前までは戦争の象徴として『血花のノア』なんて呼ばれていたのに。


 でも、こちらのほうが何十倍もやりがいのある役目だ。

 いかに争っていても、いつかわかり合える日が来るのだと。

 手と手を取り合い、共に生きていくことができるのだと。


 これから長い年月を懸けて、それを世界に知らしめていくことが、私の役目。


 ちなみにこの兄、公務の忙しさから本当にギリギリで到着した。


「本当に、何もアニス帝国の皆様にご迷惑をおかけしていないな?」


 なので、お兄ちゃんはまだ知らない。


 妹姫がこの五日で、すでに二度も決闘をしていることを。

 さらに、私のペットもまた皇帝と決闘済み。


 あげくに地下室を崩落寸前までボロボロにして、すでに皇帝自ら魔法で王宮全体の補強作業を施してくれていることを。……まあ、最後のは皇帝の自業自得なところもあるけれど。


「……私は悪くないもん」


 それでも、私は敗戦国からの生け贄である。

 問題を起こさない、問題には関わらないが無難な立場には違いない。

 視線を逸らしまくる私をフォローしてくれたのは皇帝だった。


「ご心配には及びませんよ、シャルル国王。わたしはノア姫のやんちゃぶりも愛しておりますから」

「……何かございましたら、すぐにでもお呼びつけください。この妹が私の言うことを聞くとも思いませんが、できる限り尽力いたしますので」


 深ーく頭を下げながら、お兄ちゃんは私を皇帝に預けて、親族席へと向かう。


 途端、やたら熱い視線を感じる。

 私をうっとりと見つめるのはエーデルガルド皇帝だった。


「美しいよ、ノア姫」


 厳かなチャペルの先に待つのは、しっかりと男装したエーデルガルド皇帝。

 白いタキシードをピシッと着こなして、そのラベンダー色のやさしい瞳をゆるやかに細めている。なんてしあわせそうな顔なのだろう。なんて愛らしい顔なのだろう。


 昨日着ていた黒いドレス姿もきれいだったけど、白いドレスを着ても似合うのだろうな、と想像して……私はやめる。男装していても、女装しても、エルはエルだ。


 だから、私は心から自分が言われて嬉しかった言葉を返す。


「エルもきれいだよ」

「わたしが?」

「うん、世界一きれい」

「……ありがとう、ノア姫」


 すると、エルは嬉しそうにはにかんで。

 そんなことを小声で話していると、牧師がお決まりの愛について語り始める。

 その中で、私はこっそり彼女(・・)に苦笑を返した。


「姫と呼ばれるのは、これで最後だね」

「……どういうこと?」


 その疑問符に、私はにやりと口角をあげた。


「だって、私はこれから皇后になるんでしょ?」

「それでも、わたしは姫と呼び続けたいかな」

「どうして?」


 今度は私からの疑問符に、エルも自信に満ちた笑みを浮かべる。


「他の誰もきみを姫と呼ばないなら……その響きはわたしだけのモノになる」

「寵愛も程々にね。私はあんたの嫁になりにきたんだから」


 私は最初から、皇帝に愛されるために敵国まで来たわけではない。

 私が捧げた父親の首を受け取ったときの、皇帝の覚悟を決めた顔。

 我ながらバカなことをした自覚はあった。それでも、私のことを笑うわけでもなく、罵るわけでもなく、私の覚悟ごと、まっすぐに受け取ってくれたから。


 そんな皇帝の顔を見て、私は思ったのだ。

 この人は、きっといい王様になる。


 だから『嫁に来い』と言われたとき、正直嬉しかった。

 愛されたいなどと、私のほうこそ望んでいなかった。


 私が望んでいたのは、ひとつだけ。

 これから背中を合わせて、ともに戦わせてもらうこと。


「私はあんたの隣に立つために来たんだよ」

「ノア……」


 そして、牧師のありがたい話が終わる。


 結婚誓約書にサインをして。

 指輪の交換をして。


 あとやるべきことは、ひとつだけ。

 私たちは大勢の諸侯貴族の前で、永遠の愛を示すのだ。


 私のヴェールをあげたエルが訊いてくる。


「今度はわたしからキスをしても?」

「わざわざ聞かないでくれる?」



 そして、私たちはキスをした。



 その光景は著名な画家に描かれ、たくさん模写をされて。

私たちのキスシーンが載った新聞は『新しい時代の幕開け』と題されて、世界中にばら撒かれるのである。



 《悪役戦姫ノア、男装皇帝に嫁入りする  完》


最後までお読みいただきありがとうございました!

ゆいレギナです。


はじめて書いた百合 (っぽい)小説、いかがでしたでしょうか?

私のお気に入りキャラはポチです。ご主人様の前だけかわいいフリしている系ペット、かわいいですよね(異論は認める)


他にもこのキャラよかったよ! おもしろかったよ! などありましたら、感想やレビューなどでお聞かせ願えたら嬉しいです。また、評価欄(↓の☆☆☆☆☆→★★★★★)をいただけたら、ランキングに載れたりするので、私のご褒美になります。


これからも勢力的に新作書いていきますので、お気に入り作者登録もしていただけると嬉しいです。また、幼女系ファンタジー(https://ncode.syosetu.com/n9188ke/)も連載中ですので、よければどうぞ。下にポチッと飛べるボタンも置いておきますね。


最後に、この作品があなたの有意義な暇つぶしになれたことを願って

ゆいレギナ

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