法規
「異世界」では科学的説明が為されなければ魔法一つ使う事はできない。
合理的に行動してはならない、ここぞの選択は必ず状況を悪化させる方を選ぶ。
状況を理詰めで解消してはならない、話してはならない、思考してはならない。
「異世界」のルールは「世界」のルールの訛ったモノである。
ヒトを殺す度に一々葛藤を示す言文を挿し挟まねばならない。
「世界」の暗黙の了解を持ち込んではならず、教育的建前が優先される。
重量感の有る現象を観測してはならない。空理空文のみ報告すべし。
「世界」のスラングを用いて思考しなければならない。
週に一度は恋愛すること。「世界」の国民意識へ服従せねばならない。
「世界」へ帰って来るまでが「異世界」。日本人として礼儀正しく行動する。
濃厚な性行為には気を付ける。とくに男女の精神を観測してはならない。
女性の人権へ最優先で配慮し、男尊女卑を標榜する異世界人を必ず叩きのめす事。
異世界人が自然環境を破壊する様子を報告すること。悲劇的に修飾すること。
自然破壊を見てどう感じたか、文章を書いてみよう。
自然を数字で見てはいけない、それでは近頃の若い人はまるで機械のようではないか、スマホの普及と共に自然や新聞への素直な感受性を失ってしまったのだ、実に嘆かわしい限りである。
極力数字を追わない、特にルールへ抵触する数字は絶対に存在してはならない。
資本家のイメージアップと革命思想の刷り込みは、論理の整合に先行する。
次いで救世主の終末論をフォローせねばならん。ならぬものはならぬ。
「世界」に存在していた個人名・企業名・作品名へ考えが至らない。至る時は必ず一文字ど忘れする。




