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7、十八般

小説家階級があって、子が三歳になってから十六で元服するまで、小説の技術を叩き込むものとする。文芸十八般である。


武芸十八般は、

刀・抜刀・短刀・槍・棒・薙刀

弓・手裏剣・含針・砲・馬・水錬

十手・もじり・捕手・柔・鎖鎌・隠形

らしい。


さてまずは、SF、推理、恋愛だろう。

現代小説においてサイエンスに抵触(銃がコーヒーで熱膨張)する事は作者の低知能を意味してしまうし、サイエンスを外れるなら代替えの法則が必要である。

推理・犯罪捜査、これは現代読者に理解しやすい型であり、時代劇でもソードアンドマジックでも、何にでも応用が利く。近代理性の思考プロセス。

恋愛、金瓶梅からチャタレイ、上海ベイビーまで、基本技術であることは論を待たない。農民の子を即席で侍に仕立てるなら、この三つで充分。刀、槍、水練って感じ。


次いで、怪談、笑話、人情だ。

昔話の黄金パターン、喜怒哀恐。武芸で例えれば、投擲、隠れ身、徒手格闘である。


そこへ教養、冒険、歴史が続く。

教養小説は、成長小説、ビルドゥングスロマンと呼ばれ、一面の青春小説も含むだろう。冒険は未知への好奇心。歴史は考証学的な興味深さ。ここらは基本的素養でありながら少しく構えは本格的になってくる。弓、馬、柔。


悪漢、社会、伝記

実力こそ全ての悪漢たちが食い合うバイオレンス、非情な世界、ハードボイルド。社会への告発・風刺・ネガキャン、犯罪者のルポなど。伝記は偉人や豪傑の活躍、支配者が搾取の正当化の為に作ることもある、毛沢東や劉邦のような三突出。ダーティーな技術、短刀、含針、砲術。


写生、耽美、実験

ルネサンス、古典、写実、アーツンクラフツ、新即物、ミニマル

マニエラ、新古典、印象、アールヌーボ、コンセプ

ゴシック、バロック、ロマン、主観象徴、キューブダダシュールデコ、新表現

純文学の分類例。三つ巴。変態芸術。棒、もじり、鎖鎌。


論文、韻文、日記

嗜み程度に。観測された事実と推理の集積物、しつこく検証。ノリ、ダジャレ、ラップ、俳句。旅行記や食事レポートも含む、体験と感想。抜刀、薙刀、十手。


まとめると、文芸十八般とは、SF、推理、恋愛、怪談、笑話、人情、教養、冒険、歴史、悪漢、社会、伝記、写生、耽美、実験、論文、韻文、日記、のことをいう。


もつはらあいたしなむへきこと

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