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馬鹿

文を読む人間は、驚くほどの馬鹿か、自分を馬鹿だと思っている奴かである。読まない人間はすべて自分を賢いと思っている人間だ。本を読むと賢くなるではない、賢いと本を読むである。


賢い人を馬鹿だと呼ぶ事と、馬鹿を賢いと呼ぶ事が、「馬鹿にする」である。君は存外に賢いのですね。



馬鹿って言ったほうが馬鹿。


他者を馬鹿と言える者は冒険心に富んでいる、他者から馬鹿と言われる者は思慮に富んでいる。


馬鹿とは自他の間に在る透明の膜の事である。自分が馬鹿を通して他者を見るのと同様に、他者も自分を馬鹿越しに見ている。


自分の事を白人だと思い込んだ日本人が二人居て、お前は日本人だと言い合っている。日本人と言った奴の方が日本人か? どちらの方がより日本人だろうか? 初めに言い出した方か? 言われた方か? いいや、三人とも狂人だ。


箱の中に何かが居て、少年は箱の中に馬鹿が居ると言う。確かに箱の中なんかに居るのは正気とは思えない。しかし箱が開くまで馬鹿かどうかは確定しない。


荒野で突然「馬鹿」と独り言をした青年に、ラクダを連れた商人が「馬鹿、と言う者は馬鹿」と言って通り過ぎた。青年は馬鹿か?


誹謗中傷するのは、愚かしい。

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