2、面白さ、とか何か
面白さを目標と置いて、面白い小説を書くにはどうするかを考えると、面白さはすべて読者の知識と性格に依存すると分かるので、これは、特定のマーケットに適切な製品を投入する事が、面白い小説を作る事である、としか言えなくなる。
あなたの感じる面白さが普遍性を持っている訳ではなく、あなたと同程度の知識、趣味の者に対してのみ、あなたの話は面白さを持つ、である。
面白さと似たものをまとめて、小説目標と名付けておく。小説を評価するには、小説目標を洞察し、それに沿って比較、計量する。目標が、面白さなら販売数、西洋美術への礼賛なら再現率、近代理性の啓蒙なら論理の整合、革命なら歴史修正と敵対陣営の印象改悪とシンパの増加数。
各目標の到達度、達成度を競うことが、小説群へ自作の小説を投げ入れる遊びの要諦と言える。黒うても白うても、基準に拠ってしか文は測れない。
小説目標を知り、その達成へ向かうなら、君は小説の方法を自然と理解するだろう。すなわち
1、目標は何か、宗教、銭、思想、支持政党、映像理論、自己マン日記、賭博。
2、その為に使える道具は何か、文の並べ順。
3、障害はなにか、
「嘘の話やろ、どうせ」
「まるでロボみたいやな、心の暖かさが無いねん」
「で、何が言いたいん? 時間の無駄ちゃうん?」
「女心わかってへんなぁ」
「こないだやってた映画のパクリやんか、しょーもな」
「話はおもろかってんけど、作者の頭悪そうやな」
「趣味悪いわぁ、あんな男、有り得へんやろ」
「自分ムッチャ性格悪いなぁ」
「書くの遅いで、早よしいや」
「適当に書いたやろ、分かるわ、おもんないもん」くそッ、自分で書いてみろや芋たこナンキン、ぼけ茄子トマト、あほあほあほ。
覚悟が出来たら、ゲームの始まりだ。文を使って、あほ女をぎゃふんと言わせて、目標を達成しよう。君の小説だ。