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転生したらネズミ獣人でした。戦争帰りの仲間とロバのジョンで、今日も辺境へ物資を運びます  作者: ケロン藤野


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第2話 武装解除


戦争が終わってから数日後。


私たちの小隊では、武装解除が始まった。


連隊の事務方の兵士が立ち会い、兵士たちは一人ずつ、自分が持っていた武器と弾薬を提出していく。


「次、お願いします」


兵士がブルーシートの前に立つ。


そこへ、仲間たちが武器を並べていく。


ライフル。


狙撃銃。


拳銃。


手榴弾。


機関銃。


ロケットランチャー。


グレネードランチャー。


トレンチガン。


サブマシンガン。


対物ライフル。


12.7mm重機関銃。


パンツァーファウスト。


対戦車地雷。


C4爆薬。


81mm迫撃砲。


火炎放射器。


そして大量の弾薬。


5.56mm弾。


9mm弾。


7.62mm弾。


12.7mm弾。


戦争中、私たちが使っていた武器が、次々とブルーシートの上へ積まれていく。


昨日までなら、それらは命を守るための道具だった。


今日からは、もう必要ない。


私はその光景を眺めながら、なんとも言えない気持ちになった。


「……本当に終わったんだね」


茶々が小さく呟く。


「うん」


黒音も答えた。


私たちは三人とも、戦場を離れる。


武器を返す。


軍服を脱ぐ。


そして、普通の生活へ戻る。


……その予定だった。


ただし。


私たちには、一つだけ秘密があった。


⸻


昨夜。


私たちは、長年世話になった「あの子」をどうするかで悩んでいた。


「嫌だ」


茶々が言った。


「私も」


黒音も言った。


二人とも泣いている。


「あれだけ一緒に戦ったんだよ」


「置いていけない」


二人が見ていたのは――。


M60汎用機関銃。


茶々が長年使ってきた愛銃。


その名も。


ブッコロちゃん。


「でも、持って帰れないよ」


私が言う。


「武装解除なんだから」


「分かってる」


茶々が泣きながら答える。


「だから……」


黒音が言った。


「せめて、もう一度だけ会えるようにしよう」


私たちは、別の小隊の陣地跡へ向かった。


そこには、激戦で破壊されたM60の残骸が転がっていた。


それを拾ってきた。


そして――。


ブッコロちゃんを分解した。


油紙で部品を覆ってから木製の武器輸送箱に入れる。


ビニール袋で何重にも包む。


水が入らないように、できる限り厳重にする。


弾薬も同じだった。


およそ二千発。


こちらも弾薬箱へ詰めた。


そして、三人で人目につかない場所へ運んだ。


「ここなら……」


黒音が周囲を見る。


「大丈夫だと思う」


私も頷く。


地面を掘る。


箱を入れる。


土をかぶせる。


そして、その上に目印を作った。


近くにある松の木。


その幹にナイフで印をつける。


さらに黄色いビニール紐を巻いた。


茶々が立ち上がる。


「これで分かる」


黒音も頷く。


私は二人を見る。


「ほとぼりが覚めたら、取りに来よう」


「うん」


「三人の秘密」


茶々が言う。


「絶対に誰にも言わない」


黒音が続ける。


「三人の秘密だ!」


私たちは顔を見合わせた。


そして、埋めた場所を後にした。


⸻


そして今。


武装解除の時間。


「次」


私たちの番が来た。


私は持っていたSKSライフルを提出する。


茶々も9mm拳銃を提出。


黒音も国民簡易短機関銃を提出した。


弾薬もまとめて提出する。


事務方の兵士が確認していく。


「SKS……よし」


「拳銃……よし」


「国民簡易短機関銃……よし」


そして――。


「M60は?」


一瞬。


三人の空気が止まった。


私は平然を装う。


「……最後の戦いで破壊されました」


事務方の兵士が顔を上げる。


「破壊?」


「はい」


私は頷いた。


「激戦でして」


茶々も黙っている。


黒音も黙っている。


事務方は少し考えた。


「そうですね」


そして、ブルーシートの上に置かれたM60の残骸を見る。


「最後の敵の突撃で、うちの連隊と他の二個連隊がかなりやられましたから」


「はい」


「武器の提出、ありがとうございます」


「こちらこそ」


事務方の兵士は記録を確認し、書類へ判を押した。


これで、私たちの武装解除は終わった。


胸の奥が、少しだけ軽くなった。


同時に。


ほんの少しだけ、不安になった。


これから、本当に何もない。


銃もない。


戦場もない。


命令もない。


自分で人生を決めなければならない。


事務方の兵士が言った。


「明日、福岡へ行く列車が来ます」


「一旦、福岡へ行ってください」


「戦争手当などの手続きをしてもらいます」


「分かりました」


私たちは返事をした。


そして荷物をまとめる。


三人で駅へ向かった。


駅へ続く道を歩いていると、茶々が小声で言った。


「真白」


「なに?」


「いつ、ブッコロちゃん回収する?」


「声、大きい」


「ごめん」


黒音が周囲を確認する。


「ほとぼりが覚めるまで、福岡にいよう」


「戦争の手当もらってから考えよう」


私は頷いた。


「そうしよう」


茶々も頷く。


黒音も頷く。


三人だけが知っている。


松の木の下。


黄色いビニール紐。


そして――。


土の中で眠っている、私たちの戦友。


ブッコロちゃん。


いつか。


また会いに行こう。


そう思いながら、私たちは駅へ向かった。


もう、戦場へ行くためではない。


これからの人生へ向かうために。

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