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よっちゃんと会う日がやってくる。碧人はいつも以上に気合いを入れた綺麗めな服装を選んだ。駅でよっちゃんと合流することになっており、待ち合わせ場所に向かう。よっちゃんは集合時間の10分前に着いたそうで、連絡が来た。碧人は駅に着き次第、すぐによっちゃんがいる場所に走る。
実際に会ってみて、よっちゃんは写真より実物の方が可愛かった。話しながら歩いていたけれど、よっちゃんは鈴のような声をしている。碧人は次第によっちゃんの彼氏になりたいと思っていた。しかしそう思っていたのは碧人だけだったようだ。
まずはパフェを食べにカフェに行く。よっちゃんはいちごがたくさん乗ったいちごパフェを、碧人はバナナにチョコレートソースがかかったチョコバナナパフェを食べる。パフェを食べながらLINEでのやりとりの延長線で会話を重ねた。その時のよっちゃんは碧人からすれば楽しそうに見えた。3時間ほど滞在した後、個別に会計してカフェから出る。
夜ご飯は碧人が全額奢ることになっていたけれど、2人でカジュアルなイタリアンレストランに入る。カジュアルといってもファミリーレストランよりはゆっくり話せる場所で、高級店ほど格式高いお店ではない。そこではピザやパスタを食べながら話をする。
1時間ほど経ち、よっちゃんからどんどん笑顔が消えていくのに碧人は気づく。体調が悪いのか、疲れているのか、どちらだろうかと考え、碧人はよっちゃんに
「大丈夫?」
と訊いた。けれどよっちゃんは頷くだけだった。まさか別れ際に意外な理由を言われるなんて、碧人は考えていなかったのだ。
お店から出て、碧人は次いつ会えるかとよっちゃんに訊いてみる。しかしよっちゃんは
「ごめんなさい。もうこれで会うの最後にしたい」
と言った。碧人は頭が真っ白になる。LINEでは盛り上がっていたのに会ってみたら違ったってやつなのか。だから浮かない顔していたのか。舞い上がりすぎて引かれたのか。いろいろ考えてみるも、正解がわからなくなる。碧人は真っ白な頭のまま、電車で家に帰る。よっちゃんとは縁がなかったのか。碧人はそう考えながら帰宅した。