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引きこもり魔王候補、戦場に引きずり出されました  作者: 結生
第一章 その花々は可憐に咲く

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憐太郎VS.リリアナⅡ

「あはははっ!」

「っ!」



 激しい戦闘を繰り広げる最中、リリアナは笑い、憐太郎は苦悶の表情を浮かべる。

 だが、どちらも受けた傷は浅くない。



「本当に最高だよ! 私が娶ってあげる!」


「あいにくと暴力女はタイプじゃない」


「じゃあ、どんな女の子がタイプなの、っよ!」



 リリアナは上段の回し蹴りを繰り出し、憐太郎はそれをかがんで避ける。



「巨乳でえっちなお姉さん」



 蹴りを空振りした隙をついて、憐太郎はリリアナの顎めがけてサマーソルトキックをかます。



「だったら、私、巨乳になるよ。見た目の年齢だって変えられる。ホムンクルスにとってその程度の改造は簡単なんだよ。それに裸位いつでも見せてあげるよ。恥ずかしいなんて思わないし」



 蹴りが当たる前に、リリアナは憐太郎の足首を掴んで止める。



「――分かってないな」



 だが、憐太郎は足を掴まれたまま無理やりバク転し、リリアナを宙に浮かせそのまま地面に叩きつける。



「がっ――!」


「えっちなお姉さんってのは、羞恥心がないことでも、露出狂でもない――」



 地面に叩きつけられたリリアナに追い打ちとばかりに拳を叩きつける。



「重要なのは計算しつくされた所作と豊富な知識だ。とりあえず脱いどけばいいと思ってるキッズには10年早い。出直して来な」



 憐太郎の攻撃をもろに食らったリリアナは倒れ、ピクリとも動かない。



「ようやく、大人しくなったか」



 決着がついた。

 そう思い、憐太郎はその場を離れようとする。



「――じゃあ、もう力ずくで君を奪うよ」


「っ!」



 背後からわき腹に重い蹴りを受けた憐太郎は吹き飛ばされる。



「なぜ……倒したはずじゃ……」



 よろめきながら立ち上がる憐太郎はさっきまでリリアナが倒れていた場所に目をやる。

 しかし、そこにはまだ倒れたままのリリアナがいた。

 そこから右へ視線をスライドさせると、今しがた憐太郎に蹴りを入れたリリアナが立っている。



「2人……? どういうことだ?」


「“ホロウ・イプシロン”」



 パチンっ! とリリアナが指を鳴らすと、倒れていた方のリリアナが黒い煙となって消え去る。



「分身か……」


「まだ、終わらせないよ。“ニュー・レイン・フォース”」



 闇の魔力で生成された弾丸が憐太郎の頭上へ雨のように降り注ぐ。



「っ! “ベータトロン”!」



 憐太郎は高速移動で躱しながら、リリアナに接近していく。



「あはっ! そっちから来てくれるなんて! やっぱりその気があったんだ!」


「黙れ勘違い女。こいつで決着をつけるんだよ」



 憐太郎の右手に宿る魔力が一際膨れ上がっていく。



「“行きずりの星、1つに交わりて咎となれ――”」


「……詠唱?」



 憐太郎は詠う。

 それは以前、梗夜が使った魔法。けれど、詩は少し異なる。



「“――それは万物を飲み込む闇”」



 闇の魔力に対応させた詠唱。



「あはっ! いいじゃん!」



 憐太郎の右手の魔力はさらに肥大化する。

 けれど、リリアナが警戒したのはそこではない。

 あれほどまでに肥大化してなお、あれには膨大な魔力が圧縮されている。



「全魔力――解放!」


「っ! いけません! リリアナ様!」



 憐太郎と同様にリリアナの魔力が増幅する。

 それに気づいたシスティが止めようとするが、彼女には届かなかった。



「“ガンマ・バースト-オーバードライブ-”!!!」



 炎と雷、それに加え風属性をも加えた3属性複合魔法。

 螺旋状に放たれたそれは今までの比ではない。

 大気を震わせ、空間を裂く。



「“空虚なる黄昏(トワイライト・グレイ)”」



 憐太郎の右手に圧縮された魔力がその枷を外したかのように解き放たれる。

 炎属性のみを再現したその黒炎は空間全てを焼き尽くす。



 そして――――――。




――2つの魔法が交錯する。






――――                                ―――― 





 音が消える。

 ほんの一瞬。

 それはぶつかり合い、収束。

 ……そして、拡散!



 ドゴンっ!ガシャ…バリバリバリバリ……。



 破裂する音、それに続くように突風が吹き荒れ、周囲に木々や床のコンクリートさえも捲りあがって砂塵のように飛んでいく。



「――」



 プリムラはその爆発に巻き込まれないように、白撫を抱え、さらに遠くへと逃げる。



「待ちなさい! 逃げる気ですか!」



 そんなプリムラの後をシスティが追った。




「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!」


「はああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!」



 互いが叫ぶ。

 それでも二人の攻撃は衝突したまま止まっていた。

 どちらの魔法も消えることなく今もなおぶつかり合って、その余波を周囲にまき散らす。

 ここにもう水上公園だった面影などない。

 既に荒野と成り果てた。





 そして、決着の時は訪れる。






――――ピシッ……。



 頬に亀裂が走る。

 そんな音がした。


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