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引きこもり魔王候補、戦場に引きずり出されました  作者: 結生
第一章 その花々は可憐に咲く

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憐太郎VS.リリアナ

「すみません、リリアナ様。結界を破られ侵入されました」


「別に構わないよ。今さら来たって遅いし」



 システィはすぐさまリリアナの傍に駆け寄り、プリムラの介入を報告する。

 それに対し、リリアナは気にした素振りを見せず、成り行きを見守る。



「うわ~、ボコボコのボコじゃん。レンタロー生きてる~?」



 木の上から憐太郎の横へ飛び降りるプリムラ。



「プリ、ムラ……おま……」


「あはは! 声ヘン! 喉潰されちゃった?」


「…………っっ!!!」



 声の出ない憐太郎は軽口を叩くプリムラに苛立ち睨みつける。



「そんな怖い顔しないでって。今治してあげるから。付与魔法(エンチャント)消滅(ロスト)”」


「! ん、んん。あ、あーーー。痛みが引いた? 声も出る。何をしたんだ?」


「ん~? レンタローが受けたダメージに消滅属性を付与して、そのダメージをなかったことにしちゃった」


「……チートが」


「あーしにかかればちょちょいのちょいよ」


「いや、それは今はいい。それより、いいタイミングで来てくれた。白撫がやられた。彼女も治せるか?」


「おけまる。シロろんはあーしに任しといて」


「ああ、頼む」



 憐太郎は自分の足で立ち上がり、改めてリリアナの前に立つ。



「な! どういうことですか!」



 そんな彼らの行動を見て、システィは驚きを隠せなかった。



「彼女は、プリムラは戦闘に参加しないのですか!?」


「うん、あーしはパス」


「では、一体何しに来たというのですか?」


「んー、見学」


「んな……!」


「あ、それから、シロろんがヤバそうだったからお助けにね。それ以外は邪魔する気ないから安心してもろてよいよ~」


「本当ですか?」


「なに~、疑り深いなぁもう」


「状況、分かっています? 彼は既にリリアナ様に負けているんですよ?」


「だって、言われてるよー。どうする、レンタロー?」


「問題ない」



 ボッ――。



「っ!」


「へぇ~」



 システィは目を見開き、リリアナは嬉しそうに微笑む。



「“アルファ・リリース”――って言ったか?」



 憐太郎の両手両足に闇の魔力が宿る。



「な、何故!? まだ魔力を扱えないはずでは!?」


「別になんだっていいじゃん。私を楽しませてくれるならさ!」



 動揺するシスティとは対照的にテンションの上がったリリアナは闇の魔力を纏った拳を打ち込む。



 ドンッ――!



「これで互角か」



 リリアナに合わせて拳を交える。

 その衝撃で大地は砕け、大気は哭く。



「……さっきとは比べ物にならないほどの衝撃っ! 本当にリリアナ様と同等の……!」



 体が飛ばされそうになるほどの衝撃波をシスティは結界を張って防ぐ。



「ん、イイ感じー」



 プリムラは巻き込まれないように白撫を抱えて距離を取る。



「あはっ! いいじゃんいいじゃん! これ! これだよ! 私が望んでいたのはさ! ――ってあれ? いない?」


「こっちだ」


「おっ、速いね」



 気づかれずに背後を取った憐太郎だが、リリアナは動揺せずに対処する。



「今のはリリアナ様の……“ベータトロン”?」



 憐太郎がリリアナの背後へ回った瞬間を見ていたシスティは首を傾げる。



「あれは闇の魔力で炎属性を再現し推進力として高速移動を可能にする技。どうして彼があれを使えるのですか? さっきまで闇の魔力を纏わせることさえ出来なかったはずなのに」



 そんなシスティの疑問を他所に、2人はその“ベータトロン”で高速移動しながら空中で殴り合う。

 拳が空振るだけでも、木々を破壊する威力。そんなものを振るっているのだから、水上公園内ではあちこちにクレーターが出来上がっている。



「“ターミネイト・ロー”」



 リリアナが引っ掻くように手を振ると、そこから黒い線が放たれる。

 憐太郎はそれを寸でのところで躱すが、少し腕を掠めた。

 

 シュッ――。


 するとそこから斬られたような傷跡がつき、ゆっくりと血が流れだす。



「今のは……」



 初めて見る技が何か分からず、それを確認するため無意識に後ろを振り向く。



「……これは」



 憐太郎の背後。そこにあった池が六等分に裂かれていた。



「今の技は、斬撃か?」


「せーいかーい! 切れ味の高い風属性に加えて、鉄属性の性質で強度を強くしつつ、糸の性質のように細く長くしてみたんだよ。だから、そうだねぇ。触れたら真っ二つになっちゃう糸みたいなものだと思ってくれていいよ? 気を付けてね」


「ッ!」



 リリアナは止めどなく、糸の斬撃による攻撃を繰り返す。

 全ての障害をあっけなく切り裂いていくあの技では、隠れるのは得策ではない。

 だから、憐太郎は引かず、距離を詰める。



「そうだよね。そうするよね。でも、ダメだよ」



 リリアナは両手を前に突き出す。



「“ガンマ・バースト”」



 白撫に使った時と同様、視界を埋め尽くすほどの広範囲攻撃。

 だが。



「それはもう知っている」



 リリアナの背後に憐太郎の姿が現れる。



「そう来ると、思ったよ!」



 さっきと同じ展開。そのため、リリアナの対処は速かった。

 振り向きざまに憐太郎より早く拳を打ちだす。



「手ごたえありっ!」



 その拳は完全に憐太郎を捉えていた。



 ピキッ……。



 すると、憐太郎の体に亀裂が走る。



「え……?」



 その亀裂は段々と大きくなっていき、憐太郎の体だけでなく大気にさえ広がっていく。

 

 そして――。



 パリンッ!



 破片となって、砕け散った。



「鏡っ!? しまっ!」



 気づいた時にはもう遅い。

 リリアナの頭上に飛んでいた憐太郎は闇の魔力を集中させた右拳を振り下ろす。



「っう――――!」



 背中に重い一撃を貰ったリリアナはそのまま地面に叩きつけられる。



「やっと良いのが入った」


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