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第41話:絶対清潔の静寂と「見えない隣人」

お読みいただきありがとうございます!

第41話は、世界を丸洗いした直後の「あまりにも美しすぎる後日談」から始まります。

汚れが一切消え去り、究極の透明度を手に入れた世界。しかし、その清浄さは、人間が触れてはいけない「世界の裏側」までをも白日の下に晒してしまいました。

物質の塗装が剥げ、剥き出しになった世界の設計図と、住処を追われた異形の隣人たち。

「清潔」の先にあるのは救済か、それとも破滅か。フェイトが清掃屋として行き着いた、驚愕の「美装」の概念とは?

世界の真実に触れる、シリーズ最大の転換点をお楽しみください!

世界を丸洗いした「洗濯日」が明け、空にはかつてないほど純度の高い太陽光が降り注いでいた。

 王都の街角では、市民たちが呆然と立ち尽くしている。彼らの視線の先にあるのは、もはや「石」でも「木」でもない。フェイトの揉み洗いによって、物質の奥底に潜んでいた雑味までが取り除かれた結果、あらゆるものが半透明の「光の結晶」のような質感へと昇華されていたのだ。


「……静かすぎる。風の音すら、不純物がないから耳に痛いほど澄んでいるな」


 フェイトは離宮のテラスに立ち、新品の(それこそ分子レベルで組み替えられた)紅茶を口にした。茶葉の雑味すら消えたその液体は、もはや「概念としての安らぎ」を飲むような感覚に近い。

 だが、その静寂を破るように、ガウス将軍が慌てふためいてスライディングしてきた。あまりにも床が滑らかなため、彼はテラスの端から端まで三往復ほど滑り続け、ようやくフェイトの足元に吸着した。


「フェイト殿! 大変です! 世界が綺麗になりすぎたせいで、これまで『見えてはいけなかったもの』までが露出してしまいました!」


「……見えてはいけなかったもの?」


 フェイトがガウスの指差す方向を見ると、そこには「この世のバグ」のような光景が広がっていた。

 完全に浄化された空間に、あちこちで半透明の奇妙な数字や記号が浮かび上がっていたのだ。さらに、街の至るところには、薄ぼんやりとした人影のような、しかし明らかに人間ではない「何か」が困惑した様子で漂っている。


「師匠! あいつら、俺の最新型モップを素通りします! 汚れじゃないんです。まるで、この世界の『設定』そのものが剥き出しになっているみたいで……!」


 ヴォルグが絶叫しながら、虚空に向かってモップを振り回す。しかし、その布切れは浮かび上がる記号を虚しく通り抜けるだけだった。


「なるほど。世界を洗いすぎた結果、物質という名の『塗装』が剥げて、世界の設計図ソースコードが見えてしまったか。そしてあの影たちは……汚れの中に隠れて住んでいた、この世界の運営者……いわゆる『精霊』や『神の使い』の末端だな」


 これまでの世界は、適度な汚れや不透明さがあることで、人間と精霊の境界線を保っていた。しかし、フェイトが「根源の汚れ」まで洗濯してしまったことで、世界を裏から支えていた構造が丸出しになってしまったのである。

 精霊たちは、自分たちの住処だった「影」や「淀み」を奪われ、あまりの眩しさにサングラス(のような魔力の膜)を生成しながら右往左往していた。


「フェイト様、このままでは人々が世界の仕組みを知りすぎて、精神が崩壊してしまいます! 『太陽は実はただの巨大な発光石の塊だった』なんて、誰も知りたくなかったはずです!」


 ミレーヌの悲鳴に、フェイトは紅茶を置き、静かに立ち上がった。


「……ふむ。清潔の行き着く先が『剥き出しの真実』だとは、清掃屋としても盲点だった。だが、住人が居心地を悪くしているのなら、それはまだ『整った』とは言えないな」


 フェイトは空中に指を滑らせると、世界の設計図である記号をいくつか摘み取った。

「ヴォルグ、ガウス。これより『仕上げのワックスがけ』の第二段階に入る。今度は物質ではなく、この『空間の真実』に、適度な不透明感という名のフィルターをかける」


「フィルター……ですか?」


「ああ。人間には、見えなくていいものがある。それを優しく覆い隠すのが、清掃の真髄……『美装』だ。……さあ、世界をもう一度、人間にとって『心地よい嘘』でコーティングするぞ」


 フェイトが再び魔法のボトルを取り出す。

 世界を丸洗いした後に待っていたのは、真実を隠し、平和な日常を再生するための「概念的な化粧直し」であった。

 しかし、そのコーティングの最中に、フェイトは設計図の隅に書かれた「ある不穏な記述」を見つけてしまう。それは、この世界自体がいずれ「大掃除リセット」される運命にあるという、絶対的な予言であった。

第41話をお読みいただきありがとうございました!

「洗いすぎると世界のソースコードが見えてしまう」という、清掃の行き着く先が物理法則の崩壊だったとは……フェイト自身も計算外の事態でした。

サングラスをかけながら困惑する精霊たちの姿は、ある意味で自業自得(洗いすぎ)な結果ですが、それでも「居心地の良さ」を優先して「適度な嘘」で塗り直そうとするフェイトに、清掃屋としての矜持を感じますね。


しかし、ラストに見つけてしまった不穏な記述……。

世界そのものが「大掃除リセット」される運命にあるという事実は、フェイトが最も嫌う「無計画な一掃」に他なりません。

物語は残り数話。フェイトはこの「運命という名の汚れ」をどうやって落とすつもりなのでしょうか。


完結に向け、ぜひ【☆☆☆☆☆】の評価で、フェイトが世界を塗り替えるための「仕上げのワックス」を応援していただければ幸いです!

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