第16話:価値観の分別
お読みいただきありがとうございます!
第16話では、国家のメンツをかけた交渉がついに決着(?)します。
フェイトにとって、どれほど立派な肩書きも「掃除の邪魔」でしかありません。
国宝を勝手に「消臭剤」へと作り変えてしまうフェイトの無自覚な暴挙と、それを受け入れざるを得ない特使たちの悲哀をお楽しみください!
黄金のテーブルを囲み、インナー姿でデッキブラシを抱える特使たち。その光景は、およそ国家間の交渉とは思えない異様なものだった。
「……フェイト殿。国家守護魔導師の件が却下なのは理解しました。では、せめてこの『ダンジョン内の居住権』だけでも認めていただきたい。ここは公式には王国の領土でして……」
「領土? ここは俺がゴミを片付けて、住めるように整えた俺の家だ。勝手に線引きされても困る」
フェイトはエルシアが淹れた、湯気と共に魔力が渦巻くお茶を啜った。
「だいたい、お前らの国は俺を『ゴミ拾いしかできない無能』として追放した元パーティを、Sランクとして優遇してたんだろ? ゴミを大事にする国に、俺の居場所があるとは思えないんだが」
カイルは言葉に詰まった。
フェイトの指摘は痛烈だった。彼の【分解】という真の価値を見抜けず、ただの荷物持ちとして扱っていたヴォルグたちを重用していたのは、他ならぬギルドであり、それを黙認していたのは国家だ。
「それは……その通りです。我々の目は節穴でした。しかし、今こうしてフェイト殿の『奇跡』を目の当たりにしたからこそ、改めて敬意を……」
「敬意なんて、その辺に落ちてる小石を磨く程度の労力で言えるだろ。口先だけの不燃ゴミはもういい」
フェイトは腰を浮かせると、キッチンの隅から「あるもの」を取り出してきた。
それは、彼が先ほど特使たちの鎧を分解し、ゴミ箱(龍の胃袋)の中で『再構築』したばかりの代物だった。
「ほら、これを持って帰れ」
テーブルに置かれたのは、手のひらサイズの小さな「銀色の球体」だった。
「……フェイト様、それは?」
「特使たちのボロ鎧を分解して、不純物と疲労概念を全部抜いてから『圧縮』したんだ。緊急時に床に叩きつければ、一瞬で『浄化結界』が広がる。お前らの国が、またゴミ溜めにならないための消臭剤代わりだ」
カイルが震える手でその球体を受け取ると、あまりの純度と密度に、それだけで彼の魔力回路が浄化されていくのが分かった。
「こ、国宝を材料に、さらに上の『伝説級アイテム』を作ってしまうとは……。フェイト殿、あなたは本当に……」
「勘違いするな。それは『お試し品』だ。次に俺の家の床を汚しに来たら、その時はお前ら自身を『素材』として分別するからな」
フェイトの静かだが絶対的な宣告に、特使たちは深く頭を下げ、その場から退散するしかなかった。
「……さて。エルシア、ようやく静かになったな。次は屋根裏の『次元の歪み』を雑巾がけしてくる」
「はい、フェイト様! 私も、新しい『神代の洗剤』を持って追いかけますね!」
今日も離宮の主は、世界の理を磨き続けていた。
第16話をお読みいただきありがとうございました!
国宝の鎧をリサイクルして、より高性能な便利グッズにして返却する。フェイトなりの「お土産」ですが、受け取った側にとっては一生モノの家宝になってしまいました。
不燃ゴミ扱いされた特使たちも、これにてひとまず退散です。
次回、離宮に平和が戻るかと思いきや、フェイトの掃除はついに「次元の隙間」へと向かいます!
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