○○さんがチャンネル登録しました
「その、タピオカとやらを1つ貰おう」
「……タピオカだけですか?」
「そうだ」
「あっ、すみませんお客様。当店はタピオカだけの販売はしておりません。このメニューから商品をお選びください」
「そ、そうか。承知した」
女性店員から手渡されたメニューに目を通す。
タピオカは、どうやらドリンクとセットでついてくる物のようらしい。
「高ッッッ」
メニュー表のタピオカドリンクの値段を見て俺は驚愕した。
ドリンクのくせに500円以上もするのか。タピオカが入っているからか?
正直ドリンクごときに500円も使うのはもったいない気がする。すさ屋の牛丼並盛セットを食べたほうがお得なような気がするのだが。いやだって、牛丼にサラダと生卵とみそ汁がついて500円だぞ。
「じゃあミルクティー1つ。Sサイズで」
「かしこまりました」
このまま帰るのもなんなのでとりあえず一番安いドリンクを注文した。
正直、買わんでいいかなとは思ったが。
たまには未知の領域に足を踏み入れてみるのも悪くはなかろう。
「はい、どうぞ! タピオカミルクティーです」
「どうも」
俺は女性店員からタピオカミルクティーを受け取る。
ベージュ色で満たされた透明なコップの底に黒色の粒がある。
なるほどこれがタピオカというやつか。……正直、美味そうには見えんな。
魔王討伐の旅の途中でよく見かけた蜘蛛型モンスターの目にそっくりだ。
まあいい、とりあえず飲んでみるとしよう。
「……う、うまいではないか」
少し甘すぎる気もするがなかなか美味だなこのミルクティーとやらは。
見た目で少し警戒していたがこのタピオカという黒粒も美味しいではないか。
満足感は、すさ屋の牛丼並盛セットには到底敵わんがな。
渋谷の街道を抜けて、俺はいつも寝泊まりしている公園へと立ち寄った。
鳥の糞で汚れたベンチの上に座り、横になって俺は瞼をゆっくりと閉じた。
明日は日雇いのバイトが早朝に入っている。少しでも睡眠はとっておきたいところだ。
「なんだ?」
ズボンのポケットに入れた俺のスマホがブルっと振動した。
俺は慌ててそれを取り出して画面を覗く。通信料金の請求通知か?
「……」
こちらの世界に来て気づかされたがどうやら俺はスマホのような機械の操作が得意ではないようだ。まあ、元居た世界にスマホなんてものはなかったしな。仕方あるまい。
動画を作るのには苦労したな。
毎日図書館に居座っては動画作成の本を読み漁ったものだ。
「どれどれ……」
さて一体、何の通知なのだろうか。
【アオイさんがチャンネル登録をしました】
「なにっ?」
その通知に俺は愕然とした。




