底辺冒険者Yautuberおじさん②
『では、さっそく戦っていこうと思う』
男は迷うことなくゴブリンの群れに真っすぐ突っ込んでいく。
私はゴクリと息を呑んで彼の行く末を見守ることにした。
『GUGIIIIII!!』
30体のゴブリンが棍棒を片手に一斉に男に襲い掛かる。
『ハァァ!!』
近づいてきたゴブリンの頭を男はビール瓶で殴る。
頭蓋骨の砕ける生々しい音が鳴り響き、その緑の頭から鮮血が飛沫を上げた。
頭を打った衝撃で瓶が砕けると、その破片があたりに飛びる。
『これで20体は殺せる』
散った破片を目にもとまらぬ速さでかき集めると、それをダーツを投げるかのようにゴブリンどもの脳天に向けて放った。凄まじい速度で放たれたいくつもの破片がゴブリンどもの頭を貫通する。『GUGII!』と断末魔を上げてゴブリンどもが一斉に地に伏す。
『……こっちのゴブリンは弱いな』
男は数十体のゴブリンを一瞬のうちにすべて撃退した。
信じられない光景をスマホの画面越しに目の当たりにした私は思わず目を疑った。
見かけによらずこの男、なかなかの実力者のようだ。
って、なるかい。ビール瓶1本で数十体のゴブリンを数秒で全滅させるとか無理でしょ。いやまあ、この人は実際にそれを見事やってのけたわけだけど。
『……はい。では、チャンネル登録、高評価のほうよろしくお願いします』
って、何事もなかったかのように動画を締めるなー。
せめてなんか一言感想述べるくらいしなさいよ。
『あ……』
男は何かを思い出したのかマスクの裏で再び口を開いた。
『この動画を見てくれた者の中に勇者パーティーのメンバーがいたら、すぐに連絡を寄こしてくれ』
そこで動画は終わった。意味深な発言を残して。
上手く状況が飲み込めない私の口は空きっぱなしだった。
「え? なによ勇者パーティーのメンバーって」




