第6話 お茶会1
「お茶会..........?」
ものすごく飾られた綺麗な招待状が届きました。
「国中の令嬢、令息に届いているみたいだ。パートナーが居る人はパートナーと。そうでない人は会場でパートナーを探す、みたいな?」
婚約者探しの場ってことでしょうか?
「じゃあ私は.......。」
少し期待を含んだ目でスレンの方へ目をやると、ばちっと目が合いました。
「うん、僕と行こう。」
やったあああ!!夜会以来、初の社交の場。もちろん私は社交なんて苦手です。でも.......。
「スレンの服、私が見繕いたいです!」
スレンは普段からイケメンだけど、正装になると100倍くらい煌めきが増すのです!!!見たい.....見たすぎる!!
「リーシェ、心を読まなくても何を考えてるか分かるくらい、顔に出てるよ。」
「え.....?!」
そんなに表情に出てました!?
私、お茶会で、氷の令嬢としてやっていけるのでしょうか.....。
――――――
「セレーナ、明日のお茶会のドレスは大丈夫なの?」
「お嬢様!!何回も任せてと言ってるじゃないですか!!」
それが心配なのです.....。
この子の任せて、を信頼していいのでしょうか.....。
「お嬢様、髪型はどうなさいますか?」
「何でも大丈夫よ。」
ドレスのデザインもわからないのに、どうやって髪型を考えるのでしょうか!
やっぱり自分のドレスも自分で選びたかったです……。
「それにしても、お嬢様、最近変わりましたね。」
「そ、そうかしら……?」
私、氷の令嬢を演じきれていないのでしょうか…?!
確かに、セレーナの前ではかなり素を出してしまっている気がしますが.........。
「やはり、スレン様のお陰ですよね!!」
「え.........?」
ちょっと待ってください。どうしてそこでスレンが...。
「だって最近おふたり、とってもいい感じでしょう?見てるこっちが胸焼けしそうですもの。やっと心から許せる人が現れて、お嬢様も変わったのですよね!!」
きらきらとした瞳で私を見つめてきます。
.....面倒くさいからそういうことにしておこうかしら。
「それにお嬢様、スレン様のお召し物を見繕われたとか!!」
「そうね、私が選んだわ。」
「どんなデザインにされたのですか?!」
「えぇっと、それは.........」
言えない.....言えるわけがないです.........。
私の髪と瞳の色に合わせて見繕っただなんて.................。
「私にも隠すのですか?当日までのお楽しみってことですか?!酷いです...!!」
「あと一日の辛抱じゃない。」
「そうですよね.....。」
そんなに残念そうな顔をしないで.........。
―――
「行こうか、リーシェ」
馬車の前でスレンが私に手を差し伸べました。
私はその手を取り、馬車に乗り込みます。
「でも、まさかリーシェが、僕の服をこの色にしてくれるとは。」
うっっっ.........。恥ずかしいから言わないで欲しいです.........。
「なんでそんな顔するの?僕は嬉しいけど。」
「でも、私のドレスも.........。」
「うん。僕が選んだよ?僕の色で。」
ですよね?!恥ずかしすぎます...!!!
お互いに、お互いの色のドレスを贈りあったなんて、今日のお茶会で見せつけようとしてるようなものです!!!そういえば、リトリシエはお友達とかいなかったですよね.....。氷の令嬢って言われてるくらいだし、お友達いないですよね?私、誰もわかりませんよ?どうしましょう...。
それに、楽しみだったとはいえ、社交の場は得意ではないのです。不安だらけです.....。
「リーシェ」
スレンが私の手をぎゅっと握りました。
「心配しなくていいよ。僕がついてる。」
「.....ありがとうございます」
本当に、心の底から安心しました。
彼のこういう所に惹かれて、気がついたら私も好きになったんだろうなと思います。
「リーシェ、今の口に出して言ってみてよ。」
「え?」
ぱっと手元を見ると、彼の手はまだ私の手の上にあります。彼と触れているということは.........。
「今のは!!聞かなかったことにしてください!!!」
「え〜、どうしよっかなぁ〜」
「忘れてください!!!!」
―――
会場は豪華に飾り付けられていて、雰囲気もとてもいいです!
私とスレンは次期公爵とその夫人として、入場のときは少し注目されましたが、すぐに別の人がその注目を攫って行きました。
「まさか第二王子殿下がいらっしゃるとはね…」
スレンが乾いた笑みを溢しました。
私も、こんなに身分の高い方がいらっしゃるとは思ってもいませんでした!!
「第二王子殿下には挨拶しに行ったほうがいいですか?」
「リーシェ、その件でお願いがあるんだけど、できれば第二王子とは関わりたくな…」
スレンがそう言いかけたとき、びっくりするほど大きな声が会場に響きました。
「スレンじゃないか!!久しいな!!!!」
スレンと第二王子殿下は知り合いだったのですね…。
スレンは会いたくなさそうでしたが…。
「リトリシエ嬢、こいつ借りてくな」
第二王子殿下はそう言うと、スレンを半ば強引に、バルコニーは連れて行きました。
私は会場にぽつんと1人取り残されました。
まさか……ここから私、個人戦ですか?
何も起こらないことを祈るばかりです………。
なんて考えていると、急に後ろから誰かが抱きついてきました。
「おねーーさま!!!!」
「リア!?!?」
抱きついてきたのは妹のリアでした。唯一の知人!!!知ってる人がいてよかったです…。
「お姉様、お食事は口にされました?」
「少しだけ…」
実は、スレンが連れて行かれた直後に、そばにあったケーキを少し食べてしまったのです。
先に1人で食べてしまうのはなんだか申し訳なくて待とうと思っていたのですが、美味しそうすぎて……。
とても美味しかったわ。と言おうとしたときでした。
会場の扉が大きく開け放たれ、使用人の方が大きく口を開けました。
「聖女様が到着されました」
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