第1話 妹
2章スタートです!
私がリトリシエになってから半年が経ちました。私ははじめて参加した夜会以降、社交の場に顔を出していません。他のご令嬢と面識が無いのですが、大丈夫なのでしょうか.....。心配です。
スレンとの生活は良好です。スレンの公務が少ない日などは、お昼すぎに時間を取ってくれて、一緒にお茶をして、たわいのないお話などをします。
何気ない日常ですが、私はとても幸せです。
というか、今はそれどころではないのです。
「け、結婚式ですか?!」
「君とは婚約式を挙げれてないからね。結婚式は早めに挙げたいんだ。」
「それでも、婚約してからまだ半年ですよ?!」
スレンとお茶をしていたら、彼が突拍子もないことを言い出しました。
「そんなに早く結婚して、メリットはあるのですか?」
「それはもう、たくさん。」
「たとえば?」
「部屋が一緒になる。新婚旅行に行ける。もっと堂々とデート出来る。とかかな?」
「理由が何か変じゃないですか。」
「まぁとにかく、結婚式の準備、始めよう。」
「だから早いですって!!」
私の抗議は虚しく、結婚式の準備を、もうそろそろではじめるようです。
―――――――――
今日はスレンは公務があるからと屋敷をあけています。どうやら王都へ用事があるそうです。
私は1人で、今日はもうお勉強もないので、お庭で読書をしようと思います。最近は恋愛小説にハマっているのです!
「エルトリア様!!それは許可致しかねます。」
「うるさいわね!!!わたくしは家族なのよ!」
お庭に行こうと思い廊下に出た瞬間、大きな声が聞こえてきました。玄関ホールからでしょうか?
エルトリアさん.......。聞いた事のないお名前です。
とりあえず後ろの方から覗いてみることにしました。
玄関ホールでは、1人の女の子とカイルさんが言い合いをされていました。その女の子は、綺麗な金髪をくるくるに巻き、胸元がとても開いた真っ赤なドレスに、羽のようなものが付いた扇子を持って、お化粧もとても濃いです.........。
後ろにある柱からじっと眺めていると、急にその少女が振り向き、ばちっと目が合いました。
絶妙に距離もあって気まずいです...........。
というか、どうしてこんな距離があるのに気がついたのでしょうか.........。
それに、誰かもわからない人なので話そうにも.......。
「お姉様じゃないですか!!」
お、お姉様.......?!?!
「あ、リトリシエ様。妹君のエルトリア様がいらっしゃいました。あの、通すなと言われておりましたので、今回も帰って頂こうと思っていたのですが.....どうされます?」
通すなと言っていたのですね。
ということは仲が良くなかったとか.....?
もしかして、虐められて.......?!
そのせいで前までのリトリシエは無表情だったとか?!
ですが、本人と話してみないと何も分かりません!
色々と考えていると、応接間の準備が出来たと言われました。今からこの子とお話するのですね。
「お姉様、元気にしてました?氷の令嬢なんて呼ばれちゃって、そんなに冷たくされてたら、婚約者様に愛想尽かされちゃうのではなくて?そうですわ!その時は、お姉様の婚約者様はわたくしがいただきます!」
勝手に話を進めないで.......。
私って妹さんとどういう関係だったのかしら.......。
いい関係、とは言い難そうですが.....。
エルトリアさんは羽のついた扇子をばさばさ振りながらニヤリとほほ笑み話しかけて来られます。何て返すのが正解なのでしょう.......。最初はとりあえず...世間話?
うーん、呼び方は家族なら愛称かしら?それならリアとか?
「久しぶりねリア。私は元気にしてたわ。貴方は元気だったかしら?」
少し冷たい目で、彼女を冷ややかに見つめました。
こんな感じでどうかしら?
と、思ったのですが.......。
「お、おお、お姉様?!今日は調子が悪くて?!いつもはそんな態度ではいっしゃらないはずですわよ。お姉様はいつもツンとしていて、誰にも、愛されていませんものね。」
エルトリアさんは一瞬すごく動揺していましたが、すぐにニヤリと微笑みました。表情の切り替え凄いです。とにかく、私は困っています。距離感が分かりません.........。なんかデジャブ...............。
―――――――――
僕が王城から帰ってくると、屋敷が妙に騒がしかった。
「だからね、お姉様。貴方じゃスレン殿下とは釣り合わないと言っているの。こんなに無愛想な人、愛されるわけがないの。だから、わたくしにくださらない?と言っているじゃありませんか。」
「でも、リア。スレンは本当に私を愛してくれているわ。」
「自惚れるのも大概にしてくださらない?!」
応接間での会話が廊下まで筒抜け.......。
カイルからは、妹君が来ていると報告を受けている。
なんとなく、彼女たちの関係が良くなかったということは知っている。
リトリシエが初めて僕と顔を合わせた時、彼女は僕に言ったのだ。妹と会いたくないから、絶対に出会わないよう手引きして、と。何か事情があるのだろうとは思っていたが、今の会話を聞く限り、リトリシエは虐められていたのだろうか。とりあえず妹が何を思っているのか見ておきたいな。
そう思い、僕は応接間の扉を勢いよく開け、エルトリアの肩に手を置いた。リトリシエを傷つけてきたかどうかは、この際どうでもいい(良くはないか)。だが今はリトリシエではない、「僕のリーシェ」なんだ。何を思っているのかは分からないが、傷つけるのはやめて欲しい。
その瞬間、彼女の思考が僕の頭に流れ込んできた。
『お、お姉様からリアと、愛称で呼ばれるなんて.....!!!夢?!?!これは夢でしょうか?!わたくし、ずっと憧れてましたの!!!なのに、わたくし、会って早々失礼なことばっかり言っていますのに、怒るどころかわたくしを愛称で呼んで、冷たい目でわたくしを見つめて、しかも、元気?なんて聞いてこられるなんて.......!あー!!!とっても可愛いですわお姉様!!1日くらい幸せな日があってもいいですわね!』
この子、リーシェのこと大好きじゃん.........。
一章、沢山の方に読んでいただけて嬉しいです!!
二章も引き続きよろしくお願いします!
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