閉じていく心
朝食を摂り終わったダイアンは2人の会話を適当に聞き流しながらダイニングを後にした。ダイアンは歩きながら昨夜クロエの膝枕を受け入れたことを悔いた。
このままクロエと関われば、俺はどうなってしまうのだろう。これ以上アイツと交わる必要はない。決意を固めて顔を上げると、反対方向から歩いてきたパメラを避けきれずにぶつかった。
「悪い、パメラ。大丈夫か?」
「平気よ。あなたを探してたの。医務室に来てちょうだい。」
ダイアンはパメラに連れられて医務室へと向かった。
「何を話すんだ?」
「あなたの体に起きた異常の原因がわかったの。あなたの体にはー」
ダイアンは顔を青くして両手で耳を塞いだ。
「止めてくれ、聞きたくない。まだ心の準備ができてないんだ。」
「わかった。今は言わない。でもねダイアン、遅かれ早かれ聞かなきゃいけないことなのよ。まぁ私だってまだ信じられないけどね。ところで、さっき会った時顔色が悪かったけど大丈夫?」
「平気だよ。というかもう俺の体調は気にしなくていい。肉体的にも精神的にも、絶好調だ。」
「そんなに元気なの?初めて会った時のあなたからは想像できないわね。その時のあなたに戻られるよりはマシだけど。新しい生活には慣れた?」
「楽しんでるよ。むしろああしなかったことが想像できないくらいに。」
「あなたが満足なら十分よ。今後どうするかはあなたに任せるわ。」
「ありがとう、パメラ。これでお暇するよ。頑張りすぎないでくれよ。」
「ありがとう、ダイアン。あなたもね。」
パメラはドアが閉まる音を聞きながら呟いた。
「ダイアン。秘密はいつか、ばれるものなのよ。」
図らずもこの呟きが現実になることを彼女はまだ知らなかった。
自分の部屋に戻り、ハンモックに全身を委ねて寝転んだダイアンは心に誓いを立てた。
俺はもう、クロエに心を開かない。また、あの時みたいな思いはもうしたくない。
拒み通すんだ。例えどんなに俺の心を開いてこようとも。




