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American Dianthus  作者: nacchan725
距離の違い
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秘められた告白

ダイアンはクロエの反応に少し驚いたが、泣きつくクロエを憐れに思って背中をさすった。

「部屋からお前の悲鳴が聞こえたから慌てて来たんだ。どんな夢を見たんだ?」

「夢の中でダイアンと一緒にいたの。そしたらいきなりワニが出てきて、ダイアンが食べられちゃって・・・私、どうすることもできなかった。」

それを聞いたダイアンは、は?と気の抜けたため息をついた。

「どうなったらそうなるんだ?たかが夢だ、俺は死んでねぇよ。こうしてここにいるだろ。」

ダイアンは着ていた上着をクロエにかけると、その上から抱きしめて愛撫するように優しく撫でた。クロエはダイアンの身体に身を埋め、とりすがって泣いた。ダイアンはクロエが泣き止むまで背中をさすったり、声をかけたりした。泣き声が弱まると、ダイアンは再び質問した。

「夢で俺がワニに食われたって言ったよな?なんか意味はないのか?」

クロエはしばらく思考を巡らせて答えた。

「講義でそんなのを習ったことがあるわ。ワニは見た目の通り、あまり良いイメージはないの。それも、黒くて大きいワニはトラブルに巻き込まれる可能性が上がることを暗示してるの。

さらに悪いことに、あなたはそのワニに食べられてたわ。食べられるってことは不安や悩み事があって、悪循環が起こることを意味するの。」

それを聞いたダイアンはドキッとした。そんなことは絶対に起きてはならない。

「マジか・・・どうすればいい?」

「いつも以上に警戒した方がいいわ。でも、ワニの夢なんて滅多に見れないから正夢になる可能性は高いかも。その時はごめんなさい。」

「なんでお前が謝るんだ?」

クロエは再び泣きそうな顔をして叫んだ。

「だってあなたはいつも私を助けてくれるでしょ?あなたは本部の人達よりも、誰よりも強い。そんなあなたが苦しい時、誰があなたを守ってくれるの?」

ダイアンは即座に鋭い目つきになって首を横に振った。

「俺に保護者は必要ない。こうして自由に動けることが俺の幸せなんだ。」

「ならどうして私にこんなに肩入れするの?あなたは自分の休日を割いてまで、私を追ってここまで来たじゃない?」

ダイアンは気勢を削がれて一瞬口ごもったが、腹を括って本心を告げた。

「それは・・・・それは、お前を護るためだ。」

予想外の理由にクロエはどんな言葉をかけていいかわからなくなった。

「えっ?」

「いわば償いだよ。お前の両親を助けられずに殺してしまったことへの。あの後から、ずっと後悔してた。母さんの死を看取ってから、余計に親のありがたみを感じた。だから、俺がお前の両親の分まで護って、死なせないようにする。」

ダイアンは決意のこもった瞳でクロエを見つめた。これを聞いたクロエは自己嫌悪に陥った。

好きな人がこんなに自分のことを考えて罪の意識に囚われていたのに、自分は好きな人を好きになることしか考えていなかった。ダイアンはこんなズルい女といて良い人間じゃない。クロエは自分に向かってため息をつくと、布団を被ってダイアンの視界から消えた。

「どうした?何か問題があったか?」

「自分にありすぎてショックを受けてるの。あなたの苦労も知らずに能天気に過ごしてたなんて、あなたに会わせる顔がない。」

ダイアンは心の中でため息をついた。ただリップオフとの戦いに巻き込まれただけなのだから、平穏な生活を送りたがるのは当然だ。それなのにクロエは良く立ち回ることができるから、むしろ戦士の才能の片鱗を感じさせる。ますます彼女は死なせてはならない。

「そんなことは今知ったよ。これ以上俺を煩わせたくなかったら今すぐ寝てくれ。」

「わかった。あなたも寝てくれる?」

「寝るよ。」

ダイアンはクロエの側に寝転がると、自分の腕を枕代わりにした。

「おやすみ。」

狙っていたのかいないのか、クロエはダイアンの吐息がうなじにかかったために身体が震えて返事ができなくなった。こんな姿は見せられない。クロエは顔を布団の中に埋めると、この夜が明けないように祈りながら目をつぶった。

翌朝クロエが目覚めて隣を見ると、ダイアンの姿はなかった。すぐに探そうとベッドから起き上がろうとすると、掛け布団に足をとられてベッドから転げ落ちた。その音を聞きつけてダイアンとモカの母親が部屋に入ってきた。

「朝からそそっかしいな。」

「大丈夫?たぶんダイアンがいなくて焦ったんでしょう。朝食の準備ができてるから食べなさい。」

「はい、ありがとうございます。」

「お前が食べ終わったらここを出るぞ。」

「わかった。」

クロエはダイアンの昨夜の告白を思い出し、同じ場所にいるのが恥ずかしくなってそそくさと部屋を出た。その態度にダイアンは首を傾げたが、すぐに頭の中で軽くあしらった。俺は最近彼女が気になっているのか?これ以上彼女に関われば、俺はどうなるのだろう。怖い。クロエ・エドマンドソンが俺は怖い。

ダイアンはクロエの食事と出発準備が終わるまで、襲われた時へのイメージトレーニングや自分の武器を点検して過ごした。出発準備が整った2人はモカの両親に玄関のドアの前まで見送られた。ダイアンはモカの両親に向かって深く頭を下げた。

「知り合いのように接してくれたこと、感謝してるよ。」

モカの父親は顔の前で手を横に振った。

「こちらこそ、娘を守ろうとしてくれたことに礼を言わせてくれ。」

モカの母親はダイアンとクロエに優しく微笑んだ。

「何かあったら私達を頼ってちょうだい。」

クロエは握手を求めると、ダイアンに倣って頭を下げた。

「本当にありがとうございました。」

2人は何度も礼を言いながらモカの家を離れた。

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