才能あるパートナー
気配を感じ取ったダイアンはリップオフを視野に捉えて銃を放った。弾は敵の身体を貫通し、今度こそ再起不能にさせた。
「マジかよ。1匹倒すのに2発消費すんのか・・・」
威力の高いデザートイーグルでこれなら、一般的に出回っている銃や普通の攻撃でのダメージは期待できないものだ。軽い絶望を覚えたダイアンは短くため息をついた。すると、耳に聞こえてきたのはクロエの悲鳴だった。
「そんな!なんでこんなに?」
ダイアンが声を聞きつけてすぐに顔を上げて見たものは、5体ほどのリップオフに囲まれているクロエと警官だった。
「マズい!すぐ行く!」
ダイアンはウォッチハンターからワイヤーを出すと瓦礫づたいで距離を縮め、クロエの目の前に姿を現した。
「コイツらはちょっとやそっとじゃ倒れねえ。すぐにここを離れろ!」
「でも、それじゃダイアンが・・・」
「こんな所でくたばる訳がない。ニッポンを復興させるまでは死ねないんだよ。」
「・・・わかった。」
クロエが警官と共にその場を離れようとすると、5体のリップオフが動き出した。
ダイアンはヘッドショットを放ち、リップオフをまとめて再起不能にしようとした。奇跡的に2体葬ることに成功し、残りの3体は頭を再生させながらダイアンに近づいていった。移動しているクロエ達を囲おうとしていたリップオフの内の何体かがダイアンに狙いをつけ、合計7体のリップオフにダイアンは囲まれることになった。ダイアンは剣に手をかけると、一体ずつに目を配って立ち位置を把握すると、はやる気持ちを抑えて冷静に挑発した。
「そんなに集まったって、あげる物はないぞ。持ってるんだろ?ニッポンのかけらを。すぐに寄こせ!そして、そこをどけ!」
ダイアンは剣を抜くと、目の前にいるリップオフの頭や首などの急所を斬りつけた。滑らか且つ深い斬撃がリップオフを3体死体に変え、生き残ってるリップオフに恐怖を与えた。リップオフ達はそれぞれの顔を見合わせると、一体ずつ違う速さでダイアンに襲いかかった。
「これなら俺が焦るとでも思ってるのか?残念だったな、得意分野なんだ。」
ダイアンは剣を納めると、一番早く近づいたリップオフに回し蹴りを貫通させて文字通り一蹴すると、他方向から突進して来たリップオフにラリアットを食らわせた。ダイアンは次に向かって来たリップオフを腰を落として引きつけると、腹部に掌打を打ってひるませ、リップオフがよろめいた直後にスピンで素早く後ろに回ると、チョップで首を落とした。そして、最後の一体となったリップオフの顔をめがけてフックを命中させると、よろめいた隙に腹部にストレートパンチを見舞った。再びよろめいたリップオフにフックを食らわせ、ストレートパンチとフックの連打でとどめを刺した。ダイアンはリップオフの全滅を確認すると、リップオフの死体を触ってニッポンのかけらを探し始めた。ダイアンの様子を伺っていたクロエは戦闘が終わったのを確認すると、ニッポンのかけらを探していると察して声をかけて近づいた。
「私も手伝うわ!」
そう言うと、クロエは近くにあるリップオフの死体を触り始めた。事情を知らない人間からしたら異様な光景に、警官は声を震わせながら話しかけた。
「君たちは何をしてるんだ?」
クロエは警官に背を向けたまま本の朗読でもするように答えた。
「手がかりを探してるんです。ニッポンを戻すための。」
「それなら手伝おう。」
ダイアンは警官に別の指示を出した。
「あんたは応援と救急車を呼んでくれ。まだ向こうに生きてるヤツがいるだろうし、連中を排除するのがあんたらの仕事だろ?」
ダイアンのやや高飛車な態度に、警官は一瞬、眉間にしわを寄せた。
「態度は頂けないが、承知した。」
ダイアンは警官の反応を無視して自分の意見を提案した。
「ついでに、リップオフがいる場所がわかったら教えてくれないか?俺はここにいるヤツの中で一番強いだろうし、市民や仲間を守りたいのは俺だって同じだ。」
警官は一瞬ためらったが、先ほど見たダイアンの立ち回りなら実力は本物だと考えて条件を飲んだ。
「被害が少なくなるに越したことはないな。無線を貸そう。」
「ありがとう。じゃあ頼んだぞ!」
警官はすぐに2人のいる場所から離れていった。
リップオフの検死を終えたダイアンはクロエの方へと歩いた。
「どうだ?見つかったか?」
「いいえ。ニッポンのかけららしきものはないわ。」
「そうか。俺も見つけられなかった。もうここを離れよう。」
ダイアンはふとクロエが探していた所を眺めていると、地面がモコモコと躍動しているのを捉えた。
「マジかよ、まだ生き残りがいたってのか!」
言い終わらないうちに瓦礫の下から一体のリップオフがのっそりと起き上がってきた。一体だけなら相手にできると判断したクロエはリップオフに向かって駆け足になった。
「私がやる!ダイアンはそこにいて!」
クロエはナイフを抜くと、リップオフの心臓部を斬りつけた。リップオフは傷を再生しきれずに呻き声を上げながら地面に突っ伏していった。
「よし!自力で倒せた!」
喜ぶクロエの数メートル先で再び地面の躍動を発見したダイアンはクロエに向かって叫んだ。
「まだいる!気を付けろ!」
クロエは数メートル先にいる二体のリップオフを見つけると、突進していった。クロエに気づいた一体目が飛びかかって嚙みつこうとした。クロエはグロックを取り出すと、リップオフの喉に目がけて貫通させて葬り、残ったリップオフには回し蹴りを頭に決めて倒した。
「終わった。すぐそっちに行くわ!」
「かなり腕が上がってるな。とても、1ヵ月前のヤツと同一人物とは思えない。」
「ええ。もうあなたの後ろに隠れている私とはさよならよ。」
「だがまだ動きが固いな。余裕ぶるなんて到底まだ先だ。他のヤツらの応援に行くぞ。」
ダイアンはクロエが側に来るのを待たずに走り出した。
「誰の加勢に行くの?」
「アルバート達だ。お前が戦ってる最中に連絡が来た。今度はお前が様子見する番だ。」
2人は走る速度を上げて、アルバート達の元へ急行した。




