親子げんか
本部に戻ると、リビングにアイリスがダイアンの服を持って帰還を待っていた。
「ダンスパーティーに行ったメンバーを着替えさせたわ。あなたも着替えてきなさい。」
「了解。服をありがとう。」
ダイアンは礼を言いながら服を受け取り、自室に向かった。着替え終わると、ダイアンは医務室によって額に塗り薬を塗ってもらった。
リビングに行くと、ダイアンはメンバーから敵に1人で立ち向かった勇気を祝福された。ただ1人、アイリスを除いては。アイリスは賞賛の嵐を受けているダイアンの腕を引っ張って自分に注意を向けさせ、行動を叱った。
「どうしてあんなことをしたの?!無謀にも程があるわ!」
アイリスの剣幕にダイアンは一瞬驚いた顔をしたが、語気を強めて反論した。
「あのまま逃げ続けてたら、囲まれて殺されるのが確定してたよ!クロエの運転は母さんがアシストしてたとは言え、敵の数が多かったじゃないか。母さんだって、囲まれるなんて目に見えてただろ?だから少しでも敵の数を減らそうと思ったんだ。何も自殺行為に走った訳じゃない。できるだけ潰して離脱するつもりだっただけだよ。」
「今回は運が良かっただけよ!もし失敗してあなたが殺されるのを考えると、ゾッとしたわ。ニッポンが壊滅して義理とはいえ家族を失ったのに、あなたまで失ったら私はどうすればいいのよ?!」
自分の行動を理解してくれない母親に苛立ち、ダイアンは声を荒げた。
「母さんは俺がどれだけ強いか知ってるだろ?!子供扱いしないでくれよ!」
「子供よ!!あなたはまだ19歳よ。戦うには若過ぎるわ!」
ダイアンはアイリスに負けず劣らずの剣幕で叫ぶと、ひと息置いて普段なら言わない真実を口にした。
「全然判ってないよ!!・・・それもそうだよな、母親として今まで側にいなかったんだから。」
その言葉を聞いたアイリスは、ダイアンの頬を張った。乾いた力強い音が、リビング全体に響き渡った。その場にいた人物は凍りつき、親子の様子を伺った。ダイアンは張られた頬を抑え、アイリスは動揺と後悔を顔に出して謝った。
「ごめんね!ごめんなさい、ダイアン─」
ダイアンは涙目をなんとか隠しながら怒鳴った。
「それがあんたの答えか?!」
母親の謝罪と制止の言葉を振り切り、ダイアンは中庭へと続くドアを開けて出て行ってしまった。




