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第10章 蒼太の答え



蒼太は休み明け、就職課の窓口に向かった。



大学の就職課、相談窓口。




窓際の席。


午後の光が、机の上に淡く差し込んでいる。




蒼太は、椅子に浅く腰掛けていた。




向かいに座るのは、就職支援担当の松本。


穏やかな表情で、蒼太の話を聞いている。




「……本命だった、Hスポーツが」




「……不採用でした」




一度、言葉を切る。




「……先日、結果が来ました」




松本は、すぐに何も言わなかった。


メモを取る手を止め、蒼太を見る。




「……そうですか」




静かな声。




「それは、残念でしたね……」




「本命だったなら、なおさらです」




その言葉に、


蒼太の胸の奥が、少しだけ緩む。




「……正直」




「もう、どうしたらいいのか、分からなくて……」




声が、少し掠れる。




「……そうですか」




否定も、励ましもない。




「岡谷君は、スポーツ系の仕事が


 本命だったんですよね」




「……はい」




「野球をやってきましたし。


 ……スポーツに関わる仕事がいいかなって」




「ええ。まだ他のスポーツ系企業を、


 まだ受ける選択肢もありますよね」




「……はい。


 それは、頭では分かってるんです」




「でも……」




一度、言葉を探す。




「Hスポーツの面接……。


 自分でも、完璧だったって思ってて……」




「……落ち着いて話せましたし」




「野球のことも、経験も……。


 ちゃんと、全部伝えられたと思うんです」




机の上で、指先が無意識に動く。




「……それで、落とされるなら」




「他の会社を受けても。


……もう、どこにも受からないんじゃないかって。


そんな気がして……」




言い終えたあと、


蒼太は視線を落とした。




松本は、少しだけ間を置いてから、


ゆっくり口を開いた。




「……そうですね」




「そう考えてしまうのは、自然なことだと思います」




蒼太の肩が、わずかに震える。




「本命の会社で……。


自分なりに、やり切ったと思える面接をして」




「それでも結果が出なかったら……。


 “じゃあ、何を信じればいいんだ”って、


 なりますよね」




「……はい」




小さく、うなずく。




「岡谷君……。


 あなたは、間違っていませんよ」




その言葉は、


「大丈夫」でも


「次がある」でもなかった。




ただの、事実確認のような声だった。




「……松本さん」




呼びかけた声は、


思ったよりも弱かった。




松本は、蒼太を急かさない。




答えも、方向も、示さない。




ただ、


蒼太が“間違っていない”場所に、


立たせ直しただけだった。



松本は、少し考えるように視線を落としたあと、


静かに言った。




「……そうですね」




蒼太は、顔を上げる。




「こういう時は、あえて“何もしない”という選択も、


 あると思いますよ」




「……え?」




蒼太は思わず、声が出た。




「何もしない、ですか?」




「はい」




「こういう時にですね……。


 焦って、また別の会社を次々と受け始める人、


 実は多いんです」




「でも……」




松本は、言葉を選ぶように、一拍置く。




「……大抵、あまり良い結果には繋がりません」




蒼太は、何も言えずに聞いている。




「自分の中が、整理されていないままですから……」




「“どこでもいいから決めなきゃ”


 という気持ちで動くと……」




「……あとで、必ず苦しくなる」




「だから……。


 あえて、何もしない」




蒼太


「……」




「そうするとですね……。


 ふとした時に、はっと思い出す瞬間が来るんです」




「“あ、これだ”って」




「“自分が本当にやりたかったのは、これだ”って」




蒼太の胸が、わずかに揺れる。




「……すみません。


 就職支援の担当が、


 言うべきことじゃないかもしれませんね……」




苦笑まじりに、そう付け足す。




蒼太は、しばらく黙っていた。




それから、ゆっくりと言った。




「……いえ。松本さん」




「なんか……」




言葉を探す。




「今、勇気をもらえた気がします」




松本は、少し驚いたように目を瞬かせた。




「……そうですか」




「はい。正直、どうすればいいか分からなくて」




「でも、とりあえず


 “何か決めなきゃ”って思ってて……


 それが、一番苦しかったんだと思います」




松本は、ふっと息を吐く。




「……それなら、よかった」




「松本さん。……ありがとうございました」




その言葉は、深く頭を下げるものでも、


明るいものでもなかった。




ただ、


少しだけ、肩の力が抜けた声だった。




松本は、それ以上、何も言わなかった。




励ましも、締めの言葉もない。




でも蒼太の中で、確かに一つだけ、


変わったものがあった。




「今すぐ決めなくていい」




その許可を、


初めて、誰かに与えられた気がしていた。




* * *




蒼太は、その後――


一週間、本当に何もしなかった。




学校に行く。


講義を受ける。


ノートを取る。




バイトに行く。


笑顔で接客をする。


決められた作業をこなす。




夜、帰る。


青と他愛のない会話をする。


「今日どうだった?」


「うん、普通」




また翌日。


同じことの繰り返し。




学校に行き、


バイトに行き、


帰って、話をする。




特別な出来事はない。


悩みも、決断も、ない。




ただ、日常だけが、淡々と続いた。




不思議なことに、


蒼太の体調は、少しずつ良くなっていった。




眠れるようになった。


食欲も戻った。


朝、起きるのが、少しだけ楽になった。




(……もう大丈夫かもしれない)




そう思える瞬間が、増えていく。




青も、安心したようだった。




「最近、顔色いいな」


「少し落ち着いた?」




蒼太は、笑ってうなずく。




「うん、調子いいよ」




蒼太は何かが吹っ切れたように、


穏やかな気持ちとなっていた。




* * *




それから数週間後。




夏休みの前




蒼太は、バイト先のカフェにいた。


今日はシフトには入っていない。


ただ、家に一人でいるよりも、


ここにいる方が心が落ち着いた。




店内は、昼下がりにしては人が多かった。


注文の声、カップが触れ合う音、


コーヒー豆を挽く低い響き。


そのすべてが、不思議と蒼太の呼吸を整えてくれる。




カウンターの向こうで、店長が動いている。




混み合う時間帯だというのに、


店長の動きには一切の無駄がない。




視線は常に全体を捉え、


必要なところにだけ、必要な言葉を投げる。




スタッフに声をかけながら、


客には自然な笑顔で対応する。




楽しそうだ。


忙しいはずなのに、苦しそうには見えない。




(……いいな)




蒼太は、思わずそう思っていた。




やりたい仕事を、ちゃんと好きでいられる人。


責任も、忙しさも、


全部引き受けた上で、それでも前を向いている人。




(店長、本当にかっこいいな……)




コーヒーを一口飲みながら、


蒼太はカップの縁を見つめる。




自分は今、何をしているんだろう。


何を目指して、どこに向かっているんだろう。



以前より、焦りは消え、


落ち着いて自分自身を見つめることができていた。






蒼太は、テーブルにノートを広げた。




罫線の入った、どこにでもある大学ノート。


そこに、一本一本、丁寧に文字を書いていく。




これまでに出会った人。


出会った出来事。


その時、自分が何を感じていたのか。




母のこと。


父のこと。


高校生活のこと。


野球のこと。


大学生活のこと。


バイト先でのこと。


そして――青のこと。




思いつくままではなく、思い出した順に、ゆっくりと。


消しゴムは使わない。




間違えても、書き直さない。


その時の自分が感じたままを、否定せずに残す。




以前の蒼太なら、ここまで書けなかった。




過去を振り返ろうとすると、胸が苦しくなって、


息が浅くなって、


どこかに逃げたくなっていた。




でも今は違う。




文字を書きながら、


当時の自分を思い出しても、


胸が締め付けられることはなかった。




(……あの頃の自分、必死だったな)




そう思えるくらいの、距離がある。




つらかった記憶。


傷ついた言葉。


逃げたくなった夜。




それらは消えたわけじゃない。


なかったことにもなっていない。




ただ――


「乗り越えたもの」として、そこにある。




蒼太にとって過去は、


もう自分を縛る鎖ではなく、


ここまで歩いてきた“足跡”になっていた。





自分のやりたいこと。


目標とすること。


夢。




(……何なんだろう)




ノートの中で、いちばん多く書かれている言葉に、


蒼太自身が気づいていた。




――青さん。




青のそばにいたい。


青から、離れたくない。




その気持ちは、偽りじゃない。


誤魔化しでもない。


紛れもなく、本心だ。




でも――


それだけで、自分の人生を説明していいのだろうか。




(……それとは、別に)




青の存在とは切り離したところで、


「自分が本当にやりたいこと」は、何なんだろう。




蒼太は、ペンを持ったまま、考え続けた。




ページをめくる。


視線が、ふと、ある言葉に引っかかる。




「パートナーシップ宣誓証明書」


「区役所」


「担当 木下さん」




――ああ。




そういえば、と蒼太は思う。




(あの時の木下さん……かっこよかったな)




派手なわけでもない。


特別優しい言葉をかけられたわけでもない。




でも、淡々としていて、


こちらの話をきちんと聞いて、


必要なことを、過不足なく、丁寧に説明してくれた。




制度の話。


手続きの流れ。


できることと、できないこと。




感情を押し付けるでもなく、


突き放すでもなく。




「この人は、ただ自分の仕事を、誠実にやっている」




そう感じた。




(……区役所の窓口か)




悪くない、どころか――


いいな、と思った。




誰かの人生の一部に、静かに関わる仕事。


損得じゃなく、評価でもなく、


与えられた役割を、きちんと果たす。




気に入られようとしなくてもいい。


ただ、目の前の人の状況に向き合って、


ルールの中で、できることを探していく。




(……人のために、だな)




それは、


誰かの夢を背負うことでもなく、


誰かの代わりに生きることでもない。




でも、確かに――


人の役に立っている、という実感がある仕事。






そのとき、


蒼太は、はっとした。




(……あ)




一気に、記憶がつながる。




――松本さん。




大学で、蒼太がいちばん苦しかった頃。


授業料のことで頭がいっぱいで、


誰にも弱音を吐けなかったあの時期。




親身になって、話を聞いてくれた人。




奨学金で力になってくれた人




制度の話を、感情論にせず、


でも決して突き放さず、


「大丈夫だよ」とも「頑張れ」とも言わずに、


現実を一緒に整理してくれた人。




就活で、行き詰まりそうになっていた時もそうだった。




焦っている自分を否定せず、


答えを押し付けることもせず、


ただ、静かに耳を傾けてくれた。




そして――


必要な言葉だけを、そっと。




背中を、押すというより、


「自分で立つ場所」を示してくれた。




感情に飲み込まれている蒼太を、


一歩引いた、客観的な視点で見て、


でも決して冷たくはなく。




勇気づける、というより、


「自分で気づかせる」言葉をくれた人。




蒼太は、ノートの上で、ペンを止めたまま、


その時の声を思い出す。




松本が、ふとしたように言った言葉。




『ふとした時に、はっと思い出す瞬間が来るんです』




『“あ、これだ”って』




『“自分が本当にやりたかったのは、これだ”って』




(……ああ!)




分かる気がする。




苦しさの中で、


必死に考え続けて、


いろんな人に出会って、


言葉を受け取って。




ある瞬間、


点が線になる。




無理やり探しに行くものじゃなくて、


積み重ねたものが、


自然と形になる。




蒼太は、ゆっくりとペンを動かした。




「松本さん」


「相談に乗る」


「客観的」


「寄り添う」




木下さん。


松本さん。




二人に共通しているものが、


はっきりと見えてくる。




(……人の話を、ちゃんと聞く人だ)




前に出すぎず、


でも、確かにそこにいる。




必要なときに、


必要な言葉だけを渡す。




(……僕、そういう人たちに、救われてきたんだ)




胸の奥が、静かに、でも確かに熱くなる。




蒼太は、ノートの余白に、小さく書いた。




「支える側」


「相談に乗る仕事」


「制度 × 人」




そして、蒼太は――


確信する。




(……見つけた!)




* * *




翌日。




蒼太は、朝一番で大学の就職課を訪れていた。


まだ学生の姿もまばらで、


廊下には朝の静けさが残っている。




カウンターの向こうに、見慣れた姿があった。




――松本さん。




蒼太は、少しだけ呼吸を整えてから、


まっすぐ歩いていく。




「……松本さん」




声をかけると、松本が顔を上げた。




「おや?」




柔らかく目を細める。




「岡谷くん。ずいぶん朝早いですね。


 どうかしましたか?」




その一言で、胸の奥にあった迷いが、すっと消えた。


蒼太は、はっきりと口を開く。




「松本さん……僕、見つけました」




松本は、すぐには言葉を返さない。


続きを待つ、その姿勢が、いつも通りだった。




「大学で……」




蒼太は、少しだけ言葉を選びながら、


それでも止まらずに続ける。




「大学で、働きたいです。


 大学の事務職員になりたいです!」




その瞬間、


周囲から、わずかなざわめきが起こった。




そんな視線や声が、確かにあった。


でも、蒼太の耳には、ほとんど届いていなかった。




松本は、ゆっくりと立ち上がる。




「……岡谷くん」




そして、いつもの穏やかな声で言った。




「じゃあ、ちょっとこっちに場所を移しましょうか」




それだけで、


この話が“ちゃんとした話”として


受け止められたことが分かる。




蒼太は、静かにうなずいた。




松本に案内されて、


就職課の奥にある、半個室のブースへ向かう。






半個室のブースで、蒼太は一人、待っていた。


外の気配は薄く、空調の音だけが、静かに耳に届く。




少しして、カーテンがわずかに揺れた。




「はい、どうぞ」




松本が入ってきて、


蒼太の前に、缶コーヒーをそっと置いた。




蒼太は、一瞬きょとんとする。




「あ、ありがとうございます」




思わず出た言葉だった。


就職課で缶コーヒーを渡されたのは、初めてだった。




松本は、向かいの椅子に腰を下ろす。




「岡谷君」




呼び方を確認するように、穏やかに。




「大学の事務職員になりたい、と言いましたね。


 ……どうしたんですか。


 理由を聞いてもいいですか?」




試すような口調ではない。


詰めるようでもない。




ただ、話す時間を“用意してくれる”声だった。




蒼太は、缶コーヒーに視線を落とし、


一度だけ、深く息を吸った。




「……はい」




そして、ゆっくりと語り始めた。




「僕……今までの人生を、振り返ってみたんです」




言葉を探しながら、でも止まらずに。




「どんな人と出会ってきたのか。


 何に苦しんで、


 どんなことで助けられてきたのか……


 一つ一つ、考えてみました」




松本は、相槌も打たず、ただ静かに聞いている。




「そのとき、思ったんです」




蒼太は、顔を上げる。




「僕は……松本さんみたいな人に、


 何度も救われてきたんだって」




松本の表情は変わらない。


でも、視線は、まっすぐだった。




「真摯に、人の話を聞いてくれる人。


 そっと寄り添ってくれる人。


 感情で判断せずに、


 必要な情報を、的確に教えてくれる人」




蒼太の声は、次第に、確信を帯びていく。




「僕が授業料のことで困っていたとき、


 奨学金のことを、


 本当に親身になって相談に乗ってくれました」




あの頃の自分が、はっきりと浮かぶ。




「就活で悩んでいたときも、そうです。


 否定もされず、煽られることもなく、


 ただ、話を聞いてもらって……


 必要なことだけを、静かに教えてもらいました」




一拍、間を置く。




「損得も、評価もなく。


 僕の状況だけを見て、


 僕のための言葉を、くれました」




蒼太は、拳を軽く握った。




「……僕は、そういうことをやりたいんです」




少しだけ、声が震える。




「僕は、青さんみたいに、


 誰かを引っ張ったり、導いたり、


 前に立って指導するタイプじゃありません」




自分の限界も、ちゃんと分かっている。




「でも……」




顔を上げて、はっきりと言う。




「必要な知識を勉強して、


 それを、必要な人に、必要な形で伝えること。


 支えること。


 そっと、人に寄り添うことなら……


 僕にも、できると思うんです」




言葉が、まっすぐに伸びていく。




「大学の事務職員になって、


 僕みたいに、どうしていいか分からなくて、


 何をしたらいいか分からなくて、


 一人で苦しんでいる学生たちに」




少し、息を吸う。




「『大丈夫だよ』って、


 無責任に言うんじゃなくて、


 現実の中で、選択肢を示せる人になりたい」




そして、最後に。




「僕みたいに苦しんでいる学生たちに、


 そっと寄り添って、


 力になれる仕事がしたいんです」




話し終えると、


ブースの中は、しんと静まり返った。




松本は、すぐには口を開かない。


メモを取ることもせず、


ただ、蒼太を見ている。




その沈黙は、重くない。


むしろ――


大切な言葉を、ちゃんと受け取るための時間だった。




蒼太は、缶コーヒーを握りしめながら、


次の言葉を、静かに待っていた。






松本は、しばらくの沈黙のあと、


そっと口を開いた。




「……岡谷君」




呼びかけは、いつもより少しだけ柔らかい。




「……変わりましたね」




蒼太は、思わず瞬きをする。




「変わったと言っても、いい方向に、です」




松本は、穏やかに続けた。




「岡谷君は、気づいていないかもしれませんが、


 この前お会いしたときと、表情がまったく違います」




責めるでもなく、評価するでもない。


事実を伝える、落ち着いた声。




「迷っている顔ではありません。


 考え抜いた人の顔です」




蒼太は、胸の奥が、じんわりと熱くなるのを感じた。




松本は、少し間を置いて、さらに続ける。




「それから……気づいていましたか?」




視線が、まっすぐに重なる。




「岡谷君、さっき、はっきり言いましたよね」




一語一語、確かめるように。




「『大学の事務職員になりたい』と」




蒼太は、無言でうなずく。




「今までは、


 『いいかな』でした」




松本は、穏やかに、しかし明確に言った。




「野球関係の仕事が、いいかな。


 スポーツ関係の仕事が、いいかな」




その言葉を、否定はしない。




「でも、今は違います」




松本は、静かに、でもはっきりと告げた。




「あなたは今、


 『大学事務職員になりたい』


 『何々をしたい』


 そう、断言しました」




言葉が、まっすぐ胸に落ちてくる。




「それは、


 誰かに言わされた言葉でも、


 逃げの選択でもありません」




松本は、やさしく微笑んだ。




「……それが、答えだと思いますよ」




その瞬間。




蒼太の胸が、強く、熱く、震えた。




喉の奥が詰まり、


言葉が、うまく出てこない。




でも――


不安ではなかった。




初めて、


自分の選択を、


自分の言葉で肯定された気がした。




蒼太は、ゆっくりと息を吐き、


胸の奥で、そっとつぶやく。




(……見つけた)




この道でいい。


いや――


この道がいい。




彼の表情は、


もう迷いの中にはなかった。


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