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大陸で大戦争やりながら大和型戦艦4隻も建造するの無理っぽくね

信濃なんておらんかったんや、という世界線です

 普通の戦争なら敵国首都が陥落すれば、後に残るのは残敵掃討であり考えるのは占領地の統治なのだが、相手の国土が広く国家の指導者たちが降伏を良しとせず逃亡抗戦を選択するなると、これはもう長期戦必至でありナポレオンのロシア遠征や豊臣政権の朝鮮出兵のように泥沼化してしまう。

 昭和12年12月、中華民国の首都南京を占領した大日本帝国は民衆が提灯行列で南京陥落を祝うその一方で、政府首脳や軍部の将官たちは中華民国総統蒋介石一派を取り逃がし戦争を終わらせるきっかけを無くしたことで先達たちの轍を踏み泥沼に足を突っ込んでしまったことに大きな危機感を持たざる得なかった。

 とりあえず日本政府が国府政権膺懲終了を宣言し軍を引いて講和交渉にやる気を見せるとかできればまだ何とかこの戦争を収められたかもしれないが、北京に傀儡政権作るとか逃げた国府軍を追って内陸へのとめどない侵攻を続けるとか、もはや坂道を転がる球の如く引き返せない道を突き進んでしまう。


 戦争が長期化必至となれば持たざる国家である日本の国家予算は軍事予算も民生予算も戦費に持っていかれ、国家の生産力における軍需の比率の拡大は民間経済を圧迫し国家経済は繁忙貧乏に陥り名目では経済成長が進む一方で、生産力の多くを軍需に奪われた結果として民間活力は疲弊し民需の供給力不足によるインフレとなり供給調整のため統制経済まっしぐらなのである。

 まあそう言うわけで軍縮時代(ネーバルホリディ)が終わりさあこれからバンバン予算使って軍備拡大だ大量建造だと意気込んでいた日本海軍も、終わりそうにない日中戦争の影響を考え③計画以降の海軍軍備補充計画の見直しに入ることになる。


 海軍国防所要兵力整備十年構想の後半六ヵ年計画として考えられていた➃計画は、米国海軍の拡大が続く艦艇建造計画に煽られるように本来昭和15年開始のものを1年前倒しで昭和14年スタートとすることになる。

 しかし短期間のうちに7隻の戦艦を大量建造する米国の建艦計画に対し、昭和17年に中に完成する予定の大和型2隻は良いとして、追加建造が計画されていた3番艦4番艦は早期に建造が進んでも戦力化されるのは昭和20年に入ってからという状況では、それまでの間決戦戦力である戦艦の対米比率は技量や大和魂なんかではとても補えない程の圧倒的劣勢に陥ることが目に見えていた。

 そういう状況に加えての日中戦争による海軍予算圧迫である。

 「当面の間建造計画予定表を埋めるだけの存在でしかなく、そのうえ予算だけはモリモリ食べてしまうこの2隻っていらないんじゃね」って声が出ない方がおかしいのである。

 常識的に考えると、普通の頭を持っていればそういう考えになるのは明白なのである。

 そんなこんなの議論の結果日本海軍は大和型3番艦と4番艦を建造計画のテーブルから外し、代わりに大和型に較べ短い工期と半額に近い建造費の世界的に見れば常識的な性能の戦艦2隻が急遽計画に加えられることになった。

 このクラスの戦艦であれば金剛型戦艦の代替艦等である程度新型戦艦の設計ベースができていたこともあり、この新型戦艦の設計は一から始めるということもなく比較的短期間で済み昭和14年の終わりには横須賀海軍工廠で1番艦の建造準備に入ることになる。

 巨大戦艦2隻の建造がキャンセルされた➃計画ではあるが、米国艦隊との戦闘を主眼とすることに変わりはない為新型戦艦以外の主力艦も充実が図られており、大和型の建造中止により浮いた予算で装甲空母1隻が追加されたほか駆逐艦戦力の強化等本来の計画から変更さた部分が多々あった。


 この新たに計画建造された新型戦艦だが、主砲は45口径40センチ砲3連装3基、空母機動部隊に随伴できるよう最大速力は30ノットを上回るものとされ航続距離も1万カイリを超えるものが要求されている。

 主砲以外の兵装は九十八式10センチ連装高角砲を両舷に各6基配置、25ミリ3連装機銃は20基搭載、カタパルト1基と共に艦尾に配置された格納庫には零式水観1機と零式三座水偵2機の搭載が計画された。

 なおこの2隻の建造予算は対米防諜対策として重巡洋艦として計上されており、米海軍情報部は戦中のある時期までこの2隻の建造を改利根型重巡として認識していた。

 この2隻の新型戦艦は『富士』と『阿蘇』命名されており日本海軍の艦名による分類では巡洋戦艦となっているが、実質的には40センチ砲9門の強力な砲戦力と長門型を大きく上回る防御力に加え4万トンを超える排水量を持つ有力な戦艦であり海軍も戦艦としてこの2隻を扱っていた。


 新型戦艦1番艦『富士』は昭和15年3月、大和型3番艦の建造中止により完成が早まった横須賀工廠第6船渠において起工され、3年3か月後の昭和18年6月に完成する。

 姉妹艦である『阿蘇』は呉工廠造船船渠において戦艦大和の進水後の昭和15年8月起工され竣工したのは昭和18年9月、両艦は昭和18年12月に戦艦『金剛』『榛名』と共に第三戦隊を編成する。


 太平洋戦争は富士と阿蘇の両艦が戦力化された時点で物量に勝る米軍の反攻により各地で戦線が押し戻されており、日本海軍もミッドウエイでの敗北、ソロモン諸島での大消耗に加え航空劣勢と米潜水艦の跳梁により多くの艦船を喪失しその戦力は弱体化していた。

 

 

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